「まおっ。脚、出してみ??」

トリゾの収録が終って、裏にはけようとすると、
ぐいっと、大ちゃんに腕をつかまれる。

「血い、出てるだろ?」
「あ、うん。でも、平気っ。こんなの舐めてたら治るよ。」

自分がヘマしたから、怪我しちゃったんだし。
ちょっと、テンション高すぎたかなあ。なんて反省してるし。
みんなに心配かけるから、頼むからほおっておいて~~~。

「かすり傷だからって、甘くみたらダメだぞ。そっから雑菌が入って、破傷風になることだってあるんだからな。」
「・・・そんな、大袈裟な・・・・。」

ほんと、大ちゃんは過保護だ。
こんなの部活とかだと、日常茶飯事だったのに。

水道で、じゃーと血い洗い流すぐらいだよなあ。せいぜい。

「それに、舐めたら唾液なんて雑菌だらけなんだぞ。ちゃんと消毒しなきゃ・・・。」
「え~~。ロクは舐めてるよ?」

「お前は、猫かっWW」

ほらほら。と、強引に両肩をつかまれて、ストン。とイスに座らされる。

「ちょっと沁みるけど、我慢てろよ・・・。」

なんて、自分のバッグから消毒液と、絆創膏を取り出す大ちゃん。

「へええ。そんなの持ち歩いてるの?」
「おう。おかげさまで?ハードな舞台の稽古多いからなあ。生傷耐えないもんな。」

「ふーん・・・。おれも、生傷耐えない稽古あったけど・・・。」

本当に、舐めときゃ治る、みたいなノリだったなあ・・・。

テキパキと器用に処置してゆく大ちゃんの指先を見詰める。

・・・ああ。やっぱり、オトナだなあ。大ちゃん。

この前も、一緒に出かけたときに急にお腹痛くなって・・・。
大ちゃんのかばんから、整腸剤が出てきたときはびっくりしたもんな。

なんか、こういうさりげない心配りできるのって、やっぱカッコイイ------・・・。


「ほら。オッケー。あんま、無茶すんなよ。」
「・・・うん。ありがと・・・・。」

絆創膏をペタンと貼ってくれた部分を、ぺしんと叩いて見上げてくる大ちゃん。
ああん。やっぱ、やさし~~~。惚れなおすなあ・・・。

なんて思っていると。


「ああああ。いちゃいちゃしてるっ!!神聖な楽屋でっ。二人の世界作ってる人がいますよおおおおお。」

なんて、びっくりするぐらい突然大声で乱入してくるガヤ。
・・・ああ。もう説明するまでもない、馬場りょ・・・。

「・・楽屋だから、いいだろうが?」
「あっつ~~。ああ。もう春通り越して、夏だねっ。周りが迷惑だっつーのっ。」

冷静に??呆れながら??返す大ちゃんと、一歩も引き下がらない馬場りょ。

「まお君もっ。ちゃんと身を守らないと、いつか襲われるよ??」
「あははっ。大丈夫だよお。」

・・・なんて、もう襲われてます。
いやいや。
合意の上で・・・愛し合ってますけどね。

なーんて、リアルなことを言い返せるわけもなく。

「襲うなんて聞き分けの悪い。俺は、傷の手当してやってるだけだろうがっ。」
「はいはいはい。そのデレデレした顔、見せてやりたいねっ。どっか鏡ないですかあ??」


なんて、ふざけあっていると。

「ほらほら。早くしないとおまけ放送始まっちゃうよ~~。」

なんて、圭ちゃんが止めに入ってくれる。


ああ。圭ちゃんがいて、よかった。
大ちゃんでさえも、止められない馬場りょ、最強だもんね・・・。


「じゃあ、ちゃんと風呂あがったら、もう一回消毒しとこんだぞ。」
「・・うん。わかってるよお。」

スタジオに向かいながら、念を押すように振り返りる。


ほんと、心配症なんだから。

でも、そんなふうに気にかけてくれるのが、嬉しいよ。

大好き。

大ちゃん。



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いつだったか、まお君が「薬を持ってたりすると大人だなあ。と思う。」みないなこと言ってましたよね??

女子力が高い、と言われるまお君だけど、実は大ちゃんのほうが色々もってそうだなあ。
んで、まお君のほうが無頓着な気がするなあ。と思ってこんなお話。