ピンポンパンポーン音譜

-------------------場内アナウンスが、響く。


「ラグビーのJチームと、Yチームの試合が、始まります。
ご観覧のみなさまは、会場のほうへ、お越しください。」


キョウスケの動きが止まる。・・・・表情が、くもる。


「ねえ。今のって・・・・。ワタナベサンが、観に来たやつ??」

「うん・・・・。」

「もう、行っちゃうんだ・・・・・。」


キョウスケの背中が、とてもさみしそうで。


「また、会える??」


「・・・・・・ああ。きっと会える。」


そんなこと、約束できないのに。
携帯番号さえ、交換できない子供なのに。


なんだか、そう言わないと、いられなくて・・・・。



「じゃあ。これ。・・・・約束の、しるし。」


俺は、首にしていたシルバーの十字架のネックレスを外す。

あたりを見回すと、樹齢30年はありそうな大木を見つけた。


「この木の下で。・・・・・きっと、また会おう。」


ちょうど、俺の目線の高さにあった木のウロに、そのネックレスを入れる。


「うん!!約束だからね!!」

キラキラした全開の笑顔で返されて。

チクンと胸が痛んだ・・・・。



不可能もあるって、知っている大人はツライな・・・・。