あったかい紅茶をすすり、ケーキを半分ぐらい食べ、ほっと気持ちが落着いたところで。

「・・・まお。なんか用事があったんじゃないの??わざわざクリスマス・イブにそんな薄着で俺の家にくるなんて。」
「・・・・えっ!?・・・あっ・・・うん・・・・・。」

急にうつむいて、しどろもどろになるまお。

「えっとお。・・・あのね・・・・。タッキーさんって、だれかを好きになったことある??」
「そりゃあ、この年でないわけないだろ・・・・。」

「すっごく完璧で、すっごく優しくて、すっごい憧れの人・・・・。なんだけど・・・・。」

はいはい。大ちゃんだろ??

「もうねえ・・・・。気がついたら、その人のことばっかり考えちゃって、胸が苦しくなって・・・・。
すっごく、すっごく好きなんだけど、どうしよう・・・・。」

おもむろにぽろぽろと泣き出すまお。
あ~あ。まおはこんなにしっかり、はっきり自覚してんのになあ・・・・。

「・・・・ごめんな。ちょっとだけ、待ってくれる??まお。」

まおの肩をポンポンと叩いて、「これで涙をふけよ。」とテーブルの上にティッシュを置いて。
もう、ここで腹をきくらなきゃ、俺は知らないからな。

と思いながら、まおに聞こえないように脱衣所まで行って大ちゃんにTELをする。

「もしもし??大ちゃん??お互い寂しいクリスマス・イブおめでとう。一人もん同士、飲まないか??今から、俺ん家、これる??」
「・・・・あははっ。タッキーも、フリーなんだ。ああ。寂しい独り身に俺が付き合ってやるよ。」

なんて、冗談で返す大ちゃん。
ああ。なんてお人良しなんだろう??俺って、つくつくいい人・・・・・。
「ホントに、いい人は、自分で言わないんだっつーの!!」って大ちゃんのツッコミが聞こえてくる。

------大ちゃん。俺のかわいいまおを譲るんだからね。しっかり幸せにしてあげてよ??


「まお~~。おまたせ。ごめんなあ。」

大粒の涙をこぼしながら、まだ、くすん。くすん。とやっているまお。

「まおは、すっごくその人のことが好きなんだよなあ??」
「・・・・うん・・・・。」

大ちゃん、許せ。と思いながら、泣いているまおがあまりにもいじらしくて、ぎゅううっと抱きしめる。

「思いを、伝えたいんだよな・・・・??」
「・・・・・うん・・・・・。」

「こうやって、抱きしめられたいんだよな・・・・??」
「・・・うんっ・・・・・・。」

「ふえっ・・・。タッキーさあん・・・・・。」と言いながら、俺の胸に顔をうずめるまお。
あああ。大ちゃん。まおは、トクベツだわ・・・・・。
ノーマルな俺でも、ふらっと行きそうになる・・・・・。


その時、やっとチャイムの音。

「・・・・あれ??お客さん・・・・??ごめんね・・・。おれ、帰るね・・・・・。」

腕の中で、身じろぎするまお。いやいや。帰ってもらっては困るのだ。

「今、手が離せないから。入ってきて~~。大ちゃん。」

まおを抱きしめたまま、玄関に大声を張り上げる。

「おっ!!じゃあ。遠慮なく。おじゃましま~~す。」

「・・・・え??大ちゃん・・・・・??」

びくっと肩を揺らすまお。
トントンと近づいてくる大ちゃんの足音。


まおを抱きしめている俺と・・・・まおを・・・・交互に見て・・・・・・。呆然とする大ちゃん。

「タッキー・・・・・。どういうこと・・・・・??」
「ああ。よかった。・・・タッチ、交代、ね??」

まおを抱きしめていた腕をほどくと、大ちゃんの手と、パチンと合せて。

「俺、急用思い出したから。二人で飲んでて~~~。あ。まおは未成年だから、飲みはダメか。・・・とにかく、明日の朝まで帰ってこないから、ごゆっくり~~。大ちゃん、まおの分の歯ブラシもだしてやってね~~。」

パタン。とドアを閉めて。
今頃きょとおおんとして、お互い見詰め合っているだろう図、を思い浮べて、思わず笑みがこぼれる。
さあ。誰んちにころがりこもっかなあ・・・・??

----------明日の朝が楽しみだ。

どっちに転がってるかなあ??