大ちゃんの車は、どんどん人気のないほうへとすすんでゆく。

「・・・・・どこ、行くの?」

「・・・・・・ナイショ。」

「・・・・・また、サプライズ?」

「・・・・・・ナイショ。」

そんな、他愛のない会話すらも、胸の奥がこそばゆい・・・・・・。

オーディオから流れる音楽に身を任せながら、ドライブを楽しんでいると。



「・・・・ついたよ。」

真っ暗な・・・・・山の上の駐車場。

「・・・・ここ?」

「うん。・・・ここ。ここから、ちょっと、歩いてもらいます。」


平日の夜中だからか、あたりには人気はまったくなくて。

・・・・・・・ちょっとぐらい、いいよね?


触れ合った指に、どうしても手をつなぎたくなって、指をからませた。


だいちゃんも、何も言わずに、ぎゅ!と握り返してくれる・・・・・。


そのあたたかさに。力強さに。大ちゃんの愛情を、ひしひしと感じて・・・・・。
ああ。なんて幸せな、誕生日なんだろう・・・・・・。


そうやって、ふたりで歩いていると、一気に視界が開ける。


「・・・・・・うわあ・・・・・・・!!!」


そこには、宝石箱をひっくり返したような、夜景。

キラキラ。キラキラ。


「・・・・・・すごいねえっ・・・・・!!」

振り返ると、大ちゃんの瞳が夜景の光を反射して、キラキラ輝いている。

「・・・・すごいっ・・・・。すごいっ・・・・。」


それしか、言葉が出てこなくて。


後ろから、だいちゃんの腕にふわり、と抱きしめられる。


「そんなに喜ばれたら・・・・・。俺の方こそ、どうにかなっちゃうよ・・・・・。」


抱きしめられた大ちゃんの腕に、そっと手を重ねる。


「ありがとね・・・・・。いそがしいのに。
いっぱい、いっぱい幸せもらって・・・・・。ほんとうに、うれしい。」


大ちゃんのあたたかいぬくもりを背中で感じながら。
キラキラした夜景をずっと、ずっと見つめていた・・・・・。