「大ちゃん、若い子に優しい。」
「・・・ん?」
ソファに座ってまったりまおの肩でも抱きながら、DVD鑑賞でも。と思っていたのに。
何を思ったのか、膝を抱えて口元を隠し、一点を見詰めて視線だけで拗ね気分をアピールしてくる。
俺、なんかトクベツ扱いしたかなあ?まおの前で。
・・・・いや、まおの前で、じゃなくてもそんなべったりお気に入り、なんて子はいないはずだが。
「みんなに優しいもんね。大ちゃん。おれだって、最初はその一人、だったんだもんね。
もしかしたら、告白だってされちゃうかもね。もうすぐバレンタインだしね。」
「・・・・はあっ!?」
一気にぶつぶつと小声で膝小僧に向かって話しかけるまお。
俺に言っている、というより自分の世界にこもって「気がついてよ。大ちゃん。」っていうオーラをぷんぷん発している。
ほら。またはじまった。
一人で、勝手にぐるぐる考えて、世界つくって拗ねて八つ当たり。
面倒臭くて、かわいいまお。
「こんなにカッコイイんだもん。好きになって当然だよね・・・。」
ありがと?と言うところなのか?これは。
「BACSで若い子に囲まれて、嬉しい?大ちゃん。いつもすっごく楽しそう・・・。」
・・・ああ。そういうことか。
「普通に楽しい。番組としてな。・・・でも、まおといた時みたいにときめかないし、告白もされたことないぞ?
・・・っていうか、まおしかないけど。男からの告白。」
「・・そうなの?」
あ。この表情好き。
膝にくっつけていた口元を、顎に変えて、首をかしげてはてな?マークを飛ばす仕草。
「そもそも、バレンタインって、女の子からの告白だぞ?男にやきもちやくなよ(笑)俺、ちゃんと女性に魅力感じるからさ。」
「・・・女の子が好きなの?」
------あ。墓穴掘った。
せっかく顎まで上げてくれた顔を、また膝小僧に埋めてしまって、まおが拗ねモード全開になる。
「まおは、どうなんだよ?俺以外はやっぱり女の子のほうが好き。だろ?
バレンタインに女子からチョコもらったら、うれしくねー??」
「・・・大ちゃんだけが好きだもん。男でも、女でも。」
小さな声でつぶやき、頬を染めて膝の間にすっぽりと隠れてしまう。
天然なのか、言葉選びが上手くなったのか。
すくない語威力で、舌足らずに一所懸命に思いを伝えてくれたまおが、こんなにも俺を翻弄するようになった。
完敗、だな・・・・。
「まおちゃんっ。そんなに可愛くやきもちやいてくれて、うれしいなあ~~。」
ぐしゃぐしゃと、頭をなでまわし、ふてくされてた唇にキスをする。
視線は合わさないけれど、明らかに照れくさくてうれしい。って顔をしている。
「ジェネレーションギャップを感じるほど年下なのに対等に話ができて、同性なのに告白されて嬉しい。なんて思えて、愛したいし愛されたい。なんて思える人間はお前以外いないよ。まお。」
「・・・ほんと?」
うるうる、と瞳を輝かせて、あの大好きなはてな?マークを投げかけてくる。
「ああ。誰よりも、何よりも、愛してるよ。まお。」
「・・・ありがとっ。おれもあいしてるっ。」
ぎゅうううっと首にしがみついてきて、ちゅ。ちゅ。と顔中にキスをくれる。
「あははっ。まお、くすぐったい。」
「んんっ。大ちゃん、大好きだよっ。」
「わかった。わかった。バレンタインにはまおの大好きなチョコボールケース買いしてやるよ。」
「んふふっ。じゃあ、おれはチョコケーキ焼いてあげるっ!!!」
ちゅ。ちゅ。キスをしながら、まおの頭を抱きしめて、ソファの上でゴロゴロとじゃれあいながら転がる。
面倒くさくて手のかかるコイビト。
そんな手間暇かけた分だけ、機嫌の直ったときのまおの可愛さもまた格別で。
努力も報われるってものだ。
・・・いやいや。拗ねてるもの可愛いんだけどな。