あれから、10年後。

ここは祠堂大学病院小児科病棟。

「渡辺せんせー。うさぎさんかいて~~。」
「きょうりゅうかいて~~。」

子供達に囲まれて、お絵かきをせがまれる毎日。

「わあ。せんせい、これひよこ~~?」
「・・・いや。きょうりゅう・・・・。」
「きょうりゅうは、つのがあって~~、もっとあし、ふといんだよお。」

「あははっ。これ、かわいい。おばけ~~?」
「いや、うさぎ・・・。」
「うさぎさんはねえ。みみがながくて~~。しっぽが、まるくて~~。」

なんて、さらさらとお絵かきをはじめる子供達のほうが、よっぽど上手なのだけれど、なぜか僕の絵は大人気で、次から次へと子供たちに囲まれる。

サイズの違う人影を感じて、ふ。と視線を上げると外科医長 渡辺大輔の名札をつけた大ちゃん。

「ま~おっ。相変わらずの画伯っぷりだな。大人気じゃん。」
「大人気というか、面白がられてるというか・・・。」

笑顔の子供達の頭を一人ずつくしゃりと撫で、にっこりと笑うと。

「まおが、みんなに愛されてることに変わりふ^はないだろ?
・・・なあ。まお先生の絵、みんな大好きだよなあ?」

「うんっ!!おもしろい~~。」
「いっつも、かわいいよ~~。」

はーい!!と元気よく手を上げる子供達。

「ねえねえ。なんで、まお先生なのお?渡辺先生だよお?」
「・・・・あ。先生も、おんなじ名前なんだね?」

字の読める、小学生チームが素朴な疑問をぶつけてくる。

「あのね。先生は、昔浜尾って名前だったの。だから、あだ名がまお、だったんだ。そのころから、ずうっと仲良しだったんだよ?渡辺先生とは。」
「ふ~~ん。じゃあ、なんで渡辺になったの?」

子供相手にどう説明したらいいものやら・・・。

「それはね。先生達が結婚したからだよ?」

迷っている間に、即座に答える大ちゃん。
もうっ・・・。大ちゃんは、違う科だからいいけど、僕は毎日この子達と接するんだぞ。

「へえ。先生達、ケッコンしてるんだあ。いいなあ。こんなカッコイイパパで・・・。」

大ちゃんをうっとりとみつめる4歳の女の子。
いや・・・。なんか視点ずれてるけど・・・。っていうか、こんなちっちゃい子まで、メロメロにしちゃう大ちゃんって・・・・。

嫁冥利につきるというか、複雑というか。

「でも、わたなべ先生もビジンだし・・・。おにあいだねっ!!」

キラキラと憧れの眼差しで見詰められ。

大ちゃんに頭を撫でられて嬉しそうな子供達の笑顔と。
僕たちをみて、おにあいだと瞳を輝かす少女の笑顔をみて。


本当に、大ちゃんに出会えて、一生懸命勉強して努力して。
大ちゃんと共に歩んできてよかったなあ。と幸せをかみしめるのだった。



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完からの、ここまでがセットというか・・・・。

まお君の発表前に、ここまで浮かんでいた映像。

しばらく書けなかったのですが、反対に今はこのタイミングで書きたいなあ。と思いました。

本当に、幸せそうにみんな笑っていて、これからの二人の未来を象徴しているようだったので。