「どうしよっかな~~。」

ぱちんと電気をつけて、お風呂を洗ってから、缶ビールをぷしゅっと空ける。

「お風呂も待ってたほうがいいのかなあ。・・・でも、あの言い方だと、ベッドに入って待っとけ。ってことだよね・・・。」

なんて、ビール片手にうろうろ、うろうろ、部屋の中をいったりきたりする。

ぴら。とシーツをまくってみて、なんだかすっごく期待してるみたいな気がしてしまって、かああ。と顔が熱くなる。
・・・ビールで酔ったかなあ。
なんて、まだ半分も減っていない缶を眺める。

「どっちにしても、お風呂だけ入っておこう。なんだか、眠たくなってきた・・・。」

お風呂にも入らずに寝てしまって、ほこりまみれのまま・・・。なんて大ちゃんに不快な思いさせたくないし。
疲れて帰ってきた大ちゃんに、揺り起こしてもらって何から何まで。ってのも申し訳ない。

万が一寝てしまったときに大ちゃんに迷惑をかけないようにと思い、湯船にぽちゃんと浸かる。

「あ~~。気持ちいい。」

今頃、そろそろ放送も終って、解散している頃だろうか。
今日はあったかかったからね。
コンビ二でコーヒー買わずに済むかな??

夜遅いときの大ちゃんは、いつも駅でホットコーヒーを買って帰るから、「おかえり。」のキスがほろ苦い。
大ちゃんからのキスに、コーヒーの香りがほのかにすると、冬だなあ。って感じるようになった。

・・でも、今日は春仕様、かなあ・・・??

なんて、今頃電車に揺られているであろう大ちゃんを思い浮べる。
うん。きっと腕組みして、目を閉じて・・・。

瞳を閉じると一緒に電車に揺られているような錯覚に陥る。
この温かさは、大ちゃんの体温。
ゆらゆらと揺れる水圧は、電車ががたごと揺れる振動。

・・・心地のよい感覚に身を任せていると・・・・。

「布団、あっためとけって言ったろ?」

急に降ってきた声にびっくりする。
わわわ。妄想が現実になっちゃった。

・・・・ん??大ちゃん帰ってきたの??もう??

はっと気がつくと、すっかり冷めてしまった湯。
・・・あ。あのままうとうとしちゃってたんだ・・・・。

ぱちぱち。瞬きしてとぼーっとした頭をフル回転してますうう。と言わんばかりの表情の俺を見て呆れたように湯船に手を突っ込まれる。

「・・・まお。また風呂入りながら寝てただろ・・・。」
「う・・・。だって、気持ちよかったんだもん・・・・。」

やれやれ。と言わんばかりに大袈裟に肩をすくめると、ぱぱっと洋服を脱ぎ捨てて、バスルームに入ってくる。

「ほんと、お前には一人暮らしさせらんねーな。」
「・・・あはっ。いつも心配かけて、ごめんなさい。」

迷惑かけないために、なんて思ってるのにいつだってこうなってしまう。
でも、こうやって気にかけてくれるのが心地よい。
ほんと、おとーさんだよね。大ちゃん。

なんだか、最近本当に家族になってきたなあ。って感じがするよ。
もちろん、恋心も忘れた訳じゃないけどね??