そんなある日----------------。
仕事を終えて家に帰ると、電気のついていない暗い部屋。
「そっか・・・・。今日はまおのほうが、遅いんだな・・・・。」
まおの方が仕事が早い日は、俺の部屋でたいがい待ってくれていて。
今まで、暗い部屋に帰るのが当たり前だったはずなのに、明かりのついていない部屋がその日はとても寂しくて。
------------------つい。
そのまま、バルコニーまででて、タバコに火をつける。
まおがこの部屋に頻繁に来るようになってからは、一人のときでも部屋の中では吸わないようにしている。
たばこの残り香が、まおを心配させてしまうから・・・・・・。
「まお・・・・・。どうしてるかな・・・・・・。早く会いたいな・・・・・・・。」
なんて、独り言をつぶやきながら、暗闇に浮かんだタバコの赤い火を見詰める。
じわじわと燃えて、灰になり、ぽとん。と地面に落ちる。
ふと。気配を感じて後ろを振り向くと・・・・・・。
硝子越しに、悲しそうな目をしたまお。
ああ。そんなにも俺のことを思ってくれていたのに。自分の意思の弱さで、そんな目をさせてしまった・・・。
「・・・・・ごめんな。まお。」
硝子越しに、口接けると、ひやり、とした感触とともに、硝子越しに感じるまおの唇のぬくもり。
窓ガラスに当てられた手が、かすかに震えていて。
そっと、その掌に、己の掌を重ねると、まおの目からぽろり、と一粒の涙がこぼれる。
硝子越しに重ねられた、掌と唇から、まおの愛がひしひしと伝わってくる。
すっかり、お互いの体温で、硝子との温度差がなくなってしまうまで、ずっとそのまま口接けていた・・・・。
「・・・・ごめんな。まお。」
そう、ささやきながら、室内に入ると、まおを抱き締める。
「心配させて、本当に、ごめん。・・・まおのいない部屋が寂しくて、つい・・・・・。」
「ううん。おれが、もっと早くこれてたら、大ちゃん我慢できたんだよね??」
「・・・・いや、まあ、そうかもしれないけど・・・・。やっぱり最後は自分の意思の強さ、だろ?」
「ああっ!!もう、おれが24時間ずっと側にいれたらいいのに~~~!!そしたら、タバコに手がのびる度に、大ちゃんにキスしてあげるのに。」
さっきまで、泣きそうだった表情はどこへやら、今度は本気で自分が側にいなかったことを悔やしがっている。くるくる変わる、まおの表情。
「あははっ!!それは、とっても、とっても嬉しいけど。俺、まおにキスしてもらいたくて、余計にタバコに手がのびそう~~~。」
「・・・・・あ。そっか。それじゃあ、逆効果。・・・・・あ!!じゃあじゃあ。大ちゃんがタバコを吸いたくなったら、タバコに口つける代わりに、おれにキス!!・・・うん。我ながら、ナイスアイデア!!」
キラキラ。とでも、説明書きがつきそうなぐらい、満面の笑みで、喜んでいるまお。
俺のことを心配して、こんなに思ってくれてるんだなあ。
「・・・・ありがと。まお。」
ふんわりと、俺の天使を抱き締める。
「まおのその気持ちだけで、十分だよ。・・・・っていうか、まおがいるだけで、今は十分満たされてるから、
お前がいたら、タバコ吸いたい、なんて思わないよ。」
「・・・・じゃあ、おれがいなかったら??」
「・・・・ああ。そうだな。そこが問題・・・・・。」
「ほらあ~~!!だから、24時間やっぱり側にいないとダメなんじゃない。大ちゃん、病院行って、処方箋きってきてもらって!?・・・・・・24時間、まおが必要です。って・・・・・。」
「あははっ。まお、それナイスアイデア。診断書も出してもらおうか。まおがいないと禁断症状がでる、重症患者のため、まお補充必要。・・・・とかって??」
「ぷぷっ。そんなふざけた禁煙外来、おれ達しか患者来ないよ~~~。」
「おれ達だけで、いいんじゃない?そんなオノロケ聞きます。だけの病院・・・・。」
「・・・・・・ってか、先生いらないでしょ?」
「・・・・あ。確かに。まおがいれば、医者いらず、だなあ。・・・・あ、なんか医療費に貢献してる気分になってきた。」
「・・・・おれが、万能薬??」
「うん。まおがいれば、どんな病気も治っちゃう。」
「ふふっ・・・・。うれしい。」
「だから・・・。」
まだクスクスと笑っているまおにそっと口接ける。
「・・・・・ほら。まおがいなくて寂しかった病、もうすっかり治っちゃった。」
「ええ~~。そんな病気あり~~??」
また、クスクスと笑うまお。
「でも、俺には、切実な問題なんだ・・・・・。」
そう。ギイに嫉妬してしまうほどに、まおへの愛は日々積み重なって。
やっと、やっと数々の困難への覚悟ができて。
まおを失うか、受け入れてもらえるか、の一大決心をして、今のこの幸せがあるのだから。
「じゃあ、おれも。大ちゃんに早く会いたかった病だよ・・・・。」
まおからも。やさしくやわらかなキスをもらって。
一人で思いを募らせていた時間はお互いとても長かったけれど。
ふたりで育んでゆく恋はまだ始まったばかりだから。ゆっくりと、お互いの穴を埋めてゆこう。
