まおが初めてこの家に訪ねてきてくれたときのことを鮮明に覚えている。
一回目は、家賃がどうこう。とかって盛り上がってた中での
「ぶちょーってどこに住んでるんですか?」
なんて、世間話の中の他愛もない会話だったと思う。
「4代目ぶちょーの家に行こうツアー。」とかなんとか称して、みんなでわいわい押し掛けてきて。
こんなに大人数で騒いだら近所迷惑になるから。って場所だけ説明して解散した。
その後-------。
まおが、たった一人でたずねてきてくれた。
ピンポーンと、チャイムの音が高らかに響いた。
「え?なんでまお?」
インターホンのカメラを確認して、驚きを隠せなかったのを覚えている。
「みんながいるところでは、話しづらくって・・・。」
うつむき加減に切り出した言葉に、なぜだかその先を聞いてはいけないような気がした。
「よく覚えてたな~~。お前っ。何?何か忘れ物でもしてた?」
「あの・・。あ。近くを通ったから、ついでに寄っただけです。」
こんな駅から離れた閑静な住宅街に、偶然通りかかる用事なんてありえない。
それでも、見え透いた嘘に、気がつかないふりをした。
「そうなんだ~~。まっ。あがってけよ。」
特に何をするでもなく、「ゲームでもする?」「テレビでも見る?」
なんて当たり障りのない世間話をして、まおを見送った。
本当は、その頃からまおの気持ちには気がついていたのに。
俺はいつだって臆病で、まおの気持ちから逃げている気がする。
そんな俺を「大ちゃんってオトナだねええ。」なんて尊敬の眼差しで見詰めてくれるけれど。
本当は、あまりに干渉しすぎてまおに嫌われはしないだろうか。
まおに自分の世界を大切にしろよ。なんて偉そうに言っておきながら、
こうやって遊びに行かれると寂しくてたまらない。
それでもやっぱり、遠い未来を考えたときに、人との繋がりは広ければ広いほどよい。
なんて頭ではわかっているのに、感情がついていかない。
「俺って、こんな狭量だったかなあ。」
昔みたいに単純に俺以外のヤツと遊びに行くだけでも、やきもきする。
なんてわかりやすい嫉妬はしなくなった。
むしろ、自分の視野を広げるためにも色んな人間と付き合ったほうがいい。
と思えるようになった。
・・・ああ。不安、なのかもな。
まおが大切な仲間、と称して飲みに行ったり、みんなから可愛がられているのを見て。
もしかして、俺なんていなくてもまおは生きていけるんじゃないか。って・・・。
ばっかだなあ、俺。
あんなに勇気を出して、思いを伝えてくれたのに。
「大ちゃん・・・。好きだよ。タクミクン卒業しても、ずっとずっと側にいてね。」
って、はにかみながらも、真っ直ぐに瞳を見て言ってくれたじゃないか。
オトナになってゆくまおが、世界が広がってゆくのは当たり前で、
それを誰より側で見守っていたのは自分だろ?
そう、自分を納得させる。
一回目は、家賃がどうこう。とかって盛り上がってた中での
「ぶちょーってどこに住んでるんですか?」
なんて、世間話の中の他愛もない会話だったと思う。
「4代目ぶちょーの家に行こうツアー。」とかなんとか称して、みんなでわいわい押し掛けてきて。
こんなに大人数で騒いだら近所迷惑になるから。って場所だけ説明して解散した。
その後-------。
まおが、たった一人でたずねてきてくれた。
ピンポーンと、チャイムの音が高らかに響いた。
「え?なんでまお?」
インターホンのカメラを確認して、驚きを隠せなかったのを覚えている。
「みんながいるところでは、話しづらくって・・・。」
うつむき加減に切り出した言葉に、なぜだかその先を聞いてはいけないような気がした。
「よく覚えてたな~~。お前っ。何?何か忘れ物でもしてた?」
「あの・・。あ。近くを通ったから、ついでに寄っただけです。」
こんな駅から離れた閑静な住宅街に、偶然通りかかる用事なんてありえない。
それでも、見え透いた嘘に、気がつかないふりをした。
「そうなんだ~~。まっ。あがってけよ。」
特に何をするでもなく、「ゲームでもする?」「テレビでも見る?」
なんて当たり障りのない世間話をして、まおを見送った。
本当は、その頃からまおの気持ちには気がついていたのに。
俺はいつだって臆病で、まおの気持ちから逃げている気がする。
そんな俺を「大ちゃんってオトナだねええ。」なんて尊敬の眼差しで見詰めてくれるけれど。
本当は、あまりに干渉しすぎてまおに嫌われはしないだろうか。
まおに自分の世界を大切にしろよ。なんて偉そうに言っておきながら、
こうやって遊びに行かれると寂しくてたまらない。
それでもやっぱり、遠い未来を考えたときに、人との繋がりは広ければ広いほどよい。
なんて頭ではわかっているのに、感情がついていかない。
「俺って、こんな狭量だったかなあ。」
昔みたいに単純に俺以外のヤツと遊びに行くだけでも、やきもきする。
なんてわかりやすい嫉妬はしなくなった。
むしろ、自分の視野を広げるためにも色んな人間と付き合ったほうがいい。
と思えるようになった。
・・・ああ。不安、なのかもな。
まおが大切な仲間、と称して飲みに行ったり、みんなから可愛がられているのを見て。
もしかして、俺なんていなくてもまおは生きていけるんじゃないか。って・・・。
ばっかだなあ、俺。
あんなに勇気を出して、思いを伝えてくれたのに。
「大ちゃん・・・。好きだよ。タクミクン卒業しても、ずっとずっと側にいてね。」
って、はにかみながらも、真っ直ぐに瞳を見て言ってくれたじゃないか。
オトナになってゆくまおが、世界が広がってゆくのは当たり前で、
それを誰より側で見守っていたのは自分だろ?
そう、自分を納得させる。