双子の摩子のふりをしているさつきが、祖母のみねと、母、淑枝を見て言った。
「私、嫌なんです。自分の幸せが男で左右されるのは」
みね、ぎろりとさつきを睨んだ。
淑枝が驚いて言った。
淑枝「まぁ、摩子ちゃん、男だなんて品のない」
さつき、淑枝の言葉を遮る。
「私、男性なんて不確かなものに、自分の一生を託したくありません」
摩子らしくないストレートな言葉の羅列に、空気が凍る。
その緊迫した空気を和らげようと叔父の卓夫が、こびた笑いを顔に浮かべて
言った。
「参ったな、男としちゃ」
厳しい顔の祖父、与兵衛が口を開いた。
「摩子」
「はい」と与兵衛に強い意志を持って目を向けるさつき。
「お前にとって確かなもの、信じるものはなんだ?」
そう問う与兵衛にさつきは聞き返した。
「……おじいさまは?」
与兵衛「金と」
続ける与兵衛の声と同時にさつきも続けた。
「自分の力」
二人の声が共鳴した。
※ 連続ドラマ「Wの悲劇」武井咲主演、
第二話を小説に書き換えてみました。