「大ちゃん、おかえりっ!!」

いつものように、稽古でくたくたになって帰ってきた大ちゃんを抱きしめる。

微かに感じる、違和感・・・・。

あれ?なんだろう・・・・。

いつもと、違う香り・・・・???

いつもと同じように、ちゅ。ちゅ。ちゅ。とおでこと、ほっぺと、くちびるにただいま、のキスをくれる大ちゃん。

「ただいま。まお。」

ふあん。と抱きしめてくれる腕もいつもどりなのに、なんだか胸騒ぎがする。


いつものように、先にシャワーを浴びる大ちゃん。
脱衣所に脱がれたシャツを、洗濯機に入れようとして、気がついてしまった・・・。

腕のところにわずかについた、紅い口紅。

「これ・・・。誰のだろう・・・・・。」

今日は一日シュタゲの稽古のはずで。
きっと共演者の子が、なんかの拍子につけちゃっただけだとは思うけれど。
信じてる。信じてるけど、不安になる。

さっき微かに香ったいつもと違う香り・・・・。

おれの知らないところで、何があったの?

バスルームで、シャワーを浴びている大ちゃんの影に語りかけた。