「おつかれさまでしたあああああ!!!」

大ちゃんとおれのクランクアップの日。
花束をもらって、ダイチャンと二人で、楽屋で余韻に浸っていると。

「せっかくだから、みんなで打ち上げしよう。」
と、タッキーさんからのメール。

「ホントだねえ・・・。もう、ほんとに、卒業、なんだよね・・・。」
「なんか、実感沸かないけど、こうやって花束もらって、卒業、卒業言われたら、ホントに終わり、なんだよなあ。」

「長かった・・・・かな。3年間。ほんと、いろいろあったよねえ。」
「ああ。まだ高校2年生、だったもんなあ。虹色の頃。」

「そうそう。もう、大ちゃんだけが頼り。って感じだったよお。」
「・・・今は?」

「・・・今は、他にも色々お仕事して、だいぶ、慣れてきたけど、大ちゃんの顔みるとほっとする。」
「そっか。俺もまおと一緒だと、なんか安心するよ。」

「ねえ。この作品がなかったら、おれたちって付き合ってなかったのかな?」
「・・・どうかなあ。でも、まおを好きになっていたのは、確か。だよ。」

「・・・ふふふ。おれも。・・ただ、告白、とかまで至らなかったかもなあ。って思う。」
「だな。今でもまだ、まおは後輩で、弟だ。なんて自分に言い訳してたかもなあ。」

「タッキーさんがいて、ほんとによかった。」
「そうだな。馬場も、なんだかんだで、スッゲー理解してくれてるし。スタッフさんも、スッゲーあったかかったし。世間の偏見、なんてもんはないんじゃないか?って思わせてくれた。」

「これで、みんなにダイチャンが好き!!!って言えなくなっちゃうなあ。」
「言いたかったら、タッキーと、馬場に言ってろよ。からかわれること、間違いなし、だけどな。
・・・・ごめんな。まお。堂々と、コイビト宣言できないような、俺で。」

ダイチャンが、少し悲しそうな顔をする。
ああ。違うのに。
おれが、自分で選んだ道なのだから。

でも、こんなカッコイイ大ちゃんがコイビトなんだよおお。って時々だれかに自慢したくなるのだ。

「おれが、好きになって。大ちゃんじゃないとダメで。こんなに成長できたのも、大ちゃんが側にいてくれたから。だよ??」
「俺は、まおの成長を、そばで見てただけだよ。」

大ちゃんの手を、握り締める。
ダイチャンと、一緒に歩む、と決めたから。
どんなにハードなスケジュールでも、ちゃんとついてゆくって決めたから。

「一生、一緒に、いてくれるんでしょう?」
「ああ。誰に、なんていわれても、俺が、お前を守るから。」

そっと、キスを重ね合わせようとしたその時・・・・・。


「おっつかっれさ~~ん。」

どやどやと入ってくる、タッキーと馬場っち。

「うっわあ。びっくりしたあ。来るなら、来るって言えよお。」
「なになに~~~~。なんか、イケナイコトしようとしてたんだろ~~。うっわあ。いけないんだあ。神聖な楽屋で。」
「ななな。ちょっと、二人に付き合って欲しいところがあるんだけど~~。」

「打ち上げ、じゃなくて?」
「ふふふ。その前に、寄るところがあります。」

タッキーと、馬場っちに引っ張られるように連れてこられたところは・・・。

夜の、教会。

「卒業、おめでと~~~。大ちゃん。まお。」
「なんで、卒業で、教会な訳??」

「ままま。大ちゃん、今からまおに魔法をかけま~~す。だから、目、つぶってて。」

なんて、言われなくても、馬場に後ろから、羽交い絞めにされて、目隠しされている。

「なになに~~?」

何が起こったのかわからずに、オタオタしていると、あれよあれよと言う間に、頭にティエラを載せられて、カサブランカが一輪だけ入ったミニミニブーケをもたされて。
挙句の果てには・・・。ベール?オーガンジーの生地を、ばさああっと頭からかけられる。

「はいっ!!!大ちゃん、目、あけていいよ~~。」

おれ自身も何が起こっているのかわからないけれど、大ちゃんも目をまんまるに見開いてびっくりしている。

「ギイとたくみを卒業して、ダイチャンとまおになった二人に!!」
「「おっめでと~~~~。」」
「俺たちからの、卒業と、ケッコンおめでとう。祝いだよ。」
「いやあ。ラストシーン、泣けたよねえ。」

ええ??これって、おれと、大ちゃんのケッコン式ってこと・・・・?
ああ。タッキーさん、いつもおれがタッキーさんにしか話せなくて、さみしく思ってたこと、わかってくれたんだ。

「色紙、持ってきたから、ココ、二人の名前書いて??」

真ん中に、渡辺大輔。と浜尾京介。と書いて。
二人が、サインをその周りに書いてくれる。

「俺たちが、証人だからなあ。これ、ずっと飾っててよ。」
「ケンカしたら、これ眺めて、仲直りするんだそおお!!」
「ばっか。この二人がケンカなんてするわけないだろお?」
「じゃあ・・これ見て、いちゃいちゃ・・・・。いてええ!!!!」
「調子に乗りすぎ。馬場っ!!」

すっごく、荒っぽくて、雑で。強引なケッコン式。
でも、そこにはタッキーさんと馬場っちのやさしさがたっぷり詰まっていて。
二人に、肩を抱かれながら、胸がいっぱいになってきて。
ダイチャンを見ると、大ちゃんもちょっとうるうるして、おれをみていた。

「お二人さん、誓いのキスは??」
「だから、馬場、そっちに走らない~~!!」

俺たちのケッコン式、のはずなのに、俺たちそっちのけで盛り上がっている感のある二人。
「ふふ。やっぱり、タッキーさんと、馬場っちだねえ。」
大ちゃんと二人で目を見合わせて、ふふふ。と笑う。


「なあ。まお。ブーケトス、しろよ。」
タッキーさんと、馬場っちが、後ろで待っている。

「ブーケ・トスって受け取った人が、次の花嫁、になるんだったと思うけど・・・。」
大ちゃんが、ぼそりとつぶやく。

「俺たち、嫁にはいかねーよなあ。」
「ほんと。ほんと。」

またまた、きゃいきゃいと、はしゃくふたり。

「じゃあ・・・・。ダイチャンから、プロポーズして、そのブーケ渡してよ。」
「・・・ばかっ。お前らの前で、そんな恥ずかしいことできるかよ。」

「ええ~~。残念。」
「ええ~~。ケチ。」

ふふふ。本当に、みんな、仲がよくて。
一緒に、お仕事できて、しあわせだったよ・・・・・。

「じゃあ、ちゃんと家に帰ってから、プロポーズしてもらうんだぞ。まお?」
「うん。わかった。」

なんて。本当は、もう、してもらってるよ。なんてね。
たくみくんは、卒業しても・・・。ずっと、ずっと。この友情は続いていくから。
二人に出会って、本当によかったよ・・・・。

素晴らしき、友情、だね。