「ありがとう、ございました・・・・。」
店の中に、お客が残っていないことを視線で確認すると、少年の隣に座る。
「ああいうときは、きっぱり断らないと、面倒なことに巻き込まれるぞ?少年?」
「あ・・・・。名前・・・・。浜尾といいます。浜尾、キョウスケ。」
じっと、黒目がちの瞳で見つめられ、心の中を見透かされているようで、なんだかドキドキする。
こんな、子供相手に。
「僕、人見知りで・・・・。初めて話しかけられた人に、なんて返事したらいいのかわからなくて。
ダメなんですけどね・・・・。こんな、性格。」
じっと見つめられていた視線が、ふっと外される。
見つめられればドキドキするのに、外されればなんとなく不安で落ち着かなくなる。
なんて、魅力的な表情をする瞳なのか・・・・・。
コーラの水滴が、グラスを伝い、コースターを濡らしてゆく。
じっとその染みが広がってゆくのを見つめている彼。
昼間とは打って変わって、静かなビーチを吹き抜ける風が、俺達の間を吹きぬける。
ふと、ひとりごとのように彼がつぶやく。
「人見知り、直さないと夢も逃げていくんだけど・・・・・。」
「ゆめ、って・・・・・?」
「あ。ごめんなさい。お仕事中なのに・・・・・。」
「・・・・いいよ。もう、お客さん、誰もいないし。・・・なんか、ナヤミゴト??」
「あはっ。何、しゃべってんだろう。僕・・・・・。なんだか、貴方といると安心する・・・・。」
はにかんだような笑顔で、ふわりと微笑む彼。
・・・・・あれ?
この彼は現実の人間なのか・・・・?それとも、幻の妖精をみている??
あまりにその笑顔が柔らかくて、はかないくらいに幻想的で。
--------そんな錯覚を覚える。
そっと、その指先に触れてみれば、確かにあたたかい体温を感じて・・・・・。
「・・・・・よっかったら、話して?何の力にもなれないかもしれないけど。」
気がつけば、そう彼に語りかけていた。
遠くから、見詰めているだけだった彼が目の前にいて、なぜだかわからないけれど、俺に心を開こうとしてくれている。
なんだか、放って置けなくて。なんでもいいから、彼のことを知りたくて。ちからに、なりたくて・・・・。
「僕・・・。俳優になりたいんです。でも、親に反対されてて・・・・・・。
現実から逃げていても仕方がないんだけど、どうしたらいいかわかんなくて。こうやって毎日サーフィンしに来てて。・・・・・波に揺られていると、いろんなこと忘れられるから・・・・・。」
彼の口からの告白は、意外な言葉で。
「そうなんだ・・・・。それで、人見知り、直そうと思って??」
「・・・はい。僕のこの性格じゃ、厳しい芸能の世界なんか、無理だって・・・・・。今年、受験なんだけど、まだ迷ってて。」
ゆっくりと、グラスから垂れるしずくを、指でたどる。
まだ、少年で完成はしていないけれど、細くて繊細そうな指先・・・・・。
これだけの美少年で。これだけ魅力的な瞳をしていて。これだけヒトをひきつける彼。
きっと、俳優になったら、さぞかし有名になるだろう。
でも、この世界の厳しさも、親の理解も、大切なことは、俺が身をもって知っている。
「まだ・・・・。中3だろ??そんなに急がなくても、ゆっくり考えればいいよ。しっかり親御さんと相談して。きちんと自分の想いを伝えて。・・・・きっと、わかってくれるよ。」
「そうですか・・・ね??」
小首をかしげて、真っ直ぐに俺をみつめてくる彼。
「きっと・・・。そう。諦めなければ、ゆめはきっと叶うから。」
自分に言い聞かせるように、彼を真っ直ぐに見詰めて、返事する。
「そうか・・・な??」
さっきまでの、どこか揺らいでいた瞳の陰はなくなり、穏やかな光をたたえている。
すっかり氷の溶けてしまったコーラを一口飲み、意を決したように、席を立つ。
「・・・・・あの。明日もお話しに来ていいですか??」
「・・・・もちろん。いつでも、おいで??」
なんの役のも立っていないかもしれないけれど、少年の瞳が柔らかくなって・・・・。
また、話をしたいと俺を頼ってくれる・・・・・。
なんだか、胸の奥がほんわかとあたたかくなって、俺の夢もうまく行くような気がしていた。
