ひたむきで、真っ直ぐで、人見知りで、たどたどしい話し方で。

9年前って、こんなだったっけなあ?なんて、まおを見ながら懐かしんで。

瞳をキラキラと輝かせながら、期待しかありません。
でも、自分の力量のなさが悔しい、って楽屋の隅で落ち込んでいることもあった。

そんなまおの存在が、気になってしかたなかったものの、所詮は仕事仲間。
テニミュの舞台が終ってしまうと、まおは普通の高校生に戻る。
そんな、寂しさを吹き飛ばすように降って沸いた「タクミクンシリーズ」での共演の話に、心がうきうきと軽やかになる。

ふふっ。また、あの小動物のような可愛いまおに会えるな。

台本を詠みながら、頭の中でタクミを追いながらも、映像はまおで浮かんできていて。
-------ああ。こうやって今頃高校生してんのかなあ??なんて、現実のまおに思いを馳せる。

普段のまおは、どちらかと言うと、えへへ。と照れ笑いを浮かべながら、かまってもらえるのが嬉しい。ってイメージだ。
でも、「ほえ?」って感じで、なんとなくかみ合っていない天然なところは容易に想像できるなあ。

この内に篭る感じとか、切ない感情をまおはどうぶつけてくるんだろう・・・。

ベッドサイドにコーヒーを置いて、一人でベッドでゴロゴロしながらそんなことを考える。
よく知っている人間が相手役、ってのはいいんもんだなあ。
イメージしやすい分、すーっと光景が頭に入ってくる。

なんだかんだで、あっという間にお互いに連絡も取らないまま、撮影当日を迎えることになった。


先に現地入りしていたまおは、知らないスタッフに囲まれて人見知り本領発揮!!って感じで、
テイクがかかっていないときは、きょろきょろと落ち着かない様子だった。

「・・まお。よろしくな。」

こっそり、全体挨拶の前に声をかけると、明らかにほっ。とした表情を浮かべる。
・・・ああ。かわいい。
姉ちゃんに可愛がられて育って、必然的に遊び友達も年上が多かった俺は、この頼られる。っていう感覚に慣れていなくて、こんな「ほっ。よかったあ。」みたいな視線で見詰められると、くすぐったうような、胸がきゅんとするような不思議な感覚に陥る。

撮影一日目の夜。

監督の粋な??計らいで、同室になる俺とまお。

お互いにベッドにもぐりこんで、セリフ合わせをしていると、まおの声がだんだんと途切れ・途切れになる。

「・・・まお?」

名前を呼んでも返事がない。
隣を見ると、台本に真正面から突っ伏して、寝入ってしまっている。

「・・こら。まお。大切な台本によだれ垂れるぞ。」

ゆさゆさ。と揺さぶってみるものの、すやすやと眠る寝顔は天使そのものの安らかな寝顔で。

「まーおっ?まーおってばっ!!」

あああ。まだ時刻は10時なのに。
まだ2時間は眠くならないぞ・・・。暇だ・・・・。

「まあ、いくらでも眠れる年頃、ってやつなのかな・・・。学校との両立と、緊張で今日は疲れたんだな。」

台本を閉じてベッドサイドに置き、掛け布団を、肩までひっぱりあげて、かけてやる。

「・・・おつかれさん。まお。明日もがんばろうな。」

すやすやと可愛いまおの寝顔を見ているうちに。

ちゅ。


--------------んん??


気がつけば、まおの頬にキスをしてしまっていた。



びっくりした。びっくりした。びっくりした・・・・。

無意識の自分の行動に、心臓がバクバクと高鳴る。

落ち着け・・・。落ち着け。大輔。

これは、つまり、あの・・・。

そうそう。あまりにもまおが可愛いから。

ペットの犬や猫に飼い主がちゅ。ちゅ。キスするようなもんだ。


「んん・・・。ぶちょー?」

ころん。と寝返りを打って呼ばれた名前にどきいいっとするけれど、まおはすやすやと寝息を立てていた。

「なんだ。寝言かよ・・・。」

キスしたのが、ばれたのかと思った。


まあ、飲んだ席でのふざけあいレベルでの男同士で頬にちゅーぐらいは、珍しくも何ともないんだが。
なんとなく、ものすごくイケナイコトをしてしまったような気分になっていた。


思えば、これがまおを意識した始まり、だったのかもしれない。



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あり?まお君から告白シリーズううううう。(シリーズ化するのか?)で、軽いショートストーリーにするつもりだったのに、続く。ですね。

まお君から告白パターン絶賛妄想中です(///∇//)

全くのノープランなので、どこまで続くのかわかりませんが、もう少しお付き合いくださいませラブラブ