ギシ。

ベッドのスプリングが、音を立てて沈む。

舞台を終えた満足感が身を包む中、するすると洋服を脱ぎ捨て、抱きしめあう。

肌の触れる感触が心地よい。

冷え性の割りに、触れ合う体温はわずかばかりに俺よりも高い。
ふわ。と包み込むように背中に回された腕に、ほっとする。

そっと、伸ばされる指先が頬に触れる。
俺の存在を確かめるように、頬の輪郭を辿る。

「愛してるよ。まお。」
「・・・愛してる。大ちゃん。」

パチパチと、黒曜石のように輝く瞳がまばたきを繰り返す。
長い睫毛が、やわらかに伏せられる。

視線が絡みつき・・・惹かれあうようにキスをした。


こんな日がくるなんて、思ってもみなかった・・・。


そう、小さくつぶやく愛しい恋人。


あれから随分オトナになって、すっかり身体のラインもしっかりしてきた。

あの頃は、儚い硝子細工のように感じられて。
指を伸ばせば、パリン。と音を立てて壊れてしまうそうで。

愛を伝えるのにも、臆病だった気がする。


「今日は、あったかいね。」
「ああ・・。」

きゅ。と再び込められた腕の力強さに。


二人で歩んできた月日の思いの深さを感じた。


そんな、春の一日。



----------------------------------------

青空。を見ていて、どうしても描きたくなったギイ・タクですが、お話は大まおで。

別館のほうにイラストUPしました。


見詰め合うふたり。