ふんわりと甘い香りがする。
どこかで嗅いだことのある・・・愛おしさの混じったような香り。
ああ。そうだ。
おかえり、と抱きしめてくれるまおから、時々する砂糖が焦げる匂い・・・。
まどろむ意識のなか、ひんやりとした感触に目が覚める。
「・・・おはよ。大ちゃん。改めて。誕生日、おめでとう。」
「・・・・ありがとう。」
ふふ。とってもくすぐったそうに笑ってから、ふあん。と天使のような微笑みを浮かべるまお。
「愛してるよ。大ちゃん。」
ベッドの端に座ると、俺の上に覆いかぶさると、いつかした約束どおり、俺の目覚めと同時に「愛してる」とささやきながら、キスをくれる。
「俺も、愛してるよ。まお。」
ふんわりと俺からも唇を重ねると、あたたかくてほんのり甘いまおの味がする。
「んん・・・。」
耳に心地よい、まおの甘えた声。
部屋中に満ちてりる甘い香りが、二人を包み込みほんわかとした空気を作り出す。
きっと朝から早起きして、俺の誕生日を祝うために色々と準備してくれていたのであろうひんやりと冷たいまおの体を抱きしめる。
髪の毛に鼻先を埋めると甘い香りが鼻先をくすぐり、背中に腕を回すと手のひらになじんだなめらかな肌の感触を感じ、密着した胸からは、まおの鼓動を感じる・・・。
31回目の誕生日にも、この腕に愛しいまおを抱ける幸せ。
「31歳の俺も、見ててくれな。まお?」
「うんっ・・・。両目見開いて、ちゃんと見てる。」
キラッキラの瞳を、これでもかっ!!ってぐらいに見開いて、みつめてくれるまお。
ぷぷぷ。
素直に反応してくれるまおが、なんだかおかしい。
気持ちの問題、のことを言ってるんだけどな・・・・。
・・・お前の目は大きいから、普通にしてても十分見えてそうだよ・・・。
「なあ?さっきから甘い匂いしてるんだけど、何?」
「あ。気がついてくれたっ!?・・・・実はねえ。ケーキ焼いたの。」
「ケーキいい?」
確かに俺との二人暮らし状態で、格段に料理の腕は上手くなったけれども。
まさか、スイーツにまで手をだしていたとは・・・。
「難しいんだよお。意外と。卵白しっかり泡立てないと、すぐぺっしゃんこになるし・・・。」
ぺしゃん!!って両手を合わせてジェスチャーしている仕草が愛くるしくて、きっとクリームまみれになりながら悪戦苦闘したんだなあ、と思うと思わず笑みがこぼれる。
「ねねね。大ちゃん、食べてみて~~。」
「お前・・・。朝からケーキかよお。」
なんて文句を言いながらも、腕を引かれてダイニングに向かうと、オーブンから取り出したばかりのほかほかと湯気を立てている焼き立てのケーキはとてもうまそうで。
キッチンで落としてくれているコーヒーの香り高い匂いを嗅ぎながら、一口ちぎって口に放り込む。
「あっ。スッゲーうまい。」
ほかほかと口の中でとろけてゆくほんのりと甘い生地。
「あっ!!大ちゃん、つまみぐい~~!!」
湯気のたつカップを両手に持ってやってきたまおが、コラっ!!と可愛く拗ねる。
「ちゃんと上手に焼けてた?」
「ああっ。もう、100点満点だよ。」
「・・・お世辞じゃなくて?」
「今更お前相手に、お世辞言ったって、しかたないだろお?・・がんばったんだな。まお。」
「ふふ。よろこんでくれて、うれしい・・・・。」
ふあん、と微笑んで瞳を閉じるとそっとキスをねだる。
二人で並んではふはふとケーキを食べ、ふうふうとコーヒーを飲み・・・。
って、そんなことをしているのはまおだけで、相変わらずの猫舌だなあ。と俺はそんな姿をほほえましく眺めている。
