ピンポ~ン音譜



合鍵を持っていても、必ずインターホンを鳴らすまお。
そのあと、渡してある合鍵で玄関をあけて入ってくる。


「だいちゃ~ん。ビール買ってきたよお。一緒に、飲もっ!」
コンビニの袋のガサガサとすれる音が、近づいてくる。


「まお。久しぶり。」

「あれ??大ちゃん、なんか機嫌悪い??怒ってる??」
「・・・・・別に。」

「ほら----!!やっぱり、怒ってるじゃん。なんか、怒らせるようなこと・・・・・・。
した?」



天然パワー炸裂で、俺の顔をのぞき込む。



「いや・・・・。まおのせいじゃ、ないから。」



言いたいことは、たくさんあるのに・・・。
もう、付き合いだして、一年以上たつのに・・・・。
いつまでたっても、まおへの想いは募るばかりで・・・・・・。



<情けないなあ・・・・・・。>



こんな、しょうもないことで、いちいち嫉妬していたら、身がもたない。


「でも、気になるんですけど・・・・。」
そのまま、話題を変えようとするが、まおは食い下がり、俺の顔をのぞきこむ。


しょうがないなあ・・・・。


「いや。ただのやきもちだから。
ベストアクターコレクション観て、まおがあまりにも色っぽいから・・・・。
カメラマンさん誘惑してないだろうなあ?
とか。  つい・・・・・・・。」

「ぷっ。なにそれ?
カメラマンさん、男だよ?
大ちゃんならともかく、なんで俺でカメラマンさんがどうにかなっちゃうわけ??」

あはは。と何でもないことのように、軽やかに笑う。



ああ・・・・・・。
本当に、この俺の天使は・・・・・・・。
天然過ぎて・・・・困る。



「あのな。まお。
お前の色気は、男女関係なくなるぐらい、強烈なの!!
そこのところ、しっかり自覚しとけよ。
じゃないと・・・・。俺のほうが、どうにかなってしまいそうだ・・・・・。」


「ふうん。そうなの?
でも、だれと一緒にいても、どんな時でも、俺には、大ちゃんだけだよ??」



キラキラした、無邪気な瞳で覗き込まれ・・・・・。


ああ。


しっかり、注意するつもりでいたのに・・・・・。


つい、まおのシャツにに手をかけてしまっていた・・・・・・。