シュタゲ千秋楽。
充実感と達成感が、全身を包み、限界を覚えている肉体も、喉の痛みも忘れてしまうような興奮の中、幕を閉じた。
幕が下りた瞬間、全力投球で取り組んできたこの終るのが、ほっとするような寂しいような・・・。
「おつかれええ~~。」
「おつかれさまあ。」
近くにいる仲間たちと、半べそをかきながらハグしあい。
この感動を分かち合う。
打ち上げではみんな開放感に浸って、テンション高く語り合い楽しいひと時を過ごしたのだけれど。
ふ。とした時に家で待っているだろうまおの顔が浮かんできて、どうしようもなく会いたくなってきて、「用事あるんで、お先に。」って、少し早めに切り上げてきた。
家路を急ぐ歩調がいつもより速い。
この感動を、まおとも分かちあいたい。
ずっと支えてきてくれた、お前のお陰だよ。って感謝の言葉を伝えたい。
「ただいまっ!!まお。」
「おかえりっ!!大ちゃんっ!!!」
弾む息と共に、開けたドアからは、やっぱりこの日を待ち望んでくれていたであろうまおが、奥から飛んできて全力で抱きついてくる。
「よかったあ。無事、終って。」
「ああ。体力も気力も使い果たした感じだけどな。」
「お疲れ様・・・・。本当に。」
優しく微笑んだまおが、俺の頭をなででくれる。
「途中で倒れちゃわないか、本当に心配だったよ・・・。」
頬を手のひらで包み込まれ、まおのやわらかくてあたたかい唇が触れる。
ほわほわと溶けてゆく、今までの張り詰めた努力と緊張。
「ありがと。まお。お前がいたから、無事千秋楽を迎えられたよ。」
「そんな・・・。ダイチャンの、力だよ。」
確かに自分で台本は覚えるしかったけれど。
役作り、もシュタゲのカンパニーと作り上げたものだけれど。
やっぱりそこにまおがいる、という精神的安定感は何者にも変えられなかった。
「今日は、ゆっくりできる?」
「ああ。朝までのんびり過ごそう。・・・あんま、最近かまってやれなくて、ごめんな。」
「そんなこと、ないよお。ちゃんと気持ちは伝わってるから大丈夫。」
ひとまず一息入れよう。とコーヒー片手にソファに二人で並んで座ったところにインターフォンの音。
「誰だろう。こんな時間に・・・。」
宅急便かな?なんか、頼んでたっけ・・・。にしても、間が悪い。
画面を見ると、今回散々俺達をかき回してくれた香水の彼女。
「こんばんわ。飲みなおしたくて、来ちゃいました。」
にっこり微笑む彼女には、全く悪気はないのだろうけど・・・。
困った。奥にはまおがいるのに。
ドアを細く開けて、確認すると、スーパーの袋に何本か入ったアルコールの缶を下げていて、見るからに寒そうなミニスカートにジャケット。
「なんで、俺の家知ってるの?」
「だって、渡辺君食事誘っても、いっつも断られるから。後、つけてきちゃった。」
あ。なんか奥からまおが出てくる気配を感じる・・・。
「あのなあ。それ、ストーカーって言うんだぞ。」
「あ。ひっどおい。そんなつもりじゃ、ないのに。一緒に頑張った仲間でしょお?私、初日にこけそうになった時、助けてくれた渡辺君に一目ぼれしちゃった。」
悪気もないけど、あっさり引き下がるタイプでもないってところか・・・。
一番やっかいなタイプだな・・・。
「とにかく、今は先客がいるから。」
ぐいぐいと、外に押しやろうとすると、玄関に並べてある二足の靴と、俺の肩越しに見てしまったであろうまおのほうに視線を交互に送り。
「なんだあ。浜尾くんじゃない。私だったら、3人でもいいよお。」
そのまま、上がりこんでこようとする彼女。
振り返ると、まおがなんとも言えない複雑そうな顔をしていて、自分がどうしたらいいのかわからない、って感じで、呆然と立っている。
一週間、ただただ尽くして待っていてくれたのに。やっとゆっくりと二人の時間が持てると思ったのに。
「あのな。俺がダメなの。・・・俺、まおと結婚してるから。」
「・・・え?」
「だから、まおと結婚してるから。君がどうの、というより、他の誰とも付き合う気ないから。」
「・・だって、浜尾君、男の子だよ?」
ふられてショック、というよりびっくりしすぎてきょとんとした。といった表情の彼女。
「まおが男でも、女でも、俺はまおを一生愛しする。と決めたから・・・。」
「私じゃ、ダメなの?女の子だよ?まお君と付き合うより、きっと幸せな家庭作れるよ?」
もう、それ以上言ってくれるな。
まおを悲しませてしまう。
他人からみれば、理解できないかもしれないが、俺にとってはまおとの生活がかけがえのない幸せな家庭、なのだから・・・。