仕事を終えて家に帰ると、電気のついていない暗い部屋。
「そっか・・・・。今日はまおのほうが、遅いんだな・・・・。」
まおの方が仕事が早い日は、俺の部屋でたいがい待ってくれていて。
今まで、暗い部屋に帰るのが当たり前だったはずなのに、明かりのついていない部屋がその日はとても寂しくて。
------------------つい。
そのまま、バルコニーまででて、タバコに火をつける。
まおがこの部屋に頻繁に来るようになってからは、一人のときでも部屋の中では吸わないようにしている。
たばこの残り香が、まおを心配させてしまうから・・・・・・。
「まお・・・・・。どうしてるかな・・・・・・。早く会いたいな・・・・・・・。」
なんて、独り言をつぶやきながら、暗闇に浮かんだタバコの赤い火を見詰める。
じわじわと燃えて、灰になり、ぽとん。と地面に落ちる。
ふと。気配を感じて後ろを振り向くと・・・・・・。
硝子越しに、悲しそうな目をしたまお。
ああ。そんなにも俺のことを思ってくれていたのに。自分の意思の弱さで、そんな目をさせてしまった・・・。
「・・・・・ごめんな。まお。」
硝子越しに、口接けると、ひやり、とした感触とともに、硝子越しに感じるまおの唇のぬくもり。
窓ガラスに当てられた手が、かすかに震えていて。
そっと、その掌に、己の掌を重ねると、まおの目からぽろり、と一粒の涙がこぼれる。
硝子越しに重ねられた、掌と唇から、まおの愛がひしひしと伝わってくる。
すっかり、お互いの体温で、硝子との温度差がなくなってしまうまで、ずっとそのまま口接けていた・・・・。
「・・・・ごめんな。まお。」
そう、ささやきながら、室内に入ると、まおを抱き締める。
「心配させて、本当に、ごめん。・・・まおのいない部屋が寂しくて、つい・・・・・。」
「ううん。おれが、もっと早くこれてたら、大ちゃん我慢できたんだよね??」
「・・・・いや、まあ、そうかもしれないけど・・・・。やっぱり最後は自分の意思の強さ、だろ?」
「ああっ!!もう、おれが24時間ずっと側にいれたらいいのに~~~!!そしたら、タバコに手がのびる度に、大ちゃんにキスしてあげるのに。」
さっきまで、泣きそうだった表情はどこへやら、今度は本気で自分が側にいなかったことを悔やしがっている。くるくる変わる、まおの表情。
「あははっ!!それは、とっても、とっても嬉しいけど。俺、まおにキスしてもらいたくて、余計にタバコに手がのびそう~~~。」
「・・・・・あ。そっか。それじゃあ、逆効果。・・・・・あ!!じゃあじゃあ。大ちゃんがタバコを吸いたくなったら、タバコに口つける代わりに、おれにキス!!・・・うん。我ながら、ナイスアイデア!!」
キラキラ。とでも、説明書きがつきそうなぐらい、満面の笑みで、喜んでいるまお。
俺のことを心配して、こんなに思ってくれてるんだなあ。
「・・・・ありがと。まお。」
ふんわりと、俺の天使を抱き締める。
「まおのその気持ちだけで、十分だよ。・・・・っていうか、まおがいるだけで、今は十分満たされてるから、
お前がいたら、タバコ吸いたい、なんて思わないよ。」
「・・・・じゃあ、おれがいなかったら??」
「・・・・ああ。そうだな。そこが問題・・・・・。」
「ほらあ~~!!だから、24時間やっぱり側にいないとダメなんじゃない。大ちゃん、病院行って、処方箋きってきてもらって!?・・・・・・24時間、まおが必要です。って・・・・・。」
「あははっ。まお、それナイスアイデア。診断書も出してもらおうか。まおがいないと禁断症状がでる、重症患者のため、まお補充必要。・・・・とかって??」
「ぷぷっ。そんなふざけた禁煙外来、おれ達しか患者来ないよ~~~。」
「おれ達だけで、いいんじゃない?そんなオノロケ聞きます。だけの病院・・・・。」
「・・・・・・ってか、先生いらないでしょ?」
「・・・・あ。確かに。まおがいれば、医者いらず、だなあ。・・・・あ、なんか医療費に貢献してる気分になってきた。」
「・・・・おれが、万能薬??」
「うん。まおがいれば、どんな病気も治っちゃう。」
「ふふっ・・・・。うれしい。」
「だから・・・。」
まだクスクスと笑っているまおにそっと口接ける。
「・・・・・ほら。まおがいなくて寂しかった病、もうすっかり治っちゃった。」
「ええ~~。そんな病気あり~~??」
また、クスクスと笑うまお。
「でも、俺には、切実な問題なんだ・・・・・。」
そう。ギイに嫉妬してしまうほどに、まおへの愛は日々積み重なって。
やっと、やっと数々の困難への覚悟ができて。
まおを失うか、受け入れてもらえるか、の一大決心をして、今のこの幸せがあるのだから。
「じゃあ、おれも。大ちゃんに早く会いたかった病だよ・・・・。」
まおからも。やさしくやわらかなキスをもらって。
一人で思いを募らせていた時間はお互いとても長かったけれど。
ふたりで育んでゆく恋はまだ始まったばかりだから。ゆっくりと、お互いの穴を埋めてゆこう。