3月に入って、一週間が過ぎようとしている。
少しずついつもの日常・・・というか、新しい日常に慣れつつある今日この頃。

何も考える間もないぐらい忙しかったイベント続きの毎日をこなし。
ほっとした最後の日は、みんなにどうやって思いを伝えようかと一日中悩み。

いざお休みに入ったら入ったで色んな人から、飲みに行こう。
とかって声をかけられ。

久しぶりに大ちゃんとゆっくり過ごせる日常が戻ってきた気がする。

もちろん、大ちゃんのお稽古が忙しいのは相変わらずなんだけど、
今までは大ちゃんに心を向けることすら薄くなってしまうぐらいだったからね。

ソファに座る大ちゃんの肩にもたれて、ソファに脚を投げ出すようにして座る。

「重いよ・・・。まお。」

なんて、大ちゃんがちょっぴり眉をしかめる。

「え~~。だって、久しぶりんだんだもん。なんだかひっつきたいの。」

台本を読んでいる大ちゃんの邪魔はしたくないけど、最大限ひっついていたい。
そんなおれの気持ちをわかってくれたのか、ちゅ。と軽いキスをくれるとそのまま体重をあずかってくれる。

ぱらり。 ぺらり。

大ちゃんの台本をめくる音と、俺がデザインの本をめくる音が静かに響く。


「我ながら、一途だよなあ・・・。」

ぼそり。と独り言のようにつぶやかれる言葉。

「・・・・え?なに?」
「我ながら、一途だなあって。」

ふわ。と目を細めて愛おしそうに笑ってくれる大ちゃんと視線がぶつかる。

「おれのこと・・・?」
「そう。お前のこと。・・・こんな、何年もつきあってるのって、お前一人だよ。」

「あ。そうなんだ・・・。」

それはそれは、光栄です・・・。
こんなカッコよくて完璧な大ちゃんを何年も一人占めさせてもらって・・・。

「なんで、こんなに好きなんだろうなあ。お前のこと。」
「そんなの、本人に聞かれても、わかんないよ・・・。」

じっと、真面目な顔で聞かれて、どうしたらいいのかわからず視線を泳がす。

「好きとかどうとか自覚する前に、まおの一番でありたい。とか尊敬できる先輩でありたい。とかって想いが先だったからなあ。」
「あ。うん。それはおれも一緒かも。」

いつまでもこの人の生き様を追いかけていきたい。と思った。
大ちゃんの見せてくれた足跡が、光り輝く自分の道しるべのように感じていた。

強く心惹かれ--------。

それがいつしか恋に変わっていった。
何年も経った今でも色あせることのない恋心。
トキメキも、ジェラシーも切なさも未だに卒業できないでいる。

それでも、家族のように側にいるだけで安心する穏やかな愛情もあり。
今みたいに同じ空間にいて、それぞれ自分の世界に没頭しているときは親友のようである。

憧れの先輩であり、友人であり、恋人であり、家族であり・・・・。


「だって、大ちゃん恋人なだけじゃなくて、おとーさんだもん。」
「それ、褒め言葉か?」

がっくし。と言った感じでわざとらしくうなだれる。

「うんっ。褒め言葉だよ?トキメクだけじゃなくて、落ちつける存在で、どんなことがあっても待っていてくれる安心感があって・・・。
でも、友達のようにふざけあったりもできるし、やっぱりずうっと憧れの先輩でもある。
うん。おれにとって大ちゃんはそんな存在かな?」
「そうなんだあ・・・。」

がっくし、のポーズのままだんだんとにやけてくる大ちゃんの口元が可愛い。

「だから、大ちゃんは恋とか愛とか飛び越えて、トクベツな存在なの。」
「only 1  NO 1ってか??」

大ちゃんが悪戯っぽくウインクをくれる。

「ふふっ。そうだね。onlyで、NO1だよっ。」


同性だからとか、先輩だからとか、そんなこと全部飛び越えて惹かれずにはいられなかったのだ。

恋だとか、愛だとか考える前に、心の奥底に入り込んでいたのだ。


何年も大ちゃんを一人占めしてきちゃったけど、これからだってずうっと一生離れられない。

きっとどんなことがあったって、わがままだと非難されたって、それだけは譲れない。


恋心は傷ついても、傷口はいつか癒えるけれど。

そんな簡単な関係じゃないから。


ねえ?

大ちゃん。



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ちょっと前に描いた「only1 NO1」とセットな感じのお話です~~。
なんか、自分で描いておきながら、言うのもなんですがこの二人すっごおおおく好きっ。
いちゃいちゃラブラブしてるのも好きだけど、ナチュラルな二人大好き。

これ、大ちゃんサイドでも描きたい感じがするなあ。