ツンツン。

もぞもぞ。

ぎゅうううっ。

さっきから、まおが隣で落ち着かない。
東京の試写会のあと、前向きシートの電車に乗り、帰る途中の短い時間。

足先を、ツンツンからませてきたり、俺の太ももの下に手のひらを入れてきたり、ぎゅううっと腰をつかんできたり。
どうも、甘えたがすぎる、という感じで。

いつも、東京都内の移動であれば、そこまでくっつきたくて、仕方がないっ!!ってオーラはないのに。
公にいちゃいちゃはできないけど、ばれない範囲で最大限にどこでもいいから、触れていたいっ!!って心の声が聞こえてくる。

「・・・ん??」

まおのべたべたに、俺も脚をツンツンつつき返したり、太ももを浮かせて、まおの手が入るようにしたり、腰の辺りにまおの手が入るようにカラダをすらしたり、してっやっていたが。

一向に、落ち着かないまおの気持ちに、「どうした?」と視線を投げかける。

「・・・なんでもない。」

なんでもなくない瞳。
キスしたいたいよ。と語るすがるような視線に、くらり。ときそうになって、あわてて視線を外す。


ずっと、どこかを触れられていたせいで、すっかり煽られてしまった俺は、駅を降りると両手をポケットにつっこんで、ずんずん歩き出す。

なにも言わずに、小走りでついてくるまお。
きっと、お互い話さなくてもわかっているから。

まおは、俺がこらえているのをわかっていて、ちゃんとついてきてくれている。
「俺に冷たくされた。」という不安は感じない。


パタン。とドアを閉じるとともに、激しく交わされるキス。

「んんっ・・・。は・あっ・・・・・。大ちゃ・・・・。ずっと、こうしたかった・・・。」

強く抱きしめあい、息もつけないぐらいに長いキスを重ねる。
キスの合間に、まおが切なげに吐き出した言葉。

ひとしきり、キスを重ねて、ぎゅううっとまおの頭を胸にだく。

「どうした・・・?まお。」
「これで、終わりだな。って・・・・・。」

「試写会の挨拶??」
「・・・・うん。だって、一週間に3回も、大ちゃんとほとんど一緒にいられたんだよ。」

「そうだな・・・。」

本当に、最近一日中一緒にいられることなんて、滅多になくて、新幹線での楽しい時間。楽屋で待っている間の、他愛もない会話。がとても楽しくて、夢のようなひとときで。

「miracleみたいな、一週間が終わっちゃって、さみしいよ・・・。」
「俺だって、この一週間はテンションおかしいぐらい、浮かれてた。」

「うん。知ってる・・・。」

ふふ。とはかなげにまおが笑う。

「大ちゃん、すっごくかわいかったもん。ごめんね。なんか反応面白くて、いっぱいいじわるしちゃった。」
「・・・・それも、愛のうち。だろ?」

「えへへ。わかってくれてて、うれしい。」

ぽすん。と頭を胸にうずめるまお。
きゅっと、背中に回された腕。

「・・・がんばってたらさ。また、今回みたいなmiracleプレゼントがきっとあるよ。」
「・・・うん。それまで、またがんばる。」

ぎゅっとお互い抱きしめあって、満足するまで胸の鼓動を聞いていた・・・・・。