「人生のシナリオ~光も闇も自らが描く」



ドラマの脚本を書くときに大切なことは、クライマックスをどうつくるかだ。


通常、ドラマはクライマックスに向かって物語が進行していく。


クライマックスを盛り上げるために、いろいろと事件を作ったり


登場人物のキャラクターを考えたりと、


脚本家は頭をひねる。


例えば、ラブストーリーならば恋人とのけんかや誤解、別離の


エピソードがあると、最後に結ばれることが盛り上がる。


事件ものなら、真犯人じゃない人を犯人だと思うミスリードがあったり、


犯人を突き止めたと思ったら新しい殺人が起こったり。


そうすることで、犯人を捕まえろ! という客の思いを強めていく。


つまり、物語に必要なのは「障害」であり「摩擦」なのだ。


「障害」を乗り越えたとき、人は喝采し、達成感を味わう。


私は常々、これって実人生も同じじゃないか、と思っている。


苦難を乗り越えるからこそ達成感があるし、


哀しみがあるからこそ喜びを一層感じる。


闇があるから、光があるのだ。



ドラマを盛り上げるのと同じように、


自らの人生を盛り上げるために数々の事件や苦難を自分が


引き寄せているという見方をすると、人生はひときわ面白い。


          徳島新聞2008年3月28日に掲載

            「旺季志ずかの脚本家ライフ」より。

                 「人生のシナリオは自分が描く」②につづく