その夜は、だいちゃんとおそろいのパジャマを着て、ベッドにもぐりこむ。

ふふふ。
天井に手を伸ばすと、手には燦然とかがやくプラチナのペアリング。

離れていても心はヒトツ、の証拠。

大ちゃんも保健室のプライベートルームで、おそろいのパジャマを着て、同じリングをしているのかと思うと、幸せすぎて、どうにかなっちゃいそうだよ。

そんな密室での二人きりの秘密。を持ってからは、離れていても心が安定して、放課後の宿題タイムと称したデートまで、きちんと先生と生徒のふり。と演じることができた。
もちろん、学校の中では、ペアリングはペンダントにして身につけてたけどね。


そんなある日。

昼間から、なんだかだるいなあ。と思っていたのだけれど。おそろいのパジャマを着て、ベッドに入ったけれど、なんだか寝付けない。

ああ。なんだか顔があつい・・・・。
頭もほわほわする・・・。

幸せすぎて、おかしくなっちゃたのかな・・・・。

なんて思いながら、眠りについたけれど、目が覚めたら、起きたら喉が痛い。頭も痛い。起き上がれない・・・。

「今、何時だろう・・・。」

時計は、夜中の3時を指していて。

「喉、渇いた・・・・。」

水を取りに行きたいけど、体が重くていうことをきかない。
どうしよう。こんな時間にダイチャン起こしたくないし・・・。

部屋についている、保健室直通のナースコールのようなもの、を押すかどうか迷っていると。

コンコン。とドアをノックする音。

「・・・まお?入っていい?」

小さなささやき声が聞こえる。・・・これは、幻聴?
しばらくの沈黙のあと、ガチャ、と鍵を開けて大ちゃんが入ってくる。

「なんか、急に夜中に目が醒めて、胸騒ぎがしたから、心配になって来ちゃった。」
「・・・・ほんとに・・・だいちゃん・・・・?」

視界がぼやけていて、はっきり見えないけど・・・・。
心配そうに額に置かれた手のひらは、僕のよく知っている大ちゃんのあたたかい手のひらで。

心底ほっとして・・・・。

水を飲ませてくれたり、着替えをさせてくれたり、薬を飲ませてくれたり、した記憶がおぼろげにあるけれど。
大ちゃんの掌が、頭を優しく撫でてくれているのを感じながら・・・・。また、眠りについていた。