食器を片付けると、まおがリボンのかかった小さな箱をくれる。
「なんか・・・。ごめんね。プレゼント、何がいいのか全然わからなくて・・・。」
リボンをほどくと、入っていたのは3cmぐらいの厚さの青空のプリントされたメモ用紙の束と、水晶を抱えたドラゴンのキーホルダー。
「なんかね。31歳の大ちゃん・・・。って考えた時に、とにかく一年間無事で怪我なくお仕事頑張ってね。しか思いつかなくって・・・。水晶は、お守り。・・・・おれにできることって何かなあ。って一生懸命考えたんだけど、わかんなくって。・・・大ちゃんのしてほしいこと、なんでもそれに書いて??」
ごめんね?と言いながら、恥ずかしそうにプレゼントの中身を説明してくれるまお。
「・・・なんか、俺、今スッゲー感動してるんだけど・・・・。」
こみあげてくる思いのままに、まおをぎゅううっと抱きしめる。
何ヶ月も前から、上手にケーキが焼けるようにと特訓して、俺の大好きな青空を印刷して、俺の身を案じてお守りを選んでくれて・・・・。
やばい。涙こぼれる・・・・。
「俺のためにここまで考えてくれてたまおの気持ちが、本当に嬉しい。・・・誕生日そのものよりも、ここまで積み上げてきたまおの気持ちが・・・。本当に、本当に・・・・・。」
後は、声にならなくて、ただただまおをぎゅううっと抱きしめて思いを伝える。
「大ちゃん・・・・。」
まおが、戸惑いながらもそんな俺に安心したようにぎゅ。と背中に腕を回してくる。
「おれのほうこそ、ただただこうやって大ちゃんと一緒に過ごせるのが幸せで・・・・。上手にお祝いできなかったのに・・・。」
「まおがいてくれたら、それでいいよ。ずっと抱きしめさせてくれ。」
ふふ。と笑うとソファの上に膝を立てて、肩をつつみこむように抱きしめてくれるまお。
「うん。ずっとずっと大ちゃんと一緒にいる。・・・でもね、大ちゃんが辛いときには、おれにも抱きしめさせてね。」
「・・・・・ああ・・・・。」
ああ。そうだった。
守るべきもの、と思ってひたすら前を向いて頑張ってきたけれど、時に包み込み、癒し、背中を力強く押してくれる存在。
31歳と22歳。
どれだけ年齢を重ねても9歳の差は縮まることはないけれど、まおの全力の愛情に時には甘えよう。
一方的なものではなくて、お互いに支えあって生きてゆこう。
「・・・あ。そうだ。俺からもプレゼントがあるんだ。」
「・・・えっ!?だって、今日は大ちゃんの誕生日・・・・。」
「いいから。いいから。・・・まお、開けてみ?」
びっくりした表情をしながらも、嬉しそうにガサゴソと包みを開ける。
「これっ・・・。」
「お前、かばんの紐、切れただろ?んで、この前、どれにしよっかなあ・・。って悩んでたから。」
本皮の、大き目の本をたっぷり入れても余裕のあるサイズ。
「俺からの、未来へのまおへのプレゼント。31歳も、よろしく、って気持ちを込めて。・・・しっかり、勉強しろよなっ!!」
うるうる。
まおの瞳がみるみるうちに潤んでゆく。
本当に、こいつは涙もろいなあ・・・・。
でも、うれし涙だから。
涙をこぼすほど、喜んでもらえたことに嬉しくなる。
「だいちゃ・・・・。」
「・・・ん?」
「ありがとっ・・・・・・。」
ぎゅううっと抱きつかれて、シャツに涙の染みをつくる。
でも、その冷たさがありがたい。
まおの笑顔が見れたから。
31歳の誕生日に、まおを喜ばすことができたから。
ハッピーバースデイ。俺。
そして、これからもよろしくな。まお?
