連日、まおが「目が痛い~~。」とメールしてくる。

無理もない。この激しすぎる直射日光の中、毎日撮影だもんなあ。
オゾン層の破壊は、恐ろしい・・・・・。
まおの目は、大きいから、紫外線の入る量も人より大量で、負担がかかるんだろうな・・・。可愛そうに・・・・。

目を閉じた写メを見るたびに、まおの目を掌で隠して、癒してやりたい衝動に駆られる。そのどんな宝石よりも、キラキラと輝く瞳を守ってやりたい・・・・。

でも、叶わないから。
写メのまぶに向かって、そっとキスを落とす。
まおの、やわらかなまぶた。唇に触れる睫毛の感触をリアルに想像しながら・・・・。


今日も、俺のほうが、稽古終了の時間が早くて、風呂に入ってから、簡単な夕食を済ませてまおからの連絡を待つ。
まおは、毎日ハードな撮影のようで、電話をしながらうとうと・・・。ということも、何度かあって。
でも、「ダイチャンの声が聞きたい。」と、欠かしたことのない、お休み前のTEL。

まおが、もう大丈夫。もう、このまま寝れるってところまで、付き合ってやるために。先に、自分の用事を全部済ませて、どこまでもまおに付き合ってやりたくて。

そして・・・・。
寂しさが過ぎるときは、お互いを思いあいながら、TELの向こうで愛し合って。
そのまま、眠りにつくまで「愛してる。」とささやきあって・・・。
枕元に、携帯を置いたまま、まおとしていた会話の名残を感じながら、まおの残り香に包まれて、眠りにつく・・・。

そんな、毎日。

今日も、遅い時間のTEL。

「ただいま~~。今日も、楽しかったよお。充実の一日でした。」
「まお・・・。目、大丈夫??」

「そうそう。やっぱり、痛いんだよね・・・。目薬、ずっと差してるのに・・・・。」
「紫外線、じゃねーの??お前、なんでも大きく目開けてじっとみつめる癖、あるもんなあ。」

「あ・・・・。そうかも。うん。撮影以外では、できるだけ、目休めるようにする・・・。」
「そんな、まおも可愛いんだけど・・・な。サングラスしてるまおも、カッコイイけど、俺はまぶしくて甘えてきてた美貌のころのまおも好きだ。」

「ええ~~!?いつの話~~!?」
「ふふ・・。その頃から、ずっと好きだったからなあ。俺の服を、ちょこっと持ってくれたとき、太陽、もっとギラギラになれ~~!!って不謹慎にも、思っちゃったよ。」

「ああ。なんとなく・・・。覚えてる。まぶしくて・・・。大ちゃんがいて・・・。触れ合った指先の感覚が、すっごくドキドキした。触れ合いたいのに、できなくて、ちょこっと洋服をつかむのが精一杯だった、あの頃・・・。懐かしいね・・・。」
「そう思えば。贅沢だよなあ・・・。今は。」

「・・・あははっ。そうだねえ。アイタイって、こうやって何度でも言えるんだもんね。」
「ああ。・・・アイタイよ・・・。まお・・・・。その、まぶたにキスしてやりたい。」

「んん・・・。ありがと。大ちゃん・・・・。」

目を閉じて、俺からのキスを待っているのを、気配で感じる。
ちゅっ。と電話口にキスを送ると、

「ふふっ。なんだか、お目目が、じわああんって、癒されたよ。」

って、くすぐったそうに笑うまお。

「よかった。まおにとっても、俺が万能薬になったら、いいな。」
「ふふ。すでに万能薬だよお。・・・あ。大ちゃん、禁煙、続いてる??おれがいないからって、さぼってないよねええ~~?」

「ああ。大丈夫。ちゃんと、自炊も、禁煙もがんばっています。だから・・・。帰ってきたら、たばこ我慢した分の、ご褒美キス。一週間分、くれよな。」
「ええ~~!?どんぐらい、溜まってる??」

「そりゃあ。もう・・・・。まおと逢えない寂しさは、ハンパないから・・・。一晩中、キスしても足りないぐらい・・・。」
「・・・唇、荒れちゃうよ・・・。」

「・・・じゃあ、リップクリーム買ってきとく。」
「もう。そういう問題じゃ、ないでしょお!!」

「・・・でも、本当に。まおがいなくても、俺は俺でがんばってるから。まおも、満足のいく作品になるように、がんばって来い、な?」
「・・・うん。ありがと。」

「今日は、もう寝るか・・・??目、しっかり休めろよ。」
「うん。わかった・・・。」

「あいしてるよ。まお。」
「あししてる・・・。大ちゃん・・・・。」

「じゃあ、また明日。」
「うん。明日・・・・。」

いつまでたっても、お互いに通話終了が押せなくて。

「まお・・・??」
「うん・・・・??」

「あいしてる・・・・。」
「おれも・・・・。」

何度も、何度もそんなやり取りを繰り返して。

「・・・・・よし!!まお。いっせいのーで!!で、切るぞ!!」
「うん。わかった・・・・。」

声を合わせて、「「いっせいのーで。」」でTELを切って。
電気の消えた画面を、じっとみつめた・・・・・・・。