この記事は2023/8/23に

限定記事として記録していましたが

2023/11/24に全体公開しました。




中学時代の友人Nの事を記録します。

Nに届きますように。



中学へ入学すると あいうえお順で席が指定され

わたしの席の後ろにNがいた。


Nは抜群にかわいくて

学生時代の沢尻エリカさんと

雰囲気やお顔の作りが重なる。

美人階層があるなら同じ階層だと思う。

そのままで十分かわいいですが

煌びやかなものが好きなところも似ている。


いつもにこにこ笑って

かわいいだけじゃなくて 色っぽさもあり

本当に同じ年齢なのかと疑うほどの

艶があった。


饒舌で話しがとにかく面白くて

ダウンタウンが大好きだと言って

ごっつええ感じのネタカードを数枚

制服のポッケに忍ばせているような娘だった。

時々ポケットから出して笑うと!爆笑

とニヤニヤしながら

お腹から出る太い笑いであはははと笑う。


歌も上手で 

上手い!という言葉が失礼に感じてしまうほど

完璧に仕上がっていた。


結構ちゃんとしっかりめに歌いながら

廊下を歩いたり

トイレはよく響くので

Nにとってはホールのような場所だった。

わたしもNと一緒によく歌った。


後に風紀委員からのポスターて

トイレで歌わないという

明らかに

茶髪でくるくる髪でミニスカートのNを

描いたポスターがトイレ前の壁に貼られたが

Nはポスターを発見するなり大爆笑😂して

うける!これぜったいNやん!

といいながら爆笑し

話のネタでまわりに自慢するほどの

メンタルの強さもあった。


スカートの丈は

パンツが見えそうなほど短くなったかと思えば

廊下を引き摺るほど長くなったり

ギャルになったかと思えば

聖子ちゃんカットにしたりと

一昔前のヤンキーが歌う掛け合いの歌を

ノリノリで歌ったり

髪の色もメイクもコロコロ変わった。


机にはALBA ROSAのステッカーを貼り

頭には

ハイビスカスの造花を付けている事もあった。


Nは、なんでもはっきり自分の意見を言い

どんなに仲良しの子でも悪い事は注意したり

分かるように諭した。

それは 姉御的な正義感ではなく

注意する相手にも 守る相手にも

どちらにも深い思いやりがあった。

それは心の深いところに

Nの愛が刻まれるようだった。


誰とでも分け隔てなくご機嫌に話しかけて

そのほとんどを笑い話にもっていくような

空間作りの天才であり

思考力も中学生とは思えないほど

大人びていた。

魂として達観していたという言葉が

しっくりくるのかもしれない。



わたしはそんなNと出会い

友達であり 憧れであり 尊敬もして

頼りにもして 

とにかく大好きで大事な存在だった。

わたしの人生にNが登場したのは

色々なサプライズの連続だった。


Nといると

家庭の哀しみがどうでもよくなっていた。

涙が出るほど笑いに笑い

笑っているうちに休み時間のチャイムが鳴る。

授業開始したって

余韻に浸っていつまでも笑えた。


学校をサボりたくなった時

Nと一緒に 電車に乗って遠出した。 


朝 学校へ行き

給食たべたら早退して◯◯まで行こう!と

計画を立てて 

学校を抜け出す事もよくあった。


自転車で どこへでも行ったし

Nと2人で行った

知らない場所の知らない景色 

知らない人たちが沢山いる。


お腹を満たす為のコンビニのパンでさえも

特別にふんわり美味しく感じて

パンに挟まったクリームは

いつもより甘く感じた。


そんなNは

どこか深い深い寂しさを抱えていた。

中学生になって苗字が変わった事。

慣れない新しい苗字に

小学校からの友人は旧姓で呼ぶけど

どちらにも返事をしていた事。

母子家庭だった事。

血の繋がっていない兄と同居している事。

ママはだいたい家を空ける事が多く

個性強めの祖母に

生活の面倒を見てもらっている事。

時々学校をサボってパパに会いに行っている事。

中学生のわたしが認識したのは

これくらいだった。


ある日 学校の窓ガラスが割れた。

クラスの男子が暴れて割れた事故だった。


わたしはガラスの破片を見ていると

何かムズムズするような感覚が起こり

咄嗟に校舎のどこかにいるであろうNを探した。


以前、音楽の先生にあった手首の傷を

Nは羨ましそうに見ていたのを見逃さなかった。

わたしの勘は当たってしまい

Nは人気のない学校のバルコニーにいて

ガラスの破片を手に持ち手首を切って

またも切り刻もうとしていた時に見つけた。

なにしとーと!?

やめてよ。止めんでよ!

Nはガラスの破片を持って逃げようとした。


わたしはNの長髪の先を一瞬引っ張った。

なんでりもに髪引っ張られんといかんと?

手首切って死のうとしたんなら

こんなの痛くも痒くもないやろ?

りもに関係ないやん。

関係あるよ。Nを見つけたやろ?

関係ないならなんで学校で手首切るんよ!

今 ここに一緒におるやろ。

じゃぁ 学校じゃないとこで切る!

もう りものこときらい!!

嫌いでいい。ガラス頂戴。わたしに渡して!

