「楽しかったねー。」


タイの夜は、にぎやかだ。

時計は、10時を過ぎたところだけれど、まだまだ今から活気付いてくる。

風が、汗でへばりついた髪を乾かしてゆく。

「ん。気持ちいい~~~。」


南国独特の、甘い香りに誘われて、俺たちはいつもより大胆になる。

観光客は白人が多いこの街で、人目を気にせずに、肩を抱き合ったり、手をつないだり。

そんな、普通のコイビトのように過ごせ、満足な一日だった・・・・・。



本日の宿泊先。

----------------ラディソンホテル。

入り口に、1対のライオンの彫刻。

ガラス張りのロビー。

リゾート感あふれる、おしゃれなホテルだった。


ロビーに一歩はいると、ひんやりした空気が、ほてったカラダに気持ちいい。

ボーイさんがにこやかに近づいてきて、荷物を受け取ってくれる。


フロントで二人分のチェックインをしてくれている大ちゃんの背中を、ふかふかのソファに
沈みながら、眺める。


「・・・・・・・・おまたせ。」


二部屋分の鍵を、チャラリ、と言わせながら、俺の肩を引き寄せる。


・・・・・・・・・・もう。何から何まで、かっこいいしぐさ。



エレベーターに乗り込むと、先ほどのボーイさんと、一緒になった。

俺たちの荷物を運んでくれている。


「・・・・・・this,you??」

「・・・・・・・・yes.」

ボーイさんが、にこりと笑う。人懐っこい笑顔。


俺の部屋まで荷物を持ってきてくれたボーイさんは、大ちゃんに向かって

「・・・・・・・・your baggege is here or・・・・・・・・。」

「・・・・・here,please.・・・・thank you」

と、ボーイさんの言葉をさえぎり、にっこりと笑うと、チップを渡す。

「oh! have a enjoy・・・・・・。」

とウインクを残し、ボーイさんは去っていった・・・・・・。




「・・・・・・・だってさ!!」

いきなり、ベッドに押し倒され、ダイブされる。

「え??・・・・・なに??」

「あの、ボーイさん、気が利くね!!」