そうやって、毎日仕事を終えれば、まおが家で一人で勉強をしながら待っていてくれて。
玄関を開けるのが、とても楽しくなった。

お正月は、お互いに帰省したり、勉強もお休み。ってことで、数日間あえない日が続いた。

慌しい年明けの雰囲気が落ち着きだす、一月五日。
すっかり、生活ペースの乱れてしまった俺は、まおからのTELで起こされる。

「ねえ?大ちゃん。今日は、何してる?」
「んん~~?別に、予定はないけど。」

「じゃあ、今から行ってもいい?」
「・・・今から!?」

「・・・ダメ?」
「ダメじゃないけどっ・・・・。最近、部屋の掃除とか怠けてたからっ・・・・。」

「よかったあ。そんな理由で。おれ、気にしないから、いいよ。」
「俺が、気にするの~~!!」

「わかった。じゃあ、一時間後、ならいい??」

部屋をぐるりと見渡して・・・・。まあ、ごみベランダに放りだして、服、洗濯機に押し込んで、掃除機かければ・・・・。間に合うか。

「いいよ。」
「・・・・じゃあ、一時間後に、ね??」


TELを切って、猛スピードで掃除を開始して。
ふだんは、こまめに整理するほうだけど、正月はどうもモノがあふれて、ごみの回収も休みがあったりして、雑然としてしまう。

本当は、きちんと雑巾がけをしたいけれど、時間がないのでクイックルワイパーで、ちゃちゃっと拭き掃除をして、シーツも新しいものに変えて。
あ。お湯もわかしておこう。

なんか、まおが好きそうなお菓子とか、あったかなあ??

スーパーに行くと、ついつい今までは寄らなかったお菓子コーナーに行って、まおが話題にしていたお菓子を買い込んでしまう。まおに見せると、「あ!!それそれえ!!」って、もんのすごく嬉しそうな顔をしてくれるのが、楽しみで。

参考書に、ココアに、お菓子。
今日は、どんな新しいものが、増えるんだろう・・・。


掃除が終わってしまうと、今度は、時間をもてあまして、そわそわしてしまう。
まお、早く来ないかなあ??

インターフォンが鳴ると、画面も確認せずに、玄関を開けてしまう。

「宅急便です。」
「ああ。どうも・・・。」

うわあ。恥ずかしい・・・。きっと、今、満面の笑みで、凄い勢いで、ドア開けちまったよなあ。俺。

今まで、何人かの女性と付き合ってきたけれど。
こんなにあたふたしたことは、ない。

いつも完璧な渡辺君。で。
頼りがいのある男。で。
でも、一緒になって楽しんでくれるとこが、好き。

って、キャラだったのに。
高校生のまお相手に、なんで俺、こんなに余裕がないんだろう・・・・。
まおが、男だから??

いや・・・。違うな・・・・。
なんだか、トキメキが過ぎるのだ。

手をつないだり。キスをしたり。家に遊びにきたり。
コイビトならば、当たり前にすることで。
いちいち意識しなくても、日常の一部、なのに、まおが相手だと、ドキドキしてしまう。

やっべえなあ。もしかして、俺、この歳で、実は初恋・・・・・。なのか・・・・??