何でも凝り性で、はまったらとことん追求するタイプの俺のコイビト。
そんな一所懸命な姿が可愛らしいのだけれども・・・。
「大ちゃん、今日はくるみ入れて見たんだよっ。どうどうっ!?」
「ああ。美味しいよ。香ばしくて、いくらでも食べれるな。」
「でしょ~~??うれしいっ!!!」
俺の誕生日にサプライズでケーキが焼けるように特訓したらしいのだが。
それからと言うもの、別に記念日でも何でもないけれど「今日は図書館でお勉強してから、息抜きにケーキ焼いてみた。」という日々が何度もある。
きらきら。
と瞳を輝かせて、期待たっぷりに「どう?どう?」と待っているまおを見ていると、「作りすぎだろー・・・。」と思うけれど、「うれしいよ。」としか言えず。
まあ、実際毎回腕をあげるケーキの味は、しっとりととろけるように格段に上達しているので、ついつい食べ過ぎてしまうのだが。
「んん~~~。しあわせ。」
ぱくり。と自分でもケーキをほお張るまおのあまりにも幸せそうな顔を見て、ふふ。と笑みがこぼれる。
「今年は、ケーキ食べ過ぎないように気をつけなきゃな。三十路過ぎた男の腹は油断大敵なんだからな。」
「ふふふっ。大丈夫だよお。ちょっとぐらいお腹でても、愛してるからさあ。」
フォークを咥えたまま、今はまだ引き締まった俺の腹をなでなでと撫でてくる。
「あのさあ。俳優として、ヤバイだろ。」
「もしかしたら、中年太りの役が回ってくるかもしれないじゃない。」
自分で言っておきながら、そんな俺を思い浮べたのか、くすっとまおが笑う。
「・・・・それは、想像したくないかも。・・・まだ、ね。」
「でも、人間だからなあ。努力を怠ったら、いつかはそうなるんだよ。」
「・・・ん・・・。でも、皺皺のおじいちゃんになっても、白髪でお腹の肉がぷにぷにしてきても、愛してるからね。」
「そこは、そうならないように頑張ってね。大ちゃん。だろおお??」
あははっ。そっかあ。そうだよねえ。なんて無邪気に笑うまお。
あまりにも愛くるしいコイビトのケーキ攻撃に耐えかねて、食べすぎ警報が発動しないうちに、まおの「ケーキ作りブーム」が去ることを願うよ。
「卵白あわ立てて、メレンゲがふわっふわになったら、幸せなんだよね~~。」
なんて、次々にケーキをぱくつくまおを見ながら。
・・・当分、抜けそうにないな。
腹筋20回増やすか・・・・。
と、自分の腹の筋肉をつかむのだった。
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ちょっと遡りますが。
大ちゃんが、去年、ケーキ食べすぎだ。って言っていたので~~~。