大ちゃんの部屋の鍵を開ける。
いつも両手に夕食の買出しのスーパーの袋を提げて開けるドア。
今日は手ぶらなのにドアノブがやけに重たい。
部屋の空気もひんやりと冷たくて・・・。
電気をつけて、エアコンを入れて。テレビのスイッチを入れて・・・・。
明るくて、暖かくて、にぎやかなはずなのに、心の中は氷のように冷たい。
・・・いや、熱いのだろうか??
おれの知らない大ちゃんを知っている人。楽しそうに昔の話をする二人・・・。
どうやったって、埋められないベツベツに過ごしてきた時間・・・。
9年間も早くこの世に生まれて。
25年間も俺の知らない時間がある。
そう思うと、二人で日々積み上げてきた6年間がものすごく短いものに感じられて・・・。
悶々と湧き上がってくる嫌な感情を洗い流してしいまいたくて、バスルームに飛び込むとコックを全開ににねり、思いっきり熱い湯を浴びる。
嫉妬したって仕方がないのに。
大ちゃんみたいに器の大きな人間になりたいのに。
こんなつまらないことで、頭がいっぱいになってしまっている自分が嫌で。
どろどろした感情を熱いお湯が溶かして、洗い流してくれればいい。
ザアアアア--------。
何も考えたくない。
大ちゃんを信じていたい。
シャワーの音にだけ、耳を傾けて、自分の影の心にふたをする。
その時。
ドンドンとドアを叩く音にはっと我に返る。
「まおっ・・・・。」
振り向き前に息もできないぐらいに強く抱きしめられる。
「よかった・・・。帰ってきてくれてたんだ・・・。」
洋服からポタポタと雫が垂れている。
はだしのおれの足と、靴下を履いたままの大ちゃんの足・・・。
どれだけ焦って飛び込んできてくれたかが、わかる・・・けれど・・・・。
「まお?ごめんな?」
耳元でささやかれ、ぎゅっと抱きしめてくれるけれど、顔を上げられない。
きっと嫌な感情でどろどろになった顔をしているから。
大切な大ちゃんと、大ちゃんのお友達を傷つけるようなことをしてしまったから・・・。
「・・・まお?まだ怒ってる・・・よな・・・?」
違うのに。怒るべきなのは大ちゃんのほうなのに。
なのに、きちんと言葉にすることができなくて、一生懸命首を横にふる。
「久しぶりのデートだって、楽しみにしてくれてたんだよな?なのに、不可抗力とは言え、考えナシだった。」
「ううん・・。違うの・・・。勝手にやきもちやいちゃっただけで・・・。」
そう。
大ちゃんは何も悪くないのに。
街で何年かぶりに偶然出逢った学生時代の友達と、話をしただけ。
ちゃんと、おれのことを紹介だってしてくれたし、話題に取り残されないように何度もこっちを気遣ってくれてもいた。
「おれのほうこそごめん・・・。」
やっと素直にでた謝罪の言葉にほっとする。
「本当に、よかった・・・。帰ってきてくれて。・・・俺、まおがいないとダメなんだからな。」
ぎゅっとおれの頭を抱く腕から、微かに震えているのが伝わってくる。
こんな心の狭い人間でも、大切に思ってくれる大ちゃんの思いに・・・・。
自然と涙があふれてきた。
「ううん。おれのほうこそ、大ちゃんがいないとダメなんだ・・・・。」
ぎゅっと抱きしめ返すと、バクバクと張り裂けんばかりに脈打っている大ちゃんの心臓の音が聞こえる。
おれがいなくなるかもしれない、とこんなにも不安になってドキドキしていたんだ。
そう思うと、なんだか胸が張り裂けそうになって・・・。
「ごめんね。大ちゃん。ほんとに、ほんとに、愛してるよ・・・。ただ、それだけなんだ。
うまく表現できなくて、本当にごめん。」
流れ落ちるシャワーに顔面ずぶ濡れでよくわからないけれど、泣いているような気がした大ちゃんの唇に、思いを込めてキスをした。
「俺も、愛してる・・・。ただ、それだけなのに。不安にさせてごめんな?」
くちびるが触れ合った瞬間に、ふっと安心したように力が抜けた腕。
切ないほどに、まっすぐにみつめてくれる瞳。
「お互い、不器用だね・・・。」
「ああ・・・・。」
流しっぱなしだったシャワーをきゅっと止めて、再びゆっくりとお互いの思いを確かめ合うキスをした。
いつも両手に夕食の買出しのスーパーの袋を提げて開けるドア。
今日は手ぶらなのにドアノブがやけに重たい。
部屋の空気もひんやりと冷たくて・・・。
電気をつけて、エアコンを入れて。テレビのスイッチを入れて・・・・。
明るくて、暖かくて、にぎやかなはずなのに、心の中は氷のように冷たい。
・・・いや、熱いのだろうか??
