今日は、成人式の日。
まおがめでたく成人した晴れの日であり、俺が個人的にもっとも待ち望んでいた日でもある。


「不思議の町の王子様」の稽古が終わり、がやがやとまだ余韻の残る現場。


「ま~お! 今から、メシ、一緒に行く?」
出来るだけ、自然に。
まおの肩を、ポンッと叩いた。

高鳴る胸の鼓動を抑えながら、あえて軽いノリで誘う。
ああ。俺って本当に小心者・・・・・。腹くくるって決めたのに・・・・。



「あ~~。嬉しいんだけど・・・。今日は、家族と過ごす予定。」
「そっか・・・・。」
がっくりと落込む俺に、まおは不思議そうに小首をかしげる。
「どうしたの?なんか、大事な話でもあった?」

----天然だけど、するどいまお。

って、俺が余裕なさ過ぎるのか??そんなにバレバレなのか??


「いや。今日成人式だからさ。ちゃんと、お祝いしたいなって思って・・・。」
「そうなんだあ!!うれしい!!だって、大ちゃんメールくれなかったから、
忘れられてるんじゃないかと思ってたよお。あははっ。」

急に。
ぱああっと花が咲いたように笑うまお。



少し考えていたまおは、意を決したように、俺をまっすぐ見ると・・・。
「明日なら、いいよ。俺も話したいことあるし。
大ちゃんと・・・二人がいい。 約束だからね。」

「オウ。約束な。じゃあ、明日。まおの二十歳に乾杯。」