次の日。

「大ちゃん、プレゼントがあるんだ~~。」と、ただいまあ。と同時に、何かを後ろ手に隠し持ってる。
その何か。が気になって、思わす考える人、になってしまっていた。

「んふふ。おかえりのキスは?」

まおが、ちょこっと背伸びをしながら、んん。と唇を出して待っている。

「あははっ。ごめん。ごめん。・・・おかえり。まお。」

ちゅ。とその唇にキスを落とす。

満足そうに微笑んだまおが、「これ。大ちゃんの自立心のために。」って水色の箱を差し出される。

「自立心のため・・・??」

怪訝に思いながら箱を開けると、ずっしりと重たいプラチナリングが入っていた。

「あのねえ?まおの信じる道なら、がんばれ。って背中押してくれたでしょ?大ちゃんみたいに、色んなことに興味もって、色んなこと吸収して、人間としてもっと大きくなって、31になったとき、大ちゃんみたいに輝いていたい。っていつも思ってるよ?・・・そのためには、守られてるばかりじゃ、ダメだ。ってこともちゃんとわかってる。
だから、自立しなきゃ。って思ってるのに・・・・。」
「肝心の俺が、まお離れできてないって言いたいのか?」

「んん~?ちょっと違うんだけど。なんだか、大ちゃんを不安にさせてる気がして。どんなに住む世界が違っても、帰るべき場所・居心地のよい場所、ってのはここなんだよ。信じててね。って伝えたくて。」
「まお・・・。」

ここ、と言いながら俺の腕の中に、すっぽりと収まって抱きついてくる。

「大ちゃん、言ってくれたよね?自由に羽ばたいて、しっかりその瞳で外の世界見て来い。って。待ってるって。」
「ああ・・・。」

「ちゃんと、戻ってくるから、信じて、待ってて?」

そう言いながら、右手の人差し指にリングをはめてくれる。

「あのね。人差し指にはめるリングって自立、とか個性を表すんだって。
ちゃんとお互いに自立してても、心は繋がってるよ?ってう証拠。・・わかった?」

指にはめたリングに、まおがちゅ。と口づけする。

マイペースで、自由奔放で、俺の気をひこうとしてわざとツンデレしてみたり。
そうかと思えば、こんなふうにきまぐれに擦り寄ってきて、安心させてくれたり。

やっぱ、お前には転がされっぱなしだよ。

でも、オトナで完璧でカッコイイ大ちゃん。の座はまだまだゆずれないから。

「わかってるよ。まおが俺のこと愛してくれていること。俺も頑張るから、お前も頑張れな。」
「うん。大ちゃん、やっぱり、大好き。」

ぎゅううっと抱きしめてくれるまおを信じてやりたい。
そんな思いを込めて、俺からもまおの右手の人差し指にリングをプレゼントした。