------------初めての、映画。
------------初めての、主演。


全部が初めてで、部長と合流するまでは、ものすごく、心細かった・・・・・・。


合流してからは、監督さんも、大ちゃんも、僕が何度NGを出しても、根気強くつきあってくれて。
へこみそうな気持ちを、冗談言ったり、リードしてくれたりして、フォローしてくれた。


なんて、あったかい現場なんだろう・・・・。


でも、僕は自分のことで精一杯で。

みんなが、どんな気持ちでいるかなんて、想像できるほど余裕がなくて。
部長が、どんなに僕のことをずっと見ていてくれていたかなんて。

知るよしもなかった・・・・。



部長と、あの、公園以来の2回目のキス・・・・・・。

ギイのアップが目の前にあって、思いっきり、意識してしまう。

・・・・・公園のは、ふいうちだったけど、生身のギイのアップは、
めっちゃかっこよくて、緊張せずにはいられない。


部長をこんな間近でみて、緊張しない人間なんて、いるんだろうか・・・・・。


なんども、なんども、キスシーンを撮る。

「・・・・だから、練習しとけっていっただろ!!」

「恥ずかしがってんじゃ、ねーよ。」

・・・・・・・・部長が、からかう。


・・・・・・・恥ずかしがってなんか、ないよ。
ただ、ギイがかっこよすぎて、緊張するだけ。
ふわり。といいにおいに包まれて。
ドギマギしてしまう。


だって・・・・・・・。写真だと、あんなリアルな感覚、ないんだもん・・・・・。
練習したって、そんな急に、キスなんてうまくならないよ・・・・・。



いよいよ。
一番不安だった、ベッドシーン。

スタッフさんも、監督も、部長も、本当に普通に。
演技について、あーだこーだと議論している。

僕の頭の上を飛び交う話を、ウワの空で聞きながら、どおおしよお・・・・・・。
感じてるから、ぎゅって言われても・・・・。

感じるって・・・・・・。どんな感じ??



-------------カチン。


ギイのあたたかい掌が、僕の肩を、背中を、わき腹をなでていく。

やさしく。愛しげに。

やわらかく、触れられる感触が、気持ちいい。


・・・・・・あ。きれいな、ギイのアップ・・・・・・・。
なんだか、とても自然にキスしてまって、自分でも驚いた。


ふわり、とふれる唇が、きもちいい・・・・・・。
腰に回された手に、ゾワリとした感覚がハシル。

「あっ・・・・・・・。ふ・・・ん。」


もっと、もっと、キスしたい・・・・・・。

もっと、もっと、僕のことを求めてほしい・・・・・。


胸の奥が、キュウンと、なった。




------------------------カット。


わあ!!
恥ずかしい・・・・・・・。
今、なんかすごく大胆なことしていたかった??
思っていなかった??



一瞬にして、我に返り、赤面して、シーツに突っ伏した・・・・・。