腕の中のまおが、身じろぎする。

「んん・・・・。」

布団からでた肩を丸めるようにして、もぞもぞと俺の胸に鼻先を擦りつけ、頭からすっぽりと布団の中にはいる。
そのまま、すうすうとまた寝息を立て始めるまお。

そんな愛しい存在を胸に、目覚めた朝。

しばらくそのままでまあるくなったまおの背中と頭を撫でていたけれど、そろそろ起きなくてはいけない時間になってしまった。
こんなに幸せそうに丸まっているまおを起こすのは、可愛そうだけれど仕方がない。

まおのスケジュールからすれば、一人で寝坊していても構わないのだけれど・・・。
あまりにも幸せそうなので、一回そっとしておいたら、「一人ぼっちで寂しかったんだから!!」って逆にうるうると大粒の涙をためて、抗議されたっけ。

「・・・おはよ。まお。」

そっと、その肩を揺り動かす。

「んん・・・・。おはよ・・。大ちゃん・・・・。」

眠い目をこすって、腕の中から見上げるまお。

「そろそろ、起きよっか・・・。」
「うう~~。寒いよお・・・。」

ごろごろ、二人でお互いの肌をまさぐりあい、ぬくもりを確かめ合うばかりで、口は「起きよう。」と言っているのに、なかなか行動に移せない。

「暖房つけてきて~~。・・・・ね?おねがい。」
「え~~。まおがつけてこいよっ。」

布団に丸まって鼻先だけ出して、あのキラキラ天使な瞳をうるうるさせてお願いされる。
・・・・ほんと、ずるいよなあ。まおは。
こんな顔されたら、俺が断れないってわかってて、やってるだろ??
と、時々疑いたくなる。

「・・・もう、わかったよ。トクベツだぞ。」

結局、まおのお願い、なら聞いてしまうのだ。
エアコンのスイッチを入れて、ついに遮光カーテンを開けて、ティファールの湯沸しをセットする。

「うわっ・・・。まぶし。」

ふたたび頭まで布団にもぐりこんだまおの隣に、俺もぬくもりを求めて滑りこむ。

「ひゃっ。大ちゃんつめた~~い。」

まおの素肌に掌をすべらせると、身をよじって逃げるまお。

「あっ。ひっでーなあ。せっかく、エアコン入れてきてやったのに・・。」
「うそうそ。・・・大ちゃん、愛してるよっ!!」

ぎゅううっと今度は抱きついて、頬にちゅ。っとキスをくれる。

「うわ~~。嘘くせえ。」
「ごめん。ごめん。・・・・本当に、ありがと・・・・。」

今度はゆっくりと、俺の頭を撫でながら、優しくまぶたから鼻筋をとおって、ふんわりと唇にキスをくれる。

「そのかわり、朝ごはんがんばるから・・・。」
「ああ。いつもありがとうな。まお。」

朝からお互いの存在に感謝し、こうやってぬくもりを分かち合える幸せを噛み締める。

ごろごろしながら、あ。タイマー機能というものがあるじゃないか・・・。と気がつくけれど、まおにお願いされるのも、悪くない。
うん。気がつかなかったことにしよう。


窓から差し込むまばゆいい光と、腕の中のぬくもりと、お湯の沸くぽこぽこという音を聞きながら。

今日もとびきり素敵な一日になるような気がしてきた。



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おはようございます。

今日は寒いけど、気持ちのいい晴天。

じゃあ、お仕事がんばりましょうねっ!!!