どこかで嗅いだことのある・・・愛おしさの混じったような香り。
ああ。そうだ。
おかえり、と抱きしめてくれるまおから、時々する砂糖が焦げる匂い・・・。
まどろむ意識のなか、ひんやりとした感触に目が覚める。
「・・・おはよ。大ちゃん。改めて。誕生日、おめでとう。」
「・・・・ありがとう。」
ふふ。とってもくすぐったそうに笑ってから、ふあん。と天使のような微笑みを浮かべるまお。
「愛してるよ。大ちゃん。」
ベッドの端に座ると、俺の上に覆いかぶさると、いつかした約束どおり、俺の目覚めと同時に「愛してる」とささやきながら、キスをくれる。
「俺も、愛してるよ。まお。」
ふんわりと俺からも唇を重ねると、あたたかくてほんのり甘いまおの味がする。
「んん・・・。」
耳に心地よい、まおの甘えた声。
部屋中に満ちてりる甘い香りが、二人を包み込みほんわかとした空気を作り出す。
きっと朝から早起きして、俺の誕生日を祝うために色々と準備してくれていたのであろうひんやりと冷たいまおの体を抱きしめる。
髪の毛に鼻先を埋めると甘い香りが鼻先をくすぐり、背中に腕を回すと手のひらになじんだなめらかな肌の感触を感じ、密着した胸からは、まおの鼓動を感じる・・・。
31回目の誕生日にも、この腕に愛しいまおを抱ける幸せ。
「31歳の俺も、見ててくれな。まお?」
「うんっ・・・。両目見開いて、ちゃんと見てる。」
キラッキラの瞳を、これでもかっ!!ってぐらいに見開いて、みつめてくれるまお。
ぷぷぷ。
素直に反応してくれるまおが、なんだかおかしい。
気持ちの問題、のことを言ってるんだけどな・・・・。
・・・お前の目は大きいから、普通にしてても十分見えてそうだよ・・・。
「なあ?さっきから甘い匂いしてるんだけど、何?」
「あ。気がついてくれたっ!?・・・・実はねえ。ケーキ焼いたの。」
「ケーキいい?」
確かに俺との二人暮らし状態で、格段に料理の腕は上手くなったけれども。
まさか、スイーツにまで手をだしていたとは・・・。
「難しいんだよお。意外と。卵白しっかり泡立てないと、すぐぺっしゃんこになるし・・・。」
ぺしゃん!!って両手を合わせてジェスチャーしている仕草が愛くるしくて、きっとクリームまみれになりながら悪戦苦闘したんだなあ、と思うと思わず笑みがこぼれる。
「ねねね。大ちゃん、食べてみて~~。」
「お前・・・。朝からケーキかよお。」
なんて文句を言いながらも、腕を引かれてダイニングに向かうと、オーブンから取り出したばかりのほかほかと湯気を立てている焼き立てのケーキはとてもうまそうで。
キッチンで落としてくれているコーヒーの香り高い匂いを嗅ぎながら、一口ちぎって口に放り込む。
「あっ。スッゲーうまい。」
ほかほかと口の中でとろけてゆくほんのりと甘い生地。
「あっ!!大ちゃん、つまみぐい~~!!」
湯気のたつカップを両手に持ってやってきたまおが、コラっ!!と可愛く拗ねる。
「ちゃんと上手に焼けてた?」
「ああっ。もう、100点満点だよ。」
「・・・お世辞じゃなくて?」
「今更お前相手に、お世辞言ったって、しかたないだろお?・・がんばったんだな。まお。」
「ふふ。よろこんでくれて、うれしい・・・・。」
ふあん、と微笑んで瞳を閉じるとそっとキスをねだる。
二人で並んではふはふとケーキを食べ、ふうふうとコーヒーを飲み・・・。
って、そんなことをしているのはまおだけで、相変わらずの猫舌だなあ。と俺はそんな姿をほほえましく眺めている。
