次の日-------。


稽古が終わると、まおから声をかけてきてくれた。

「だーいちゃん!!どこ、連れて行ってくれるの??」

甘えたような、上目づかいで首をかしげ、俺の顔を覗き込む。

腹をくくったはずなのに、無邪気なまおの笑顔を見ていると、
ほっとすると同時に、一気に鼓動が跳ね上がる。



-------落ち着け。俺の心臓。



着いたのは、レンガ造りにツタが絡まる古風でおしゃれなイタリアンレストラン。
予約しておいた、個室に案内される。

「うっわあーー!!!高そうな店。大ちゃん・・・。いいの?」

キラッキラした瞳で、テンションあがりっぱなしのまお。

「先輩に、そんなこと聞くもんじゃないぞ。
それに・・・。まおの、一生で一回きりの成人のお祝いだもんな。」



「「カンパーイ!!」」



シャンパンで乾杯し、ニコニコとご機嫌で、昨日の成人式の話や、今日の稽古のことを
話してくれる。



「あのね。大ちゃん・・・。それでね。大ちゃん・・。」

何回も、名前を呼ばれ、そのたびに俺も笑顔で相槌を打つ。

そんな、まおの笑顔を見ていると、

<本当に、この思いを打ち明けてしまってよいのか?>
<その、信頼の瞳が軽蔑に変わってしまわないか・・・>


と不安になる。
でも、同時に、その笑顔を俺だけに向けて欲しい・・。とも思う。



次々と、まおがグラスを空けていく・・・・・。ちょっと、ペースが早い?

「まお・・・。大丈夫か?」
「全然、平気だよお。俺、飲める人だったみたい。」


それでも、少し、耳が赤い。
上機嫌でしゃべり続けるまおの瞳も、少しトロンと潤んでいる。





やっばいなあ---。オレ。
自制、
きかなくなりそうだ。