店の中に、お客が残っていないことを視線で確認すると、少年の隣に座る。
「ああいうときは、きっぱり断らないと、面倒なことに巻き込まれるぞ?少年?」
「あ・・・・。名前・・・・。浜尾といいます。浜尾、キョウスケ。」
じっと、黒目がちの瞳で見つめられ、心の中を見透かされているようで、なんだかドキドキする。
こんな、子供相手に。
「僕、人見知りで・・・・。初めて話しかけられた人に、なんて返事したらいいのかわからなくて。
ダメなんですけどね・・・・。こんな、性格。」
じっと見つめられていた視線が、ふっと外される。
見つめられればドキドキするのに、外されればなんとなく不安で落ち着かなくなる。
なんて、魅力的な表情をする瞳なのか・・・・・。
コーラの水滴が、グラスを伝い、コースターを濡らしてゆく。
じっとその染みが広がってゆくのを見つめている彼。
昼間とは打って変わって、静かなビーチを吹き抜ける風が、俺達の間を吹きぬける。
ふと、ひとりごとのように彼がつぶやく。
「人見知り、直さないと夢も逃げていくんだけど・・・・・。」
「ゆめ、って・・・・・?」
「あ。ごめんなさい。お仕事中なのに・・・・・。」
「・・・・いいよ。もう、お客さん、誰もいないし。・・・なんか、ナヤミゴト??」
「あはっ。何、しゃべってんだろう。僕・・・・・。なんだか、貴方といると安心する・・・・。」
はにかんだような笑顔で、ふわりと微笑む彼。
・・・・・あれ?
この彼は現実の人間なのか・・・・?それとも、幻の妖精をみている??
あまりにその笑顔が柔らかくて、はかないくらいに幻想的で。
--------そんな錯覚を覚える。
そっと、その指先に触れてみれば、確かにあたたかい体温を感じて・・・・・。
「・・・・・よっかったら、話して?何の力にもなれないかもしれないけど。」
気がつけば、そう彼に語りかけていた。
遠くから、見詰めているだけだった彼が目の前にいて、なぜだかわからないけれど、俺に心を開こうとしてくれている。
なんだか、放って置けなくて。なんでもいいから、彼のことを知りたくて。ちからに、なりたくて・・・・。
「僕・・・。俳優になりたいんです。でも、親に反対されてて・・・・・・。
現実から逃げていても仕方がないんだけど、どうしたらいいかわかんなくて。こうやって毎日サーフィンしに来てて。・・・・・波に揺られていると、いろんなこと忘れられるから・・・・・。」
彼の口からの告白は、意外な言葉で。
「そうなんだ・・・・。それで、人見知り、直そうと思って??」
「・・・はい。僕のこの性格じゃ、厳しい芸能の世界なんか、無理だって・・・・・。今年、受験なんだけど、まだ迷ってて。」
ゆっくりと、グラスから垂れるしずくを、指でたどる。
まだ、少年で完成はしていないけれど、細くて繊細そうな指先・・・・・。
これだけの美少年で。これだけ魅力的な瞳をしていて。これだけヒトをひきつける彼。
きっと、俳優になったら、さぞかし有名になるだろう。
でも、この世界の厳しさも、親の理解も、大切なことは、俺が身をもって知っている。
「まだ・・・・。中3だろ??そんなに急がなくても、ゆっくり考えればいいよ。しっかり親御さんと相談して。きちんと自分の想いを伝えて。・・・・きっと、わかってくれるよ。」
「そうですか・・・ね??」
小首をかしげて、真っ直ぐに俺をみつめてくる彼。
「きっと・・・。そう。諦めなければ、ゆめはきっと叶うから。」
自分に言い聞かせるように、彼を真っ直ぐに見詰めて、返事する。
「そうか・・・な??」
さっきまでの、どこか揺らいでいた瞳の陰はなくなり、穏やかな光をたたえている。
すっかり氷の溶けてしまったコーラを一口飲み、意を決したように、席を立つ。
「・・・・・あの。明日もお話しに来ていいですか??」
「・・・・もちろん。いつでも、おいで??」
なんの役のも立っていないかもしれないけれど、少年の瞳が柔らかくなって・・・・。
また、話をしたいと俺を頼ってくれる・・・・・。
なんだか、胸の奥がほんわかとあたたかくなって、俺の夢もうまく行くような気がしていた。