食器を片付けると、まおがリボンのかかった小さな箱をくれる。
「なんか・・・。ごめんね。プレゼント、何がいいのか全然わからなくて・・・。」
リボンをほどくと、入っていたのは3cmぐらいの厚さの青空のプリントされたメモ用紙の束と、水晶を抱えたドラゴンのキーホルダー。
「なんかね。31歳の大ちゃん・・・。って考えた時に、とにかく一年間無事で怪我なくお仕事頑張ってね。しか思いつかなくって・・・。水晶は、お守り。・・・・おれにできることって何かなあ。って一生懸命考えたんだけど、わかんなくって。・・・大ちゃんのしてほしいこと、なんでもそれに書いて??」
ごめんね?と言いながら、恥ずかしそうにプレゼントの中身を説明してくれるまお。
「・・・なんか、俺、今スッゲー感動してるんだけど・・・・。」
こみあげてくる思いのままに、まおをぎゅううっと抱きしめる。
何ヶ月も前から、上手にケーキが焼けるようにと特訓して、俺の大好きな青空を印刷して、俺の身を案じてお守りを選んでくれて・・・・。
やばい。涙こぼれる・・・・。
「俺のためにここまで考えてくれてたまおの気持ちが、本当に嬉しい。・・・誕生日そのものよりも、ここまで積み上げてきたまおの気持ちが・・・。本当に、本当に・・・・・。」
後は、声にならなくて、ただただまおをぎゅううっと抱きしめて思いを伝える。
「大ちゃん・・・・。」
まおが、戸惑いながらもそんな俺に安心したようにぎゅ。と背中に腕を回してくる。
「おれのほうこそ、ただただこうやって大ちゃんと一緒に過ごせるのが幸せで・・・・。上手にお祝いできなかったのに・・・。」
「まおがいてくれたら、それでいいよ。ずっと抱きしめさせてくれ。」
ふふ。と笑うとソファの上に膝を立てて、肩をつつみこむように抱きしめてくれるまお。
「うん。ずっとずっと大ちゃんと一緒にいる。・・・でもね、大ちゃんが辛いときには、おれにも抱きしめさせてね。」
「・・・・・ああ・・・・。」
ああ。そうだった。
守るべきもの、と思ってひたすら前を向いて頑張ってきたけれど、時に包み込み、癒し、背中を力強く押してくれる存在。
31歳と22歳。
どれだけ年齢を重ねても9歳の差は縮まることはないけれど、まおの全力の愛情に時には甘えよう。
一方的なものではなくて、お互いに支えあって生きてゆこう。
「・・・あ。そうだ。俺からもプレゼントがあるんだ。」
「・・・えっ!?だって、今日は大ちゃんの誕生日・・・・。」
「いいから。いいから。・・・まお、開けてみ?」
びっくりした表情をしながらも、嬉しそうにガサゴソと包みを開ける。
「これっ・・・。」
「お前、かばんの紐、切れただろ?んで、この前、どれにしよっかなあ・・。って悩んでたから。」
本皮の、大き目の本をたっぷり入れても余裕のあるサイズ。
「俺からの、未来へのまおへのプレゼント。31歳も、よろしく、って気持ちを込めて。・・・しっかり、勉強しろよなっ!!」
うるうる。
まおの瞳がみるみるうちに潤んでゆく。
本当に、こいつは涙もろいなあ・・・・。
でも、うれし涙だから。
涙をこぼすほど、喜んでもらえたことに嬉しくなる。
「だいちゃ・・・・。」
「・・・ん?」
「ありがとっ・・・・・・。」
ぎゅううっと抱きつかれて、シャツに涙の染みをつくる。
でも、その冷たさがありがたい。
まおの笑顔が見れたから。
31歳の誕生日に、まおを喜ばすことができたから。
ハッピーバースデイ。俺。
そして、これからもよろしくな。まお?