------------------ギイが、告白してくれた音楽堂。


あなたのいない、この世界。

こんなにも、ひとはあふれているのに。

貴方だけが、・・・・・・・いない。

貴方が、虹色に変えてくれた僕の世界は、
また、色のない無味な世界へともどってしまいそうだ・・・・。

ポロポロとこぼれる涙を、止められるのは、貴方しかいない。

ああ。どうか神様。

この腕に、彼を返してください。




「タクミッ・・・・・。」


大ちゃんが・・・・。距離を空けて、座る。


こんなに、離れているのに、全身全霊で、その存在を感じ取ってしまう。

身体の、右半分が・・・・・・アツイ。


磁石が反発しあうように、近づきたいのに、近づけない。


ウラハラな、カラダとココロ。


「嫌だったら・・・・。なぐっても、いいからな。」


大ちゃんの、くちびるが、触れる。


とっさに、跳ね除ける。


---------------ダメだ!!

僕たちは、触れ合っては、いけない存在。


喉まで、でかかった「ダイチャン、ダイスキ」があふれてしまう。


切なくて、苦しくて
息が・・・・・・できない・・・・・・・・。



大ちゃんが、きつく抱きしめてくれる。


大ちゃんの、想いが。やさしさが・・・・。体温が・・・・・・・・・・。
伝わってくる。


地位も、名誉も、家族も、全てなげうってでも、お前を守る。と・・・・。


このひとに、身をゆだねても、だいじょうぶ・・・・・。

けっして、傷つけられることは・・・・・ない・・・・・・。



ゆっくりと、呼吸が、落ち着いてくる。
世界が、色をとりもどす・・・・・。


よかった・・・。かえってこれた・・・・・。


目の前にいる、愛しい人。

そのくちびるに吸い込まれるように、そっとくちびるを、重ねる。


ああ。あったかい・・・・。

じんわりと、胸の奥が熱くなり、切なさが、溶けてゆく・・・・・。

雪解けを待つ、氷のように。

ぎゅうぎゅうになって、詰まっていた「ダイチャンダイスキ」たちが、流れてゆく・・・・。


こんなにも。
愛に。ぬくもりに。餓えてたんだ・・・・・・・。



大ちゃんが、僕のシャツをゆっくりと脱がせてゆく。


--------愛し合える。しあわせ。


大ちゃんの、あたたかいてのひらが、くちびるが、僕の全身を滑ってゆく・・・・。


ひたひたと、みたされる、感情・・・・・・・。

ざわざわと、かけめぐる、快感・・・・・・・。


「ハア・・・・。ア・・・・・。ン・・・・・・・・・。」

思わずもれる、吐息。


切なげに、伏せられる、睫毛・・・・・。

感じすぎて、息ができない・・・・・・。

酸素を求め、空に向かって、おぼれる魚のように、喘いでしまう。



「ダイチャン・・・・・。アイシテル・・・・・・・。」

心の中の、告白は、行き場を見失い、空をさまよう。



僕のなかの、タクミは、もっとギイと繋がりたいと・・・・・・・・・・・。

もっと、愛しあいたいと・・・・・・・。

こんなにも、全身で訴え、愛情を受けているというのに・・・・・・。




どうしよう・・・・・・。

こんな、乱れた僕をみたら、大ちゃんはなんて思うだろうか・・・・。

頭の片隅に、チラリ。とそんな考えがよぎったけれど、



今は、与えられる愛撫だけに、おぼれていたかった・・・・・・。