------------がんばって、二人でスケジュール調整してとった休暇。

・・・・・・・3泊と、少しだけ、4日。
・・・・・・・これが、最大限。


夕方、ダイチャンと空港で直接待ちあわせをする。

今回の行き先は、メジャーだけど、プーケット島。



仕事の撮影で、南国に行くことがちょこちょこあるんだけれど、あの、エメラルドグリーンの海と、
あたたかくて、気持ちのいい風に吹かれていると、心が開放される。

どんなに、忙しくて寝不足でも、どんなに嫌なことがあって傷ついていても、
南国独特の、癒し?とでもいうのか・・・・・。

真っ白い砂浜に寝そべっていると、心のなかにある、闇、やしこりがとろとろととろけ出して、
嫌なことなんて、忘却の彼方へと、消えてしまう。


------------ダイチャンと、そんな幸せなひと時を過ごしたくて。


休みが合うたび、オアシスを求めて、南国に行くようにしている。


夜の22時初の飛行機に乗って・・・・・・。
現地時間の、1時に、バンコクに着く。
それから、乗り換えて・・・・。プーケット島に着いたのは、朝の・・・・4時。


幸い、平日の夜、とだけあって飛行機は空席が多くて。
安心して、ダイチャンの肩に頭をあずけて、ぐっすりと眠れた。


荷物の整理もそこそこに、
ぐったりしてしまって、ひとまずベッドにたおれこむ・・・・。


ああ・・・・。本当は、いちゃいちゃしたいけど・・・・。
ひとまず、休憩・・・・・・。


仕事をしながらの、荷造りは大変で、なんだかんだと、ここのところ寝不足だった。


それは、ダイチャンも一緒で・・・・・。


俺はダイチャンの脇の下にもぐって・・・。
二人、エアコンの効いた室内で、結局10時まで寝てしまった・・・・。



-----------ピンポーン。

チャイムの音で、目が覚める。
うう・・・・・。ああ、そうだった・・・・。ホテルの説明、まだだった・・・・。


島の最西端にある、このホテルは、夕日が幻想的で美しいと有名らしい。

ヒトツ、ヒトツ、十分な間隔をあけて建てられた、コテージには、それぞれに
バルコニーがついていて、南国らしく、大きなバナナの葉っぱが、目隠しになってくれている。

斜面にならんだコテージを眺めながら降りてゆくと、
コテージを囲むようにこじんまりとしたプライベートビーチがあらわれる。


-----ここが、夕日のビューポイント。


シーズンオフのこともあってか、ほとんど宿泊客はいないらしく、ひっそりとしている。


ひととおり、広大な敷地をカートでまわりながら、
ホテルのボーイさんから、説明を受け終わって、部屋にもどって、ほっと一息。


シャワーを浴びて、着替えをして、ウェルカムフルーツをつまんで・・・・。
ソファで、くつろいでいる、ダイチャンの隣に、ちょこんと座る。
ふふふ。こんなことも、久しぶり・・・・・。


「今日は、何をする?」

「ひとまず・・・・。ビーチまで、散歩?」


他愛の無い、「ダイチャンと、散歩。」
そんなコトさえもが、南国に来ると、トクベツなことのように思えて、うきうきしてくる。


「・・・・うん!!お散歩、いこっ!!」


当たり前のように、手をつないで。
当たり前のように、一緒に玄関から出発する。


----------こんなこと、日本にいたら、絶対にできない。


お互いに、仕事が増えて、責任もでてきて、顔も知られるようになって・・・・。
それは、とてもありがたいことなんだけれど、その分、気を使うようになった・・・・・。


公には、最近同じ仕事も少なくなったし、あくまで、以前よく共演していた仕事仲間で、
仲はいいけれど、それ以上の何者でもない、という演技をしなくてはならない。


そんな・・・・。窮屈な日本を離れ、この南国のねっとりとした、情熱的な空気に触れていると、
なんだか、どんなことでも、どうにでもなってくる気がするから、不思議だ。


道端に咲く、カラフルで甘美な香りを放つ花々にトキメキ。
遠くに見える、ビーチのエメラルドグリーンに心が揺さぶられる。


「きれいだねえ・・・・・。いい香り・・・・。」

「まおのほうが、きれいだよ・・・・。どんな、美しい花よりも。」

ぎゅっとつないだ手をほどき、道端に咲く赤い花を一本折ると、俺の耳にかける。

「ほら・・・・。ふふ。まお、すごく似合う。
こんな華やかな花にも負けない男って・・・・・。世界中さがしても、きっとお前だけだよ。」

そう言って、花の香りをかぐように、目の端に触れるようなキスをくれる。

・・・・・ふふ。くすぐったい・・・・・。