「ただいま~~。」

大きなスーツケースを抱えて、ドアを開ける。
たった2泊3日のロケだったけど、お土産がいっぱいつまっているから、結構重たい。

「沖縄の海、きれかったよお~~。」

奥から、茶色い塊が飛んできて、おれの脚に飛びつく。

・・・・・うわっとと。

勢いで尻餅をついてしまったところに、茶色い塊がべろべろと顔中を嘗め回す。

「なになにっ!?」

情況が理解できない。
なんで・・・・。犬??

ふかふかの長い毛並みに、しゅっと突き出た鼻。きりりとした顔立ちなのに、目だけはふにゃんと垂れ目で・・・。
どっかで見た、顔。

「あ。大ちゃんだ。なんで、こんな大ちゃんそっくりのボルゾイがいるの??・・大ちゃん、誰かの犬預かってるのかなあ?ここ、ペット禁止なのに。」

それにしても、見ればみるほど大ちゃんそっくりのわんちゃん。
名前・・・??
まあ、大ちゃん、でいっか。

「大ちゃん、ただいま。・・・・大ちゃんの代わりにお留守番してくれたての?ねえ。大ちゃん、知らない?」

あああ。なんかややこしいなあ。
大ちゃんが、二人いるみたい。

すりすり。

ふかふかの毛並みを摺り寄せてくる大ちゃん。
甘えるように、ぺろぺろと顔を舐めてくる。

ま。いっか・・・・。
今頃きっと稽古中のはず。
また、夕方になれば、帰って来るかな。


「ひとまず、荷物整理しよっか。」

スーツケースを開けて、床に中身を広げる。

「これが、大ちゃん用の水着でしょ。シャツでしょ。・・んで、これが、スパムの缶詰で、島とうがらしで・・・。
ほら。この琉球硝子の花瓶、このまえのお猪口のブルーとおそろいみたいできれいでしょ?」

おれが荷物を広げるのを、きちんとお座りして、尻尾をふりふり見ている大ちゃん。
心なしか、ふにゃあって垂れたたれ目が、更にふにゃふにゃあって、緩みまくっている。

「お利口だねえ。お前。」

荷物の整理を終えて、ぎゅと抱きしめてやれば、くうううん。と耳元で甘えたような声で鳴く。

「お腹、空かない??なんか、作ろうか。」

キッチンに立つと、すりすりと足元にすりよってくる大ちゃん。

「あ。あぶないから、向こう行ってて??ほら、油とんだり、水かかったりするよ?」

それでも、足元にまとわりつく大ちゃんに

「ダメっ!!怪我したら、どうするのっ!?」

って、強めの口調で叱ったら、くうん。と耳を垂れ、尻尾をたれ、1m下がって、お座りしてこっちを見ている。

や。そんな分かりやすく落ち込まなくても・・・・。なんか、おれが悪いような気になるよ。
すぐかまってやるから、ちょっとだけ、待っててね。

犬、だから野菜は食べないのかなあ。とか思いながら、冷蔵庫に入っていた鳥肉と玉ねぎで、親子どんぶりを作る。

「はい。お待たせ。」

ヒトツはテーブルに、ヒトツは床に置くと、イスにぴょんと飛び乗って、お座りポーズではっはっ。と舌を出している大ちゃん。

<そんなとこだと、お前の顔が見えないだろ>

ん?空耳??

まあ。このボルゾイ君は、イスで食べるように躾けられてるのかもしれない。

「はい。どうぞ。熱いからね。ふうふうして食べてね。」

<ふうふうは、できないぞ>

くうん?と情けない声を上げる大ちゃん。

「あ。ごめん。ごめん。じゃあ、食べさせてあげる。」

ふうふう。あ~~ん。

パクン。とスプーンごとかじりつく大ちゃん。
ふふ。なんか、かわいい。

よほどお腹が空いていたのか、お皿がぴっかぴかになるまで平らげて、ふう。とばかりにソファに移動すると、その上で丸くなる大ちゃん。

「コーヒー入れよっか?」

いつもの日常そのもので、相手が犬であることも忘れて、習慣で二人分のコーヒーを入れて。

「あ。お前、さすがにコーヒーは飲まないよな?」

テーブルにカップを置いてから気がつく。
大ちゃんが、前足をおれの膝の上に置いて、ペロンと僕のほっぺを舐める。

<まおの入れてくれたコーヒー好きだよ>

「あはっ。ありがとう。やっぱりお前、大ちゃんだよな。わかる?ダイチャン。」
マジックで、大ちゃんの前足に「ダイチャン」と落書きして。

「んで、おれはまお、ね?」
「まお。」って手のひらに書いて、ダイチャンに見せる。

わんっ!!って、小さく吠えて、「わかった。」って返事してくれているみたいだ。字なんて読めないだろうけど。

ソファに沈んで、ふかふかの大ちゃんを撫でながら、そのお腹にもたれて鼓動を聞いているうちに眠たくなってきて・・・・。



気がつけば、そのままうとうとしていたらしく、辺りはすっかり暗くなっていて。

眠る前に聞いていたのと同じ鼓動の音・・・・。
ふかふかの毛並み・・・・?じゃない。
慣れ親しんだ大ちゃんのすべらかで、逞しい胸板。

ぎゅっと抱きしめてくれている腕は、おれの大好きながっしりとたくましい腕で。

あれ?ボルゾイ大ちゃんは、どこに行っちゃったんだろう・・・・。


どこからが夢で、どこからが現実なのか、よくわからない。

ふと目に入った大ちゃんの手のひらの落書き。

あれ?もしかして・・・・。

大ちゃんの手と、おれの手のひらにそれぞれ書かれた名前。


夢は・・・・どっち??



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なんか、すっきりしないオチでごめんねWW
してほしかったこと、全部詰まってますかあ??

メッセ、ものすごく嬉しくて、感動して泣いちゃったよ。
んで、どうしてもお返事代わりにお話書きたくて書きましたラブラブ

ほんと、ありがとっ!!!
一本書いたら、休んで。のペースで書くからね。

なんか、握力がなくなるよねWW
PCうてても、鉛筆で文字が書けないWW