おれの知らない大ちゃんを知っている人。楽しそうに昔の話をする二人・・・。
どうやったって、埋められないベツベツに過ごしてきた時間・・・。
9年間も早くこの世に生まれて。
25年間も俺の知らない時間がある。
そう思うと、二人で日々積み上げてきた6年間がものすごく短いものに感じられて・・・。
悶々と湧き上がってくる嫌な感情を洗い流してしいまいたくて、バスルームに飛び込むとコックを全開ににねり、思いっきり熱い湯を浴びる。
嫉妬したって仕方がないのに。
大ちゃんみたいに器の大きな人間になりたいのに。
こんなつまらないことで、頭がいっぱいになってしまっている自分が嫌で。
どろどろした感情を熱いお湯が溶かして、洗い流してくれればいい。
ザアアアア--------。
何も考えたくない。
大ちゃんを信じていたい。
シャワーの音にだけ、耳を傾けて、自分の影の心にふたをする。
その時。
ドンドンとドアを叩く音にはっと我に返る。
「まおっ・・・・。」
振り向き前に息もできないぐらいに強く抱きしめられる。
「よかった・・・。帰ってきてくれてたんだ・・・。」
洋服からポタポタと雫が垂れている。
はだしのおれの足と、靴下を履いたままの大ちゃんの足・・・。
どれだけ焦って飛び込んできてくれたかが、わかる・・・けれど・・・・。
「まお?ごめんな?」
耳元でささやかれ、ぎゅっと抱きしめてくれるけれど、顔を上げられない。
きっと嫌な感情でどろどろになった顔をしているから。
大切な大ちゃんと、大ちゃんのお友達を傷つけるようなことをしてしまったから・・・。
「・・・まお?まだ怒ってる・・・よな・・・?」
違うのに。怒るべきなのは大ちゃんのほうなのに。
なのに、きちんと言葉にすることができなくて、一生懸命首を横にふる。
「久しぶりのデートだって、楽しみにしてくれてたんだよな?なのに、不可抗力とは言え、考えナシだった。」
「ううん・・。違うの・・・。勝手にやきもちやいちゃっただけで・・・。」
そう。
大ちゃんは何も悪くないのに。
街で何年かぶりに偶然出逢った学生時代の友達と、話をしただけ。
ちゃんと、おれのことを紹介だってしてくれたし、話題に取り残されないように何度もこっちを気遣ってくれてもいた。
「おれのほうこそごめん・・・。」
やっと素直にでた謝罪の言葉にほっとする。
「本当に、よかった・・・。帰ってきてくれて。・・・俺、まおがいないとダメなんだからな。」
ぎゅっとおれの頭を抱く腕から、微かに震えているのが伝わってくる。
こんな心の狭い人間でも、大切に思ってくれる大ちゃんの思いに・・・・。
自然と涙があふれてきた。
「ううん。おれのほうこそ、大ちゃんがいないとダメなんだ・・・・。」
ぎゅっと抱きしめ返すと、バクバクと張り裂けんばかりに脈打っている大ちゃんの心臓の音が聞こえる。
おれがいなくなるかもしれない、とこんなにも不安になってドキドキしていたんだ。
そう思うと、なんだか胸が張り裂けそうになって・・・。
「ごめんね。大ちゃん。ほんとに、ほんとに、愛してるよ・・・。ただ、それだけなんだ。
うまく表現できなくて、本当にごめん。」
流れ落ちるシャワーに顔面ずぶ濡れでよくわからないけれど、泣いているような気がした大ちゃんの唇に、思いを込めてキスをした。
「俺も、愛してる・・・。ただ、それだけなのに。不安にさせてごめんな?」
くちびるが触れ合った瞬間に、ふっと安心したように力が抜けた腕。
切ないほどに、まっすぐにみつめてくれる瞳。
「お互い、不器用だね・・・。」
「ああ・・・・。」
流しっぱなしだったシャワーをきゅっと止めて、再びゆっくりとお互いの思いを確かめ合うキスをした。