「今日は買出しに行こっか。」
「へえ。大ちゃんもスーパーで買い物するんだ。」

二人暮らしを始めてまもなくの頃。

合鍵でマンションの部屋に入ってていいよ。と鍵を渡しているので、一人で待っていてくれる。
お腹ぺこぺこだよお。なんて俺が帰って来ると、くううん。とすりよってくるまおが可愛くて。

「すぐ、メシ作ってやるから待ってろ?」
「わあ。楽しみ~~~。」

なんて、きらっきらの笑顔をみせてくれながら、ちょこんとソファに座って待ってくれてるのが嬉しくて。
本当は料理を作るのが好きな俺は、心が躍る。

女性というものは、なかなかに面倒くさい生き物で、オトコの俺が彼女よりうまい調理を作ってしまうと落ち込んだり、拗ねたりしてしまう。
それが嫌で、彼女に任せていると、正直、自分で作ったほうがうまいなあ。なんて思っても、「作ってくれてありがとう。美味しいよ。」なんて言わないと、すっかりご機嫌が斜めになってムード険悪。ますますメシがまずくなる。

もちろん、そんな子ばかりではないのだろうけれど、まあ、一般的にオトコのほうが料理がうまい。というのはお付き合いする上でプラス要素にはならない。

なのに。

まおと付き合うようになってから、毎日が楽しくて仕方がない。
ナチュラルに振舞っていても、「へえ。大ちゃん凄いねえ。すっごく、すっごくおしいよ。今度、作りかた教えて?」
なんて尊敬キラキラの眼差しで見詰めてくれるし。

まおが作ってくれたときは「もうちょっと、塩足したほうがいいかもな。」
なんてアドバイスすると「あっ。そっかあ。何か足りないと思ってたんだよね。大ちゃん、さすが~~。」

なんて、素直に聞き入れてくれる。

そんなまおだから、初めてのお買い物、もさぞかし楽しいだろう。


カゴを片手に、ふらっとスーパーに入ってゆくと、小走りにまおがついてくる。

「ひとまず、野菜だろお・・・。葉物が欲しいよな。小松菜の煮浸しとか?」
「うん。和食好きっ。」

自分もきちんと陳列された野菜を眺めながら、後ろをついてくる。

「あっ。トマトも彩りにいいよな。知ってる?お尻に星型のラインが入ってるのが濃厚で美味しい証拠なんだぞ。」
「・・・へえ。そうなんだあ。」

俺の話かける言葉を、いちいち熱心に感心しながらやっぱり尊敬キラキラ眼差しを向けてくれる。

「あっ。大ちゃん。もう、牛乳なかったよお。カフェオレできない。」
「あっ。まお。ちゃんと賞味期限見たか?」

何気なく牛乳を手に取るまお。

「え?大丈夫でしょ??期限切れのもの、売ったりしないよお。」
「・・・じゃ、なくて、期限にも色々あるのっ。」

きょとん。とハテナマークを飛ばすまおにレクチャーする。

「ほら。新しいのと、古いのが混ざってるだろ?」
「・・・あ。ホントだあ。」

「でも、期限までに飲みきっちゃえば、大丈夫でしょ?」
「・・・お前しか、牛乳飲まないのに、一体何杯カフェオレ飲むつもりだ?」

んん~~?3日間持つとしても毎日300ml以上飲まないと駄目なのか・・・。
なんて、天井をあおいで計算しているまお。

「そっか。そうだよねえ。今まで実家だったから、期限までに意識しなくても飲みきってたから気がつかなかったあ。」
「一人暮らし・・・いや、二人暮らしには大切なことだかんな。」

ああ。いい響き。二人暮らし、かあ・・・・。
自然体でいても、ギクシャクしなくて、しかもスイートなニューライフ。

今日もこれから一緒に帰って、ニコニコとメシができあがるのと待っているまおの顔を眺めて。
心から楽しめる食事をして。
一緒に風呂に入って、背中を流し合いっこしたりして・・・・。

にやあ。と口元がゆるみそうなぐらい幸せな時間を想像していることろに、まおがポツリと一言。

「大ちゃんって・・・。意外と細かいんだね。」

がーん。がーん。がーん・・・・。

細かい??小さい男って意味か??

少なからず落ち込んでいると。

「僕、おおざっぱだからさあ。今まであんま考えずにお買い物しちゃってたなあ。
牛乳といい、トマトといい。大ちゃんと一緒だと色々勉強になるよ。
やっぱ、何でも知ってて、完璧だよねええ。」

なんて素直に感心しているまお。


----------やっぱ、可愛い過ぎるよ。


お前。


一生一緒に暮らそうな。


まお。


でも、数年後。
この細かいところ、をネタにマッククーポンであんなにいじられることになるとは思ってもいなかったWW

成長したよなあ。まお。色々と・・・・。



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細かい大ちゃんと、ざっぱなまお君。ってこんな感じかなあ??一緒にお買い物したら。ってことで。