-------------6月25日。


今日は、俺の誕生日。

そして、だいちゃんの舞台の、千秋楽の日。


朝から、ずっとそわそわしている。

今頃、家をでたかな・・・・?

そろそろ、リハーサルかな・・・・・??

だいぶ、疲れていたみたいだけど、大丈夫かな・・・・???


千秋楽のテンションは、自分でも良くわかっていて。

きっと、俺の誕生日のことなんて、考える余裕がないこともわかっていて。

でも、もしかして・・・・!?

と、期待を込めて、ずっと携帯のディスプレイを、眺めている。



---------------ドキっ!!

自分の世界に浸っていると、急に鳴り響く、インターフォンの音。


「浜尾さ~ん。電報で~す。」

・・・・・・・・・・電報??
あの、サクラチル・・・・とか、サクラサク・・・・・・の??


玄関を開けると、むせかえるような、甘い、香り・・・・・・。


「浜尾京介さん・・・ですね?ワタナベさんから、お届けものです。
こちらに、サイン、お願いします。」


事務的に話をすすめる、宅配便の人の声が、遠くに聞こえる。

これって・・・・・これって・・・・・・・・。
ずるいよ・・・大ちゃん・・・・・。こんなサプライズ・・・・・あり・・・・??

こぼれそうになる涙を、必死にこらえる。


電報と、花束を受け取り、一人になると。

うれしくて。大ちゃんの心遣いがうれしくて。

胸がいっぱいになって・・・・・・涙が、こぼれた・・・・・・・。


---------------猫の写真が入った可愛らしい電報には。

「まおへ。

誕生日、おめでとう。

この世に、生まれてきてくれたことに。
こうやって、めぐりあえたことに感謝して。

これからも、ずっと一緒に。
この記念すべき日を、毎年一緒に祝わせてください。

今日、会えないかもしれないので、
花束に想いを託します。

                  ダイスケより」


--------------と、書いてあった・・・・・・・・。

・・・・・・・花束に、想いをたくす??


甘い香りのする花束は、ピンクのバラが14本と、赤いバラが8本。

・・・・・・これにも、意味があるのかな・・・・・??


携帯をとりだして、花言葉を調べる。


-----------薔薇---------------

六月の、誕生花。(・・・・へえ。そうだったんだ)

ピンク: わが心 君のみが知る あたたかい心 満足
 
赤  : 熱烈な恋 愛情


・・・・もう、もうっ・・・・・。しんんじられない!!こんなカッコイイこと、さらっとするなんて。


薔薇の花束に、顔をうずめ、その甘い香りを、かぐ。

だいちゃんの・・・・・想い。

僕たちだけの・・・・・秘密。

熱烈な・・・・・・・・・・愛情。


うん・・・・・。そうだね。大ちゃんの熱烈な愛情は、俺だけが知っていて。

あたたかい心につつつまれて、満足・・・・・してるよ・・・・・・・・。


「大ちゃん・・・・・あいしてる。」


お礼のメールをしようとして。

再び携帯の画面を開けるけれど。

言葉が、みつからない・・・・・・・・。


こんな素敵なプレゼントに、どうやって返事したらいいかわからなくて。

----------結局。

「プレゼント、ありがとう。 ・・・・・あいしてるよ。
なんて言ったらいいのかわからないので、キスをおくります。

----------ちゅ!」


とだけ、返信して、携帯を閉じた。

・・・・・大ちゃんが気がつくのは、舞台が終わってから・・・・・・・かな??