脚本家 旺季志ずかです。


20代のころ、命を捧げていたのが「芝居」です。


なによりも演技がうまくなること、それだけを考えていました。


そのために「貧乏」であろうが


なんであろうが、なんでもこい、って感じで


芝居の稽古に明け暮れていました。


そのころ、私が勉強した演技メソッドが「メソッド演技」です。


ロバート・デニーロやメリル・ストりープ、マリリン・モンローなどを輩出した


ニューヨークアクターズスタジオの芸術監督 リー・ストラスバーグが


「俳優修業」(邦題は「俳優の仕事」)を書いたコンスタンチン・スタニフラフスキーから影響を受けて


あみだした演技方法です。


わたしは、アジア人で唯一アクターズスタジオの狭い門を


合格したゼン・ヒラノさんにこの演技メソッドを教わりました。


5年くらい、テレビや映画にたま~に出演しながら


のめりこんで勉強しました。


「メソッド演技」は、役柄について徹底的なリサーチをしたうえで、役柄


に生じる感情や状況を、役者自身の経験を使って疑似体験するように演じます。


つまり、役者が「役」を「演じる」のではなく


より自然な形で「生きる」、それが目的です。


そのために、舞台の上でリラックスする方法を徹底的にします。


からだをゆるませること、


その役柄にひもづけられる個人の体験を掘っていくことをやります。


わたしが最も興味をひかれたのはキャラクターづくり。


日本では俳優さんが役柄によってキャラが変わるということはあまりありませんが、


アメリカの俳優さんは作品によって同人物かと思うほど変身しますよね?


あれが役者のキャラクターです。


動物の動きを観察して、その動きを体に取り入れることによって、


キャラクターに入っていったりします。


わたしは、ライオンからキャラクターに入っていくことをよくやっていました。


ライオンの動きから「強く威圧する野性的なキャラクター」を演じることができるのです。


代表的なメソッド演技に、映画「波止場」のマーロン・ブランド や、


エデンの東 』のジェームズ・ディーン が知られています。


ところで、先日


昔の芝居仲間、柳田ありすさんが東中野のポレポレ座で


誕生日ライブをされるというので、駆けつけました。


柳田ありすさんは、女優としても活躍しながら


神奈川県相模原の藤野で


ふじのキッズシアターを主催、子供たちにお芝居を教えています。


そして奈良橋陽子さん主宰のアカデミーでメソッド演技を教えているそう。



ポレポレ座。

駅近くにこんなアットホームな劇場があったのかと、びっくり!


一部は朗読劇「夕鶴」をありすと、そのファミリーが演じてくれたのですが


柳田ありすさん、芸歴40年というだけあって、


本当に素晴らしい、舞台の上で「生きている」


繊細でありながら、ダイナミックな演技でした。


「つう」と鶴の女性の役を鳥、鶴の動きからつくっていたのが


素晴らしかったです。


ファミリーというのが、本当の「家族」で


「よひょう」をやったのが、だんなさんの「ヤギ」


そして村人はふたりの本当の息子たち。


なんて素晴らしい芸能一家なのでしょう!




二部ではライブやこの写真のアート。


息子ふたりの漫才も飛び出しました。




これがイケメンで、と同時に、まるでプロの漫才のようにおもしろく。



お祝いにアーティストのひとたちの歌や踊り、演奏が次々と披露されました。


すべてが美しく、楽しいライブでしたが、


中でもわたしがファンになったのが


Anna Sekai。


ふじのキッズシアターで育った女子です。






その声もキュートないい声なのですが


なによりも佇まい。


なんともいえない心からの笑顔をするのです。


彼女がアリスに捧げる歌をつくってプレゼント。




聞いているアリスの顔がたまらなく、いい……。




息子たちからのケーキ。


本当に、最初から最後まで


何もかもがあたたかな愛にあふれたライブでしたが


驚いたのは、


そのクオリティの高さでした。


それぞれが、自分の才能を、好きなことを通して表現するって


なんて素敵なことでしょう!


一緒に行った夫は、人生を変えるほどの大きな刺激をもらったようです。


ありすが言いました。


「わたしにとって、演じることは祈りです」


人が、自分に与えられた「才能」を見つけて


それを表現したら……


それは「祈り」だと常々、思ってきました。


同じようなことを、ありすから聞いて、うんうんと頷きました。


ありすは、子供たちに、その「才能」を見つける場所を提供しつづけて


きたのですね。


今回のライブは、天からのそのご褒美のようでした。



「ありす、お誕生日、おめでとう。


ありすが歩いてきた道を見せてもらって感動しました――」





今日も人生にブラボーと叫ぼう!


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