Nはガラスを床に手から離すように落として

走って行った。

ほんの数秒間の大喧嘩だった。 

Nとわたしを取り囲む炎のようなものが

見えるようだった。


わたしはNが心を開いている先生の所へ行き

あった出来事を話した。

今 Nは興奮していると思うんで

ガラスはわたしが預かったけど

切ろうと思えばなんでも切れるんで

あの…そうならんように守ってくれませんか?

わたしの話は今聞けんと思うんで 

先生話してくれませんか?

Nは気にかけて欲しいんです。

先生はわかったといって

Nを探してその夜や他の日も話したようだった。



あれからNは学校に来なくなった。

わたしのせいだと思った。

わたしが強く止めなければ

良かったのかなと思った。

だけど死なれる方が絶対に嫌だった。 

あんなに綺麗なNの身体に傷一本でも付く事が

嫌でたまらなかった。

ああするしかNを止められなかった。

何度もその時の映像が頭に浮かんだ。

すごく重い残像が

しこりのように脳裏に焼きついた。



Nが学校に来ないまま数ヶ月が経ったある日

夜19:00ごろ 玄関のチャイムが鳴った。

出ると

かわいい笑顔と甘い香水が香るNがいた。

りも 久しぶり 今話せる? 

うん

家から離れた所まで歩くと

白いワゴンに友達だと言う男性が乗っていて

その車の中で話した。


りもに謝りたかったと。

あの時は もう…りもすかんって思ったけど

あんなに本気でNにぶつかってくる人って

りもしかおらんって後で気付いたっちゃん。

普通はさ…

当たり障りない事言って

励ます人とかばっかりやろ?

りもが本気で止めにきたけん

やったらいかん事したなって思った。

こんなに本気でNの事を考えてくれる人と

ちゃんと向き合わんといけんと思って会いに来た。

髪引っ張ってごめんね。

もうせんって約束できる?

約束する。

生きる約束する?

するウインク


Nと和解し、また更に関係性は深くなった。


好奇心旺盛なNは

走り屋🏍️の頭の彼女になったり

悪い事や危険な事もして遊んでいた。

親友だけど 遊び方の共有はしなかった。

他所からみたら

わたしとNは不思議な関係に見えるだろう。

思い返せば

どうしてNと仲良しなん?

聞かれた事が何度もあった。



成人男性と付き合ったNは堕胎もした。

おろしたその日に彼氏に迫られるDVもあった。

Nにどうしてあげたらいいのか

どう助けられるのか

自分の無能さにわけがわからなくなった。


まだ中学二年生のわたしたちだった。

わたしは先輩と付き合ったり

他校の人と付き合ったりと

中学生らしい恋愛経験を積んでいたが

Nのする恋愛は どれもがハードで

分からない事や知らない事が多すぎた。


それから

3年もの月日が経った。


わたしが入院した事を知り

お見舞いに来てくれた。

久しぶりの再会だった。

またきっとNは

こんな状況でも笑わせてくれるんじゃないかと

どこかで期待した自分もいた。


りも みんな心配しとーけん。

元気になりぃーよ。早く退院して。

家族に心配かけんで。

自分でそんな身体にしたっちゃろーもん。

自分でなんとかしーよ。

うん… 

…ごめん 今のわたしには 

その言葉ちょっときつい

そんな弱い事ばいいよーけん

病気になるったい。

なんとかしーよ!もっとがんばりーよ。

ごめん…もう帰って? いいよ?

来てくれたのにごめんね

今 思えばNは、変わりきったわたしを見て

腹が立ったんだと思った。

そして悔しくて哀しくて

それをどう表現したらよいかわからずに

目の前のわたしにぶつけたんだとわかる。

久しぶりに会えたのに元気じゃなかった事が

Nは寂しかったんだろう。

もしかしたらNの方こそ

わたしに聞いてほしかった事が

あったのかもしれない


その日 以降

連絡を取る事すらしなかった。

連絡先も水没とかなんとかで分からなくなったり

番号も変えたりもした。


それから

偶然に 18歳の頃

M駅構内の薬局で再会した。

この時 兄に

軟膏を買ってくるように言われて笑い泣き

嫌々ながら立ち寄った初めての薬局だった。


Nは わたしに気づくなり

あの時は本当にごめん!

りもの気持ちを全然分からずに

自分の事ばっかり言いよった。

あれから反省して

ずっと謝りたいと思いよった。

再会早々に すぐに謝ってきたNを見て

ずっと忘れないでいてくれたんだと思った。

全然いいよー。

わたしが弱かったんだよ。

思っててくれてありがとう。


それから

ちょこちょこNは

わたしの職場近くまで会いにきた。

だけど

当時は、事務所に所属し

小さなイベントや稽古でスケジュールが固定し

Nと会うタイミングがなく

また自然と離れていった。


何度もNを探したが

見つける事ができない。

きっと彼女もそうだろう。

わたしはどこにも本名を出していないし

どこのグループにも属さないから

昔の友人がわたしを

SNSで見つけることは不可能。


18歳の頃にNと再会してから

もう全く繋がりがなくなってしまった。


Nは生きているかな?

どうしているかな?

会いたいな。

すごくすごく会いたいな。

Nのとっても綺麗な顔と声と心は

わたしに焼きついているよ。

Nはきっと更に魅力的な女性になっている。

あらゆる経験を享受して

肩の力を抜いて

ゲラゲラと笑っているだろうと思う。


わたしは想いを言葉にしたよ。

Nに届きますように🙏