「まお。そろそろ出よっか・・・。」
「うん。」

二人肩を並べて、歩き出す。
指先が、触れるか、触れないかの微妙な距離・・・。



「まお。話があるんだ。このまま、オレの部屋にこないか?」

まおは、驚いたように立ち止まり、おおきな目をさらに大きく開け、なんとも言えない表情をする。

「えっ?大ちゃんの・・・・部屋?」
「そう。オレの部屋。」

「・・・・いいの?」
「だーかーらー!!いいから誘ってんだろ。そういうこと、先輩にいちいち聞かない。」

大丈夫だろうか。きちんと、振舞えているだろうか・・・・。



まおの肩を、抱き寄せ、歩き出す。






----モウ、アトモドリハ、デキナイ。------




それから、お互いに一言も発しないまま、家に着いた。

「どうぞ。」
「あ。ありがと。お邪魔します。」


きちんと、靴をそそえ、立ち上がろうとしたまおを、後ろから抱きしめる。



「まお。好きだ。ずっと、ずっと・・・・・。好きだった。
お前が、二十歳になったら、告白しようと、ずっと前から、決めてたんだ・・・。」

「オレ、男だし、変かもしれないけど、もう、自分にうそはつけない。
このまま、何もなかったように、お前と仕事を続けるなんて・・・・・。限界なんだ。
恋愛対象として、お前が、好きだ。
この気持ちは、誰にも負けない。
お前の家族を、悲しませてしまうかもしれないけど・・・。
お前が好きだ。・・・愛してる・・・・。」

そう、一気にまくしたてる。

まおの表情は、見えない。

肩が、小刻みに、震えている・・・。




「ごめん。やっぱ、無理だよな。」



-----長い。とてつもなく長く感じられる、沈黙-------







「・・・・ううん。・・・・・ありがと。
大ちゃん・・・。俺の方こそ、ずっと好きだったんだ。」

振り向いたまおは、大粒の涙をポロポロと流していた。

涙を掬い取るように、小さなキスを何度も頬に落とす。



「俺の方こそ、ずっと考えてた。 二十歳になったら、告白しようって・・・・。
諦めなくちゃ、いけないって思って、女の子と付き合ってみたりしたけど・・・・。
やっぱり、大ちゃんのこと、忘れられなくて・・・。
もう、俺も、二十歳だよ??
自分で、自分の人生決められるよ??」

「後悔・・・・・。しないか?」

「うん・・・。うん・・・・・・。」




何度も、何度もうなづきながら、また、新たな涙がポロポロとこぼれる。



きれいだ・・・・。

あんなに、守ってあげるばっかりだったまおは、こんに大人になったんだ・・・。

俺の・・・。たいせつな、たいせつな、天使。