「おやすみ。」
「・・・おやすみ。大ちゃん。」

二人でベッドにもぐりこんで、ライトを落とす。
部屋には、薄ぼんやりとしたフットライトがオレンジ色に部屋をあたたかく照らす。

「・・・ねえ。あと、二日だね・・・・。」
「・・・・ああ。あっという間の一年だったなあ・・・。」

二人で天井を見上げて、三十路、を祝ってからの一年間を振り返る。
ぎゅっと握り締められた手から、一年間の大ちゃんの色々な想いが伝わってきて。おれもぎゅっと握り返す。

次々と仕上げていった大きな舞台。
おれの仕事で離れ離れになって、でもお互いに愛を自覚し、強くなった日々。

寒いときは、肌を寄せ合い、お互いのぬくもりを感じあって。
暑いときはエネルギッシュな時間を楽しみ、二人で風情を楽しんで。

一年、一年共に過ごす時間が増えるごとに、思い出す思いでも感慨深いものになってゆく。

「ねえ・・・。この一年でやり残したことってある?」
「ない。」

「即答だねえ・・・。」

あまりにも、きっぱり、はっきり、即答してくれるものだから、ぷぷっ。と噴出してしまう。

「そりゃあ、毎日全力投球で生きてるからな。仕事も、まおに対しても。」

強い意志をたたえた大ちゃんの瞳。

いつもひたむきに、真っ直ぐに、真面目に物事に取り組む責任感の重さと、それと同じぐらい、おれに対しても常に最大限の愛情を注ぎ込んでくれているのを感じる。

「ほんと、まおに出会えてよかったなあ・・・。俺。」
「・・・ん?」

「まおがずっと尊敬してくれてるから、頑張んなきゃな。っていうのもあったし、自分の生きてきた歴史を遺したいなあ、っていう感情も強くなった。・・・だから、感謝してるよ?」
「ええ~~~。そんな、おれなんて、大ちゃんの背中を追いかけるばっかりなのに・・・。」

恐縮してしまう。
でも、それがうれしい、と言ってくれる大ちゃん。

「んん・・。おれも、大ちゃんに出会えて、うれしいっ。」

ぎゅうう。っとカラダをずらして大ちゃんの胸に腕を回して抱きしめる。

「三十路、って響きもあるんだろうけどさあ。昔から男は30から!!って想いが凄くあって、29と30って全然違うかったけど・・・。今年は、いつもの日常のなかに、誕生日という一日がある。って感じかなあ。」
「・・・そうなの?」

大ちゃんの顔を見上げると、ふふ。と穏やかに笑っていた。

「だから、無理にトクベツ!!なことしなくても、こうやってまおと抱きしめあえていることに感謝だなあ。って思うんだよな。そして、こうやってこの時間を過ごすことができる、全てのできごとが愛おしく感じる。」

ぎゅっと優しく大ちゃんの腕の中に抱きしめられて、愛おしそうに頭を撫で、背中を撫でてくれる。

あ・・・。ダメだ、涙でる・・・。

なんだか、本当に懐の大きな人間で。
このぬくもりに包まれていることができる自分がどれだけ幸せかを実感して・・・・。

グスン。

耐え切れなくて、鳴らしてしまった鼻音に大ちゃんがびっくりしたように声を上げる。

「なんで、そこで泣くんだよっ!?」
「だって・・・・。だって・・・・。あまりにも、うれしすぎて・・・。」

「泣き虫だなあ・・・。まおは。」

あははっ。と笑いながら、ポンポンと子供をあやすように頭を撫でてくれる大ちゃん。

「あのね・・・。うまく言えないけど、大ちゃんのこと好きになってよかったあ。って思ったんだよね・・・・。」
「うん。・・・・なんとなく、わかるよ?まおの言いたいこと。」

「本当に、幸せだなあ・・・。って・・・・。」
「うん。そう思ってくれて、俺も幸せもらってるよ?」

ふふ。と俺のことをなだめながら、幸せそうに微笑む大ちゃん。
本当に、この人はおれの幸せを、自分の幸せ、と感じてくれるんだ。

大ちゃんのキラキラ輝いていた三十路が、あと2日で終わり、新しい年月が刻まれる。

その瞬間に、こうやって同じ時間を過ごすことができるのが、どれだけ幸せか・・・。



神様。

ワタナベダイスケをこの世に送り出していただいて、ありがとうございます。
ハマオキョウスケを、同じ時代に送り出していただいてありがとうございます。

そして、何より・・・。

めぐり合い、愛し合うことができたことに・・・・。

感謝します。



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ああんWW

スイートというより・・・・。ものすごく真面目になっちゃたWW
最近、なんか重いなあ・・・。