寒くなってきてからのまおは、あれこれと忙しい。

朝起きたらエアコンが効いてくるまで、布団のなかでじっと丸まり。

カラダが冷えないうちに、大急ぎで着替えを済ませて、キッチンに立つ。

もちろん、俺がプレゼントしたふかふかスリッパに脚を包み、朝食用のコーヒーと、自分用の生姜湯を作る。

猫舌のくせに、毎朝、ふうふうしながら一生懸命生姜湯と格闘している。

カップを包み込む掌を、そでで半分以上隠しているため、指先しか見えない。


「冷え性って、大変だなあ・・・・。」
「うん~~。もう、かじかんじゃうと、指先動かないからね。」

などと言いながらも、俺が帰る頃には冷たい指先で洗濯モノを取り入れ、たたんでくれている。
俺がするよ。と言っても、「ここにいさせてもらってるんだから、これぐらいさせてよ。それに・・・うれしいよ?」
と、ゆずらないまお。

俺のために尽くしてくれる冷たい指先が愛おしくて。

「いつもありがと・・・。」

まおの両手を包み込んで息を吐きかける。
そんなことしかできないのだけれど。

なのに、「大ちゃんみたいにかっこよくなりたい。」と、お洒落は我慢だからね。と冬場でも大きく襟ぐりの開いたシャツをセレクトするまお。


冬物を調達しに、ショッピングに出かける。

「あ、これあったかそう・・・。」

カーキ色のざっくりと編まれたニット。
襟ぐりは大きく開いているけれど、まおの鎖骨が綺麗に見えて似合いそうだ。
隣には、ヒートテックのぴったりしたデザインのTシャツが積んであって。

まおの好みだと、黒なのかなあ・・・。とも思うけれど、カーキ色のざっくりしたニットを着ているまおは、三毛猫のように可愛らしい気がして。

ニットをすっぽりかぶせて、膝を抱えてソファに丸まっているまお。を想像すると、あまりにしっくりきすぎていて、やっぱりこれだな。
と、同じデザインのサイズ違いと2枚持ってレジに並ぶ。

まおが自分で選んだ服は、ビシッと決めたものが多いけれど・・・。
二人でふんわりまったり、こんなざっくりニットも悪くないだろ??


すでに薄暗くなってきた道を、ニットの入った紙袋の香りを嗅ぎながら歩く。
キンキンと冷える空気が、肌を突き刺すけれど、まおのためにできるプレゼントを見つけた日は、なんだか心がほかほかとした。