「俺のこの腕は、まおを守るためだけに存在してるから。ごめんな。俺のこと、ひどい男だと思ってくれてかまわないよ。・・・でも・・・。まおを傷つけたら、いくら大事な仲間でも、許さないからな。」
「わかっ・・・た・・・・。」
有無を言わさない強さの口調ですごむと、後ずさりする彼女。
俯いている顔は、もしかしたら泣いているのかもしれない。
けれど。
まおの笑顔を守るためには、こうする他にないんだ。
----------パタン。
閉じられたドアの音と共に振り返ると、目尻に涙を浮かべたまおが立ち尽くしている。
「だいちゃ・・・・。」
「ごめんな。せっかくの二人の時間だったのに。」
「いいの?彼女・・・。」
「ああ。共演者だから気まずくなったら嫌だな。って舞台終るまであいまいな態度とってた俺が悪かった。」
そっと口づけたまおのくちびるからは、涙の塩辛い味がした。
「俺のこの腕は、まおを守るためだけにあるから・・・・。」
「うん・・・。うん・・。」
震える肩を抱きしめて、涙の跡を辿るように口づける。
きっとまおには伝わっている。
この覚悟を決めた愛情の深さが・・・・。
「まお。愛してるよ。」
「うん・・・。うん・・・。愛してる・・・。」
次々とあふれ出る涙をそのままに。
何度も、何度もうなづくまおを抱きしめて。
その日は、満ち足りるまで愛をささやきあい、肌を重ねあってお互いのぬくもりを感じた。
------------完-------------------
あり?これでいいのかなあ??なんか、物足りない??
リクエスト、まお君の前で大ちゃんが女の子をふる。だったのですが、きっと優しいダイチャンのこと。
書いているうちに、冷たくなりきれずWW
なんか、中途半端だなあ・・・。
でもでも。
まお君への気持ちは伝わったかなあ??
ややや。なんだか短くさくっと進めます。とか言ってた割りに、深い愛がテーマみたいな重いお話になっちゃたねWWごめんなさい。
でも、やっと完結したので。
ちょっとお休みに入りますね。
フィギアのお陰で、書かずにはいられない病、がちょっとましかも。
腕、しっかり休めて、また復活します~~~~。
短編ちょこっと、とかは書くかもしれないけど、そのときは「我慢できなかったんだな。」と温かい目で見てやってください~~~。
充実感と達成感が、全身を包み、限界を覚えている肉体も、喉の痛みも忘れてしまうような興奮の中、幕を閉じた。
幕が下りた瞬間、全力投球で取り組んできたこの終るのが、ほっとするような寂しいような・・・。
「おつかれええ~~。」
「おつかれさまあ。」
近くにいる仲間たちと、半べそをかきながらハグしあい。
この感動を分かち合う。
打ち上げではみんな開放感に浸って、テンション高く語り合い楽しいひと時を過ごしたのだけれど。
ふ。とした時に家で待っているだろうまおの顔が浮かんできて、どうしようもなく会いたくなってきて、「用事あるんで、お先に。」って、少し早めに切り上げてきた。
家路を急ぐ歩調がいつもより速い。
この感動を、まおとも分かちあいたい。
ずっと支えてきてくれた、お前のお陰だよ。って感謝の言葉を伝えたい。
「ただいまっ!!まお。」
「おかえりっ!!大ちゃんっ!!!」
弾む息と共に、開けたドアからは、やっぱりこの日を待ち望んでくれていたであろうまおが、奥から飛んできて全力で抱きついてくる。
「よかったあ。無事、終って。」
「ああ。体力も気力も使い果たした感じだけどな。」
「お疲れ様・・・・。本当に。」
優しく微笑んだまおが、俺の頭をなででくれる。
「途中で倒れちゃわないか、本当に心配だったよ・・・。」
頬を手のひらで包み込まれ、まおのやわらかくてあたたかい唇が触れる。
ほわほわと溶けてゆく、今までの張り詰めた努力と緊張。
「ありがと。まお。お前がいたから、無事千秋楽を迎えられたよ。」
「そんな・・・。ダイチャンの、力だよ。」
確かに自分で台本は覚えるしかったけれど。
役作り、もシュタゲのカンパニーと作り上げたものだけれど。
やっぱりそこにまおがいる、という精神的安定感は何者にも変えられなかった。
「今日は、ゆっくりできる?」
「ああ。朝までのんびり過ごそう。・・・あんま、最近かまってやれなくて、ごめんな。」
「そんなこと、ないよお。ちゃんと気持ちは伝わってるから大丈夫。」
ひとまず一息入れよう。とコーヒー片手にソファに二人で並んで座ったところにインターフォンの音。
「誰だろう。こんな時間に・・・。」
宅急便かな?なんか、頼んでたっけ・・・。にしても、間が悪い。
