「前頭側頭葉変性症の夫と私」ひまわり日記

「前頭側頭葉変性症の夫と私」ひまわり日記

野球大好き。MLB、欧州サッカーをはじめ、スポーツ全部好きです!夫の難病(前頭側頭葉変性症)に悩み苦しみつつ、息子の心配事にヤキモキしつつも、明るく楽しく暮らしていきたいと思っています。

スポーツ観戦好きの主婦。前頭側頭葉変性症の夫の療養や、日常のひとこまのつぶやきです


夫も大好きだった、シンガーソングライターの槇原敬之さんのライブに行ってきました。タイム・トラベリング・ツアーと題して、マッキーにまつわる90年代の思い出の宝箱が開くかのような公演でした。

その日は、関東地区最後の公演で、マッキーのお母様もいらしてるとのこと。

 

槇原敬之さんのライブは初めて見たのですが、優しい歌声に本当に癒されました。「ANSWER」という曲から始まって、前半はゆっくりと穏やかな曲が続きました。1,2曲歌うごとに、お話をたくさんしてくれました。曲を作ったときのエピソードや、身の回りのこと、ほんとに古くからの知り合いのように気さくなトークでほっこりします。とてもお話好きなかたなのだなと思いました。

 

ファンの方々も、「マッキー!」「マッキー!」と声かけが多く、とても和やかな雰囲気でした。

中でも素敵だったのは、あるファンのかたが、「(お母様に)マッキーを産んで育ててくれてありがとう!」と大声で言ってみんなで拍手したことです。

 

そしてびっくりしたのは、前半終わったところで、「これから長いお話をします」と言うのです。1,2曲終わるごとにあんなによくお話をしていたのに、えっ!また?と思っていたら、「おわかりですよね、おトイレタイムです。後半盛り上がっていきますから、今のうちにおトイレにどうぞ」

ということで、バンドの方々も退席し、観客も1割くらいの人が席を立ちました。その間10分くらい、マッキーは、一人で四方山話をされていて、ほんとにおしゃべり上手だなと思いました。私は席を立つこともなく、ずっとお話を聞けました。マッキーのかなりのことを、今日のライブで知れることができたような気がします。

後半はアップテンポの曲で、MCもほとんど入らず盛り上がっていきました。「No.1」「SPY」・・・・「どんなときも。」をみんなで歌って、本編の終了。

 

アンコールは、「北風~君にとどきますように~」から。そのとき感動のピークに達しました。その歌声は息子の歌声に似ていました。かって夫も30代くらいのとき、槇原敬之さんの歌が好きで、CDもたくさん買っていました。とても穏やかで、優しい感じのするマッキーですが、その心のうちは、ガラスの心のように繊細だったのだと思います。夫も鬱になったり、色々なメンタルの病気になったりと、共感する部分が多かったのかなと、今になって思います。

 

大きなライブ会場によくある、モニター画面はなく、ステージ上の実物のマッキーに集中して、歌をじっくり聴けるスタイルもいいなあと思いました。あと、衣裳は、ビームスで創られた、コムデギャルソン風のスーツも素敵でした。

 

90年代という、私と夫との最高の時間にタイムトラベリングさせてくれて感激しました。ありがとうございました。とてもアットホームで素晴らしいライブでした。ファンのかたも老若男女幅広くて、槇原敬之さんの曲は、いろいろなかたの心の支えになっていたのだと思います。

夫の地元出身ということもあり、夫が応援していた、いきものがかり。

私も何度も一緒にライブを見に行ったことがありました。

 

今回3回もチケットの抽選に落選していたのですが、何と最後の一般発売で注釈付きチケットをゲットすることができました。注釈でもなんでも見られればいいやと思い、横浜桜木町のぴあアリーナMMに行ってみると、ステージ右袖のほとんど最前列に近い素晴らしい席でした!

 

白いロングドレスで現れた吉岡聖恵さん。スポットライト一つのなかでしっとりと「誰か」を歌い始めました。ほんとに心に沁みる歌声でした。その次に「ありがとう」。この歌は夫のお葬式のときに、夫に聴かせました。ありがとうと伝えたくて・・

 

コイスルオトメ‐激情編‐、笑顔、YELL、運命ちゃん、じょいふる、ブルーバード・・みんな素晴らしい曲で、泣いたり、笑ったり、踊ったり。

 

いきものがかりの原点である、SAKURAは、心の奥底まで感動しました。夫の地元の風景が曲に織り込まれていて、小田急線の桜が目に浮かんできました。

 

そしてアンコールでの「風が吹いている」の、会場全体での大合唱。

たぶん夫も私も一番好きな曲である「帰りたくなったよ」。

「帰りたくなったよ、君が待つ家に。聞いてほしい話があるよ。笑ってくれたらうれしいな」というフレーズで最高潮に達して涙腺が崩壊しました。

 

夫が亡くなる3週間ほど前に、「今年の正月はどうするの?」としっかりした声で私に聞いてきたのを思い出しました。そして本当に最後に帰りたかったのだろうなと泣けてしかたがありませんでした。

 

最後にダブルアンコールで、水野良樹さんがピアノを弾いて、吉岡聖恵さんと二人だけで新曲を披露してくれました。

 

いきものがかり結成25周年で、11月2日に武道館で二人だけで、路上ライブ風に弾き語りライブをするのだそうです。

 

夫と心のつながりが持てる素晴らしい曲をたくさん聴かせてくれて感謝です。

私も夫も大好きな、槇原敬之さんからもお花が!

 

帰りの横浜みなとみらいの夜景は最高!一緒に見たかったなぁ。

 

 

 死後事務と言われる、人が亡くなったあとで必要な様々な手続き。

私に全部できるかなと心配ではありましたが、一つ一つやってみるとそんなに難しいことではなく、社会の仕組みを今さらながら理解できてとても勉強になりました。

 相続のことも、相続人は私と息子だけでシンプルなので、自力でやっています。今は不動産の相続登記の申請をすすめているところです。

専門家に依頼すると数十万円はかかるそうなので、仕事と思うとやりがいがあります。自分のこととなると、難解な言葉も頭に入ってくるものですね。

 家のなかも少しずつ片づけています。夫の遺品を整理していると、思いがけず、かつての夫の書きつけたものに出会うことがあります。大変な思いをしていたのだなと切ない思いにかられます。その記述をそのままここに書きます。55歳の6月のことです。

 

「シャワーをあびた後、ふきとったが汗が出るのでパニック状態になった。自殺しようと思った。浴室で自殺しようと思ったが、火事になるのではと勘違いしてしまい、頭を打ったが死ねなかった。そのまま外に出て、玄関口と私道で何度も頭を打ったが、死ねなかった。何人かの人がそこに集まってきた。その時には落ち着いてきて、正気に戻った。警察に通報してくれて、来た。涼しい風が幸運にも、ふいてきたので、体も乾いて、正気に戻った。家の中に帰りパンツをはいた。家でウロウロしていたら、なおさら良くなった。今は普段より落ち着き過ぎたほどだ。」

 

その当時、夫は入浴後にいくら体を拭いても水分がとれないとよく言っていました。そしていろんな妄想が頭のなかにあるようでした。さらに気持ちをすっきりさせるためか、水をがぶ飲みするようになり、度々意識も失うようになり、低ナトリウム血症を起こし、病院に入院しました。

大滝詠一のロングバケーションのカセットテープが出てきました。1980年代の若かりし頃の恋愛観がなつかしいです。私たちにも、こんな時代がありました。あっという間に過ぎていきました。