とうとう出発の日がきてしまった・・・・・・。

がやがやと、にぎやかな空港。

日本へ向かう飛行機なんだから、当たり前なんだけど、日本人ばっかりで。

まだ、南国にいるのに、ダイチャントは離れ離れ。


「だいちゃ・・・・・。帰りたく・・・・ない・・・・・。」

こぼれそうになる涙を必死にこらえながら、ダイチャンのシャツの裾をぎゅっとつかむ。

ダイチャンは、困ったような、我慢しているような複雑な表情をうかべて、

俺に伸ばしかけた腕を・・・・おろす。

「ごめんな・・・・・。抱きしめてやりたいけど、ここでは無理、だわ・・・・・。
・・・・・・また、くればいいから。また、まおとココにくる。
約束する。・・・・・・・・な?」




----------------抱きしめる代わりに。

ふたり並んでベンチに座り、

小さなひそひそ声で

「あいしてるよ・・・・・。まお。」


何度も、何度も、耳元でささやき続けてくれていた・・・・・・。


現実へと、戻ってゆく時間・・・・・。


でも、そこにはダイチャンンのささや声がずっとあって・・・・・。


ヒトリジャ、ナイ。と、心を強く持って・・・・・・。


飛行機へと、乗り込んだ。