画面を見ると、今回散々俺達をかき回してくれた香水の彼女。
「こんばんわ。飲みなおしたくて、来ちゃいました。」
にっこり微笑む彼女には、全く悪気はないのだろうけど・・・。
困った。奥にはまおがいるのに。
ドアを細く開けて、確認すると、スーパーの袋に何本か入ったアルコールの缶を下げていて、見るからに寒そうなミニスカートにジャケット。
「なんで、俺の家知ってるの?」
「だって、渡辺君食事誘っても、いっつも断られるから。後、つけてきちゃった。」
あ。なんか奥からまおが出てくる気配を感じる・・・。
「あのなあ。それ、ストーカーって言うんだぞ。」
「あ。ひっどおい。そんなつもりじゃ、ないのに。一緒に頑張った仲間でしょお?私、初日にこけそうになった時、助けてくれた渡辺君に一目ぼれしちゃった。」
悪気もないけど、あっさり引き下がるタイプでもないってところか・・・。
一番やっかいなタイプだな・・・。
「とにかく、今は先客がいるから。」
ぐいぐいと、外に押しやろうとすると、玄関に並べてある二足の靴と、俺の肩越しに見てしまったであろうまおのほうに視線を交互に送り。
「なんだあ。浜尾くんじゃない。私だったら、3人でもいいよお。」
そのまま、上がりこんでこようとする彼女。
振り返ると、まおがなんとも言えない複雑そうな顔をしていて、自分がどうしたらいいのかわからない、って感じで、呆然と立っている。
一週間、ただただ尽くして待っていてくれたのに。やっとゆっくりと二人の時間が持てると思ったのに。
「あのな。俺がダメなの。・・・俺、まおと結婚してるから。」
「・・・え?」
「だから、まおと結婚してるから。君がどうの、というより、他の誰とも付き合う気ないから。」
「・・だって、浜尾君、男の子だよ?」
ふられてショック、というよりびっくりしすぎてきょとんとした。といった表情の彼女。
「まおが男でも、女でも、俺はまおを一生愛しする。と決めたから・・・。」
「私じゃ、ダメなの?女の子だよ?まお君と付き合うより、きっと幸せな家庭作れるよ?」
もう、それ以上言ってくれるな。
まおを悲しませてしまう。
他人からみれば、理解できないかもしれないが、俺にとってはまおとの生活がかけがえのない幸せな家庭、なのだから・・・。
「俺のこの腕は、まおを守るためだけに存在してるから。ごめんな。俺のこと、ひどい男だと思ってくれてかまわないよ。・・・でも・・・。まおを傷つけたら、いくら大事な仲間でも、許さないからな。」
「わかっ・・・た・・・・。」
有無を言わさない強さの口調ですごむと、後ずさりする彼女。
俯いている顔は、もしかしたら泣いているのかもしれない。
けれど。
まおの笑顔を守るためには、こうする他にないんだ。
----------パタン。
閉じられたドアの音と共に振り返ると、目尻に涙を浮かべたまおが立ち尽くしている。
「だいちゃ・・・・。」
「ごめんな。せっかくの二人の時間だったのに。」
「いいの?彼女・・・。」
「ああ。共演者だから気まずくなったら嫌だな。って舞台終るまであいまいな態度とってた俺が悪かった。」
そっと口づけたまおのくちびるからは、涙の塩辛い味がした。
「俺のこの腕は、まおを守るためだけにあるから・・・・。」
「うん・・・。うん・・。」
震える肩を抱きしめて、涙の跡を辿るように口づける。
きっとまおには伝わっている。
この覚悟を決めた愛情の深さが・・・・。
「まお。愛してるよ。」
「うん・・・。うん・・・。愛してる・・・。」
次々とあふれ出る涙をそのままに。
何度も、何度もうなづくまおを抱きしめて。
その日は、満ち足りるまで愛をささやきあい、肌を重ねあってお互いのぬくもりを感じた。
------------完-------------------
あり?これでいいのかなあ??なんか、物足りない??
リクエスト、まお君の前で大ちゃんが女の子をふる。だったのですが、きっと優しいダイチャンのこと。
書いているうちに、冷たくなりきれずWW
なんか、中途半端だなあ・・・。
でもでも。
まお君への気持ちは伝わったかなあ??
ややや。なんだか短くさくっと進めます。とか言ってた割りに、深い愛がテーマみたいな重いお話になっちゃたねWWごめんなさい。
でも、やっと完結したので。
ちょっとお休みに入りますね。
フィギアのお陰で、書かずにはいられない病、がちょっとましかも。
腕、しっかり休めて、また復活します~~~~。
短編ちょこっと、とかは書くかもしれないけど、そのときは「我慢できなかったんだな。」と温かい目で見てやってください~~~。