「まお~~。おまたせえ~~。」

ああ、いかんいかん。あのまおが待っているのかと思うと、口元も、目尻もやばいことになっている。
こんな顔をまおに見られたら、また「ダイチャンの、スケベ。」とかってからかわれるんだろうなあ。

シャッキ!!とせねば・・・・・。

自分のほっぺを、両手で、ムニュウとつかんで、リセットする。


「あ。大ちゃん。おかえりい。・・・・・ほらほら。ジャーーーン。」

姿は女の子、でもやっぱり中身は変わんないなあ・・・・。
なんて、妙に納得しながら、まおの指差したほうを見やる。

-----------そこには。

深いブルーにキラキラと輝く気泡の入ったとっくりとおちょこ。

「ねえねえ。綺麗でしょ??琉球硝子だよ。・・・・・・もう、一目ぼれして、ソッコーで買っちゃった。
今日はこれで、乾杯、しよ??」
「・・・・・・・本当だ。綺麗・・・・・・・。」

見れば、見るほど、吸い込まれそうな深い透明なブルーで。
まおのセンスって、やっぱりいいよなあ・・・。なんて改めて感心する。

雑貨が好き。と言うだけあって、部屋のインテリアとか、ちょこっとしたものの配置、とかがお洒落で。
どちらかというと、シンプル・イジ・ザ・ベスト。だった俺の部屋は、まおが通うようになってから、なんだかとってもお洒落になってきた。

「琉球硝子だから。お酒も泡盛買ってみた。」
「ええ~~~。それ、アルコール度数50%とかのやつじゃないの??」
「・・・・んふふ。一回飲んでみたかったんだあ~~。」

「俺、そんな強くないよ?」
「うん。知ってる。」

「先に酔っ払っても、知らないぞ?」
「大丈夫だよお。二人きりだもん。・・・・・先に酔ったら、介抱してあげる。」

・・・・・いや。先に酔ってはいけないのだ。
せっかくのかわいいまおの浴衣姿を堪能できなくなってしまうではないかっ!!!

「ねね。大ちゃん、おちょこ持って?」

はい。と浴衣の片袖を持ちながら渡してくれるまおの手つきがなんとも可愛い。

「・・・・・・ひとまず、ちょっぴり、ね??」

ブルーの硝子に、澄んだ冷酒が注がれる。

「じゃあ、まおも。」
「・・・・あ。おれ、多分いけると思う。」

なんて言うものだから、しっかり一杯分注いで。

「「乾杯」」

と、チンと、小さくおちょこを合わせて、ちびり、と飲む。
口元に持っていくだけで、ふわりと香るお酒の匂い。ああ。この香りだけで酔いそう・・・・・・・。