「おはよ。」
「ふふっ。おはよ。」

「初日、おめでとうございます。」
「ありがとうございます。浜尾さんも、二日目を迎えた気分はいかがですか?」

目が覚めるとパチン。と視線があって、一番に言おうと思っていたセリフを大ちゃんに伝える。
ごろごろとベッドに寝転んだまま、言葉だけすんごく改まって返してくれる返事がなんだかとってもおかしい。

二人でじっと見詰め合って、次の瞬間同時にぷーーっ!!と吹き出した。

「ベッドで話す第一声がコレかよ。」
「あははっ。だって、真っ先に伝えたかったんだもん。」

「嬉しいけど、色気ないなあ。」
「・・・今更、色気必要??」

「や。まおは夜だけで、十分・・・。24時間色気振りまかれたら、俺の身がもたないわ。」
「あははっ。大ちゃん、常に発情期だもんね~~。」

クスクスと笑い転げながら、ベッドの中で上に下になりじゃれあう時間が心地よい。
きっと、同性で、同じ仕事をしているからこそ味わえるこの感覚。

「昨日ねえ、凄かったんだよ。メサイアの舞台に贈られた花束っ。俺も大ちゃんに贈っちゃおうかな~??」
「だったら、俺も贈らないと。」

「んふふっ。ロビーにでーん!!と渡辺大輔。ってあったら、テンションあがりすぎて集中できないよお。」
「でも、ほしいだろ?」

「うん。欲しい。すっごくあったら嬉しい。」
「でも、今回共通点がないもんなあ。」
「そうだよねえ。」

うーん。と天井を見上げながら、左手の薬指にはめたおそろいの銀細工の指輪をキラキラ光るのを眺める。

「・・・でも、離れてても、大ちゃんは大ちゃんの有頂天家族頑張ってるんだ。って思えるから、いいや。」
「・・・そうだな。」

演じる作品も、場所も違えども、同じ時間を共有している。
見事に上演期間が重なってしまって、お互いに観劇は叶わないかもしれないけれど、お互いの存在を感じることができる。

そんな今回の舞台の感覚は、それはそれでなかなか楽しい。

「まお。今日の朝ごはんは何にする?」
「んん~~。気合い入れたいメニューで。」

とっても的を得たリクエストだと思ったんだけど、伝わりにくかったみたい。
呆れたように、ぷぷっと噴出す大ちゃん。

「・・・どんなだよ。漠然としすぎて難しいわ。」
「じゃあ、大ちゃんの愛情たっぷりメニューで。」

「・・・あんま、レベル変わんないけど?」
「ふふふっ。何でもいいよお。一緒に食べれるだけで、元気でるから。」

ちゅ。ちゅ。とキスを交わしながらひとしきり抱き合うと、仰向けに並んで天井を見ながらぶつぶつとお互いにセリフの確認をする。

触れ合うぐらい側にいるのに、自分の世界に集中するこの感覚が好き。
ねえ?大ちゃん。