--------------初めての、ベッドシーン。


まおは、テストの時から、固まってしまって、なんだか俺が一人で演じているみたいで。

俺一人が、まおに夢中になっているみたいだった。


まおは、ただ、なされるがまま、監督の話を、聞いている。

与えられる指示に頭がいっぱいなのか、考え込むような、難しい表情をしている。

ここは、初体験もまだなまおのために、俺がリードしてやらなきゃな・・・・・。

俺が、恥ずかしがってちゃ、まおはもっと恥ずかしいんだから!!


「ここからこうすれば・・・・・・(キス)できっか。」

「フフッ・・・・・・・・。」

まおが、笑う。

「やばいよー。これ、恥ずかしい・・・・・・・・・。」


盛大に照れたまおの、なんとかわいいこと!!


ああ。ギイじゃなくても、押し倒したくもなるわなあ・・・・・・・・。

女の子でも、今時、こんなかわいい反応を示す子は、みたことがない。




-------------カチン。

本番のカメラが、まわる。


現実の、悲しみを忘れたくて、今はタクミだけにおぼれていたい・・・・・。
この、腕の中に、愛しい人がいる現実を、しっかりと感じていたい・・・・・・・・。

目の前にある、このカラダが、血がかよっている生身の人間である、ということに
感謝して、その体温を、感じる。


その、まだ未熟な、あどけなさの残る、筋肉の薄い背中に・肩に、首筋に、キスを落とす。
綺麗な・・・・・肌。
しっとりと、てのひらにすいつくような・・・・・。


いつのまにか、夢中になっていて、タクミがキスをねだって、こっちを向いているのに
気がつかなかった。


-----------なんて、色気のある、目つき。


俺を求めて、妖艶に、目で誘う。

ああ、このまま溺れてしまいそうだ・・・・・・・・・。




---------------カット!!


<すばらしい・・・・・・!!>

ガヤガヤガヤ・・・・・・・・・・。


現実に、引き戻される。

ああ、そうだった。

今は、ギイを演じていたんだった・・・・・・・・・・。


これ、感情移入しすぎると、やばいなあ・・・・・・・・。

タクミじゃなく、現実のまおを恋愛対象として、好きになってしまいそうだ・・・・・・・。