車の助手席に、まおを押しやり、エンジンをかける。

駐車場には、まだ、まばらに車が残っている。


「ま・・・・お。なんで、お前・・・・はっ・・・・・・・。」

噛み付くような、キスをする。

もしかしたら、前を人が通るかもしれない。

でも、そんなこと、考えられないぐらい、まおの全てを奪ってしまいたかった。


「ダイ・・・・チャン・・・・??」

絡められる、舌先に、戸惑いを隠しきれないまお。

こんなところで・・・・。という想いと。
どうしたの・・・・・・?と心配してくれる、やさしい気持ちが伝わってくる。


そんなまおに甘えてばかりで。
俺は、いつもわがままを言ってしまっている・・・・・。


ゆっくりと、助手席の背もたれを倒し、まおの上に重なる。


「ちょっとだけ、このままでいさせてくれ・・・・・・・。」


慈しむように、まおの腕が、俺の背中に回される。

母親が、子供にするように、背中をゆっくりと、なでられる・・・・・・。

髪に、指を絡ませ、しっかりと抱きしめられる・・・・・・・。



しばらく、そのまま、まおの鼓動を聞いていた・・・・・・。



「なあ?まお。・・・・うちのマンションに、引っ越して、来ないか?」

・・・・・しばらく、考え込む、沈黙。

「でも・・・・・。男同士で、同居って・・・・おかしくない??」


わかっている。

人目を気にしないと、いけない関係だということは。

でも、それでも。

一瞬でも、離れていたくないぐらい、追い詰められて。心が乾いて・・・・・・。


「一緒は、むりでも・・・・。
一階下に、空き部屋・・・・・・・・あったよね?
そこなら、だいじょうぶ・・・・・かな?」


ふんわりと、微笑み、やさしく、俺のほほを両手で包み込む。


いつだって。

俺の天使は、聖母マリアのようにあたたかく、包み込んでくれる・・・・・。


「もう少し、大人にならなきゃ・・・・・な。」


「ん?なあに?」


「・・・・・ううん。ひとりごと。」


ずっと、ずっと、手をつないで、歩んでいきたいから・・・・・・。