タクシーで早めに空港に着く。

小さなお土産やさんがあるだけの、とってもnaturalなあの空港。

手荷物検査を受けたあとも、簡素な柵ヒトツで仕切られているだけ。

お客さんも、二組ぐらいしか、見当たらない。

それが、また余計に寂しくて・・・・・・。


あたりは、薄紅色に染まってきて。

椰子の木の森に沈んでゆく夕日は幻想的に美しくて・・・・・。
こんなに、ロマンティックなシュチュエーションなのに、だからこそ、逆に切なくなる。

もう、ポロポロこぼれる涙を止められなくて・・・・・・。

「だいちゃん・・・・。帰りたく、ない・・・・・・。」

さっき、日本に帰ろう。と、意を決してホテルをあとにしたばっかりばったのに。
いっそのこと、このままここに永住してしまいたいような気分になる。

「うん・・・・。おれも、まおとこのままずっと抱き合っていたい・・・・・・。」

二人で。
飛行機が到着するまで、ずっとそうやって抱きしめあっていた・・・・・・・。



飛行機が、到着すると、大ちゃんのシャツで涙を拭いて。

・・・・・・・ああ。ぐしょぐしょになっちゃった・・・・・・。

また、あの小さいプロペラ機で、バンコクまで飛んで。

バンコクの、ざわざわしたにぎやかな空港の雰囲気に、少しずつ、諦めがついてくる。

「アローハー!!」

見知らぬ、日本人のおじさんが、アロハシャツに麦藁帽子で、回りのヒトに声を掛けまくっている。

-------あはは。
なんか、リゾート難詰してるよね。しかも、ここハワイじゃないし・・・・・。

日本人って・・・・・。おもしろい。

なんて、人間ウォッチングをしているうちに、乗り換えの待ち時間はあっという間に過ぎて。


日本行きの飛行機に乗った頃には、もう、9時を回っていて、機内での夕食を済ますと、すぐに消灯時間になった。

どうも、冷え性のオレには、機内はエアコンが効き過ぎる・・・・・・。

ブランケットを大ちゃんの分とあわせて3枚借りて、包まり。

「・・・・・・おやすみ。起きたら、日本だね・・・・・。」

キスしたいのを、我慢して、大ちゃんの瞳を見つめる。

「ああ・・・・・。楽しかったな・・・・・。おやすみ。まお。」

頭上のスモールライトも消して・・・・・。

うとうととまどろみかけたところ・・・・・・・。

だいちゃんの、手がさわさわと太ももの内側を探り出し・・・・。きわどいところをかすめる。

「あっ・・・・・。」

思わず、小さく声が漏れてしまう。

そのまま、反応してしまっている部分へと伸ばされる、指先。

「・・・ふっ・・・・・・。あ・・・・・。」

いくら暗いとはいえ、前後の席が空席だとはいえ、いつアテンダントがくるかわからないのに・・・・。

真っ暗で何も見えない窓の外を見るふりで、顔を窓の外に向け隠し・・・・・。

声が漏れてしまわないように、きゅっと下唇をかんだ。


・・・・ああ。やっぱり、行きの飛行機でのいたずら、根にもってるんだあ・・・・・・。