あと数分で

カレが来る。



そう思うと

今日一日のイライラも

どこかにいっちゃう。



カレのかしずくその態度で

私は「女王」になれる。




好きな仕事をしていても

これだけストレスがたまるんだから

OLしてた時のことを思うと

あの「地獄」から抜け出せてよかった

ってしみじみ思う。



あの毎日の満員電車

あの上司のオヤジくさい匂い

あのオフィスのくだらない気遣い




全部

思い出すと

本当に起業してよかったって

自分の勇気に喝采する。



大学出て

会社に入った時は

それ以外の道があるなんて

思ったこともなかった。



育った家庭が

サラリーマンの父と

専業主婦の母

そんなごく普通の家庭で育ったから

自分がまさか

世にいう「インフルエンザー」

と言われる存在になり

人気を得て、

起業した会社もザクザク富を生み出すように

なるなんて。



才能があるって素晴らしいよね。



YouTubeのフォロワーが

10万人いるっていうと

賞賛の目を向ける人が多いけど

大したことない。



たった10万人。



中途半端すぎてヘドが出る。



私みたいに

デキル女が

そんな数で満足すると思う?




私は

最高のモノが欲しいの。



最高級のモノ。




だから

今から来るカレだって

最高にイケてる外見で

最上級の体験をさせてくれる。




(Photo by Yumiko Katsukawa)




30歳までに

人生変えてやるって思ってたの。



最初は寿退社かと思ってた。



だけど

同僚や後輩が社内の男性と

寿退社していくのを見て

なんだか冷めちゃって。



そりゃあ

社内のオトコと恋に落ちそうに

なったことだってある。




だって

綺麗じゃない?




オトコがほっといてくれないのよ。



だけどさ、

そのオトコがある時

業務でデッカいミスをして

オヤジくさい匂い撒き散らす

上司にぺこぺこしてる姿を見て

一気に冷めた。



業務のミスだって

どこのバカがするの!?って

感じのミスでさ。



そういえば

妻子持ちの取締役に

誘われたこともあった。



仕事で出張することがあって

あれは

福岡だったかな。



仕事先の接待に

美人がいた方がいいって言うんで

体良く連れていかれるんだよ。



美人って特別扱い受けるから

得してるって思われるけど

こう言う時は

完全にホステス扱いよ。



私の頭脳より

私の胸の方が重宝されるのよ。





カレが来た。



話の途中で悪いけど

今夜は失礼するわ。



ここから

濃密な時間が待ってるの。



ごきげんよう





               つづく



*この物語はフィクションです。

実際の人物、団体等とは全く

関係ありません。





ふと思いついて

小説を書き始めました。


題して「TOKYO LOVE BIBLE」

今回は

第一章「寂しい女なんかじゃない!」

よかったら

つづきを楽しみにお待ちください。